歴史には偉人が欠かせないが、その名前を覚えるのは学生の仕事。答えは一つの丸暗記だから、これがけっこう骨の折れる作業だ。
しかし、現代人のそんな苦労をよそに、昔はその偉人自身が何通りも違うつづりで名前を書いていたらしい…!
今回は、英文学の偉人、誰もが知っているシェイクスピアのサインについての雑学を紹介するぞ。
【歴史雑学】シェイクスピアのサインは毎回違った
【雑学解説】現存するシェイクスピアのサインはすべてつづりが違う
現在シェイクスピアのものとして認められているサインは、全部で6種類ある。そして、そのすべてが少しずつ違うつづりなのだ!
せっかくなので、具体的に見てみよう。6つのサインはどれも法的な書類に記されたものだそうだ。アメリカのシェイクスピア研究サイトによると、その内訳は…
- 宣誓証書(1件)
- 財産譲渡書類(2件)
- 遺言(3件)
面白いことに、カレントアウェアネス・ポータルによると、シェイクスピアは1通の遺言に3回もサインしている。そして、そのすべてでつづりが違うというのだ!
ちなみに、その6つのつづりは以下の通り。
- 宣誓証書:Willm Shakp
- 財産譲渡書類:William Shakspēr、Wm Shakspē
- 遺言:William Shakspere、Willm Shakspere、William Shakspeare
そもそも名前が省略されていたり、文字があったりなかったりと、本当に一定ではないことが分かる。現代では英語のテストでこんなことをしたら、間違いなく減点されるというのに…現代の我々からすれば、まったくうらやましい限りである。
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【追加雑学①】シェイクスピアだけじゃない!英語のつづりはそもそもひとつではなかった?
しかし、そもそもなぜ、英文学の偉人シェイクスピアがつづりに関してはこんなにもいいかげんだったのだろうか?
その答えは英語そのものの歴史にある。実は、英語のつづりが単語ごとにひとつに固定されるのは17世紀以降の話なのだ。
シェイクスピアが生きていた16~17世紀前半は、まだつづりが固定されていなかった。似たような音で読めれば、それで良かったらしい。ひとつの単語に何通りものつづりがあるのが当たり前だったから、当然、名前もそのときどきでなんとなく書いていたのだ!
だがこの柔軟さは、残念ながら、だんだんと失われてしまった。17世紀以降、印刷術の伝来や辞書の編纂によって、ひとつの正しいつづりという考え方が広まったという。
【追加雑学②】シェイクスピアの7番目のサインは存在するのか?
6つしか見つかっていないシェイクスピアのサイン。だが、多作な彼であるから、もっとサインが存在するはず。
調べてみるとそう考える人は他にもいて、1930年代から物議をかもしている「7番目のサイン」が存在した!
あるシェイクスピア研究団体が発見したもので、「アルカイオノミア」(英題:Archaionomia)という本のタイトルページに書かれているという。
多くの有識者に認められているとされているが、決定的な証拠は見つかっておらず、今だに研究途中らしい。もしこれが本当にシェイクスピアが書いたものだとすれば相当な価値があるものだけに、みな慎重になっているようだ。
雑学まとめ
今回は、誰でも知っている歴史上の人物・シェイクスピアのサインについての雑学を紹介した。覚えるのに苦労する彼の名前も、昔は本人でさえ何通りも違うつづりで書いていたとは…まして昔は英単語そのものに複数のつづりがあったとは…知らなかった。
今だに認められていない「7番目のサイン」がシェイクスピア本人のものであるか、今後の展開が楽しみである。
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