ヨーロッパアマツバメは、アマツバメ目アマツバメ科の鳥だ。渡り鳥は非常に長い時間飛び続けるが、ヨーロッパアマツバメはその中でも群を抜いている。食料も空を飛んでいる虫なので、天気が悪いときには捕まえることが難しくなってしまう。
ひなの頃は巣の中で生活しているが、成長して飛ぶようになると羽を休めることはほとんどないといわれる。休まずにどのくらい飛び続けることができるのかは不明だったが、最近の研究で分かった時間は驚くほど長い期間だった。
今回の雑学記事では、ヨーロッパアマツバメはどのくらい飛び続けるのか、ツバメとの関係などについてご紹介しよう。
【動物雑学】ずっと飛び続けるヨーロッパアマツバメ
【雑学解説】ヨーロッパアマツバメは10ヶ月飛び続けた記録がある
ヨーロッパアマツバメは、小さな鳥でこげ茶色の体毛をもつ。昔から、非常に長い時間飛ぶ鳥として知られている。50年近く前には、イギリスの研究者によって、生涯のほとんどの時間を空を飛んで過ごすという仮説を立てられていた。
下の動画は飛行中のヨーロッパアマツバメを捉えている。
ヨーロッパアマツバメは、地上に降りることはあまりない。生涯のほとんどを空を飛んで過ごすのだ。2016年に、スウェーデンの研究チームによって、この仮説を裏付ける研究が発表された。
なんとヨーロッパアマツバメは、一度も空から降りることなく10ヶ月の間飛行し続けたというのである。13羽のヨーロッパアマツバメにつけられた小型の装置によって、このデータは取られた。
ヨーロッパアマツバメは、ヨーロッパで繁殖をしたあとアフリカに渡る。そしてアフリカに向かい、ヨーロッパに戻ってくるまで10ヶ月の時間がかかるのだ。この間、99.5%のヨーロッパアマツバメは、一度も着地しないという驚きの事実が判明したのである。
一部のヨーロッパアマツバメは木に止まったりもしたそうだが、ほとんどは空を飛び続ける生活を送っているという。
どうやって眠っているのかは判明していないが、空中で睡眠をとっている可能性が高い。食事は空の虫を捕まえて、飛びながら行うと考えられているのだ。
【追加雑学①】ヨーロッパアマツバメはツバメではない
ヨーロッパアマツバメは、名前にツバメと入っている。そのためツバメの仲間だと思われがちだ。しかし、ヨーロッパアマツバメはアマツバメ目の鳥である。つまり、スズメ目のツバメとは全く別の種類の鳥なのだ。
アマツバメという名前が付けられた理由は、外見がツバメにとても似ているからである。しかし外見が似ているだけで、ツバメとアマツバメは全く異なる種類の鳥を先祖にもつ。全く違う生物が同じような生活を送ることで、結果として外見が似た生物に進化することがあるのだ。
これを収斂進化(しゅうれんしんか)と呼び、哺乳類のモグラと昆虫のケラが似た形に進化したことなどが知られている。
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【追加雑学②】アマツバメは飛ぶのが速いが時速300キロ以上は信憑性がない
ヨーロッパアマツバメは長期間飛ぶだけでなく、かなり速く飛ぶことでも知られている。その速度は、時速180キロともいわれているのだ。
同じアマツバメ目のハリオアマツバメは、世界一飛行速度が速い鳥として知られ、その速度は時速300キロ以上ともいわれている。下の動画は、ハリオアマツバメを撮ったものだ。
また、急降下時の速度が最も速いといわれるハヤブサは、重力を利用して400キロを超えるという話もある。しかし、これらの話はあまり信用できない。実は、鳥が空を飛ぶ速さを測定することは非常に難しいのだ。
陸上競技でも、追い風によって記録が大幅に速くなることがある。となると、空を飛ぶ鳥が風から受ける影響ははるかに大きい。また、測定方法が非常にいいかげんであることが多いため、記録に信憑性もないことが分かってきている。
つまり、時速300キロ以上とされたハリオアマツバメが100キロそこそこと言われ、ハヤブサは時速100キロに届かないといわれることもあるのだ。信頼できる測定方法が確立した場合は、記録が大幅に下がるかもしれない。
逆に、記録が上がることも考えられる。アマツバメの中では、ヨーロッパアマツバメの飛行速度はそれほど速くないとされている。しかし、ヨーロッパアマツバメの順位が上がる可能性もあるのだ。
雑学まとめ
世界一長く飛び続ける鳥、ヨーロッパアマツバメについての雑学をご紹介した。10ヵ月飛び続けたことが判明したが、長期間飛んだあとに休むわけではない。子育てのために巣に戻っても、ほとんどの時間を空中で過ごすことがわかっている。
現在も研究中だが、食事どころか睡眠まで空中で行っていると考えられている。生きるための全ての活動を空中で起こっている可能性があるのだ。一度も降りずに死ぬまで飛び続けることもできるかもしれない。
水中で生活する魚のように、空中で生活できる驚異の生物がヨーロッパアマツバメなのである。信頼できる飛行速度も測定してほしいものだ。
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