3月3日といえば、ひな祭り。「ひな人形」を飾って女の子の成長を祝う日だ。美しい装いの人形はなんだか神々しいし、小さな道具類はおままごとにぴったりだけど触っちゃダメといわれた。子供心にも「特別な日の特別な人形」として憧れた人は多いのではないだろうか。
ところで、ひな人形ってなんのためにあるんだろう? 七段飾りになると三人官女や五人ばやし以外の人形もたくさんいるんだけど、彼らはいったい何者?
今回はひな人形を飾る意味と、それぞれの人形の役割についての雑学をご紹介しよう。
【生活雑学】ひな人形は結婚式の場面を表したもの
【雑学解説】ひな人形は天皇と皇后の結婚式の様子を表している
ひな人形の主役である男びなと女びなは、天皇と皇后のことだ。そしてひな人形は宮中での結婚式の様子を表している。そこには、女性の最高位である皇后のような玉の輿に乗れますように! という親心が込められているのだ。
その他の人形についても、順番に紹介していこう。
三人官女
天皇・皇后のお世話係をつとめる官職の女性達。若い皇族や幼い子ども達の教育係もこなしたり、祭祀(さいし)の手伝いをする優秀なキャリアウーマンである。ひな人形では結婚式の御神酒(おみき)を捧げもっている。
五人ばやし
貴族の子ども達で、結婚式を盛り上げる演奏係。ここでアピールできれば、偉い人に覚えてもらえて出世につながるチャンスがつかめるため、子どもといえども技能は一人前だ。
随身(ずいじん)
弓矢を手にした護衛。それなりの立場の服装をしているので、老人が左近衛中将(さこんえのちゅうじょう)、若者が右近衛少将(うこんえのちゅうじょう)といわれている。
仕丁(しちょう)
宮中の雑務をつとめる人々。彼らだけは貴族ではなく地方から徴集された庶民である。驚くことに、食料などは全部故郷の負担、しかも無報酬で働かされていたというのだからブラック企業も顔負けだ。
【追加雑学①】「お内裏さま」と「おひなさま」ではなく一対で内裏びな
ひな人形といえば思い出すのは「うれしいひな祭り」。ひな人形を見ると条件反射で歌詞が出てくるほど有名な歌だ。
そうそう、お殿様が「お内裏さま」で、お姫様が「おひなさま」なんだよね! …といいたいところだが、残念ながら違うのだ。
たしかに、内裏は天皇のプライベートな生活区域であるため、男びなを「お内裏さま」と思ってしまうのも無理もない。しかし、内裏には皇后である女びなも一緒にいるわけなので、男びなと女びなセットで「内裏びな」と呼ぶのが正しい。
そして、「おひなさま」という呼び方はひな人形全体を指すので、女びなだけに使うのは、これまた間違いなのである。それぞれの人形を呼ぶときは、「男びな・女びな」か「お殿様・お姫様」とするのが無難だろう。
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【追加雑学②】元々は向かって右側が男びなだった
関東では向かって左側が男びな・右側が女びなとなる。それに対して、京都では向かって左側が女びな・右側が男びなとなっていて、「京びな」なんて呼ばれていたりする。
ところが、大正時代までは関東でも、京都と同じように向かって右側に男びなが来ていたのだ。なぜ大正時代から左右が逆になったのか?
それには、大正天皇の即位が関係している。日本では長いこと、左の方が位が上とされてきたが、明治時代に入ってきた西洋文化では、右の方が位が上となっていた。そして、大正天皇が即位の礼でそれを取り入れ、皇后の右側に立ったことから、関東のひな人形も女びなの右側(向かって左側)に男びなを置くようになったというわけである。
この発想はなかった!ゴスロリの創作ひな人形
最近のひな人形は、押し花入りの屏風やフラワーアートの豪華な桜を使うなど独創的な物も増えているが、これはまさかのゴスロリひな人形!
意外にも美しい。ひな人形として見るより、一つのアート作品として部屋に飾りたくなる。
雑学まとめ
ひな人形についての雑学、いかがだっただろうか。ひな人形は結婚式の場面を表していると同時に、「娘が日本一の幸せをつかめますように」という親心の表れでもある。
いまの時代は置き場所や収納の関係で、男びな・女びなだけの親王飾りや、三人官女までの三段飾りが主流になってしまっているのは残念なことだ。
でも、そこにこめられた娘の幸せを願う気持ちはいつの時代も七段飾り級。ぜひこれからも、素敵な日本の伝統として繋いでいってほしい。
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