数少ない公営ギャンブルの中でも、人気の高い競馬の世界。馬は人間よりも血統が如実に現れるため、競馬はブラッドスポーツ(血のスポーツ)とも呼ばれている。
スポーツとはいえ、ギャンブルなのでお金を賭けるわけだが、競馬では特殊な計算方法によってはじき出されたオッズ(Odds)という倍率によって配当を決めている。たとえばオッズが5.0倍の馬券を100円購入し、これが的中すれば500円の払い戻しを受けることできる。
1レースの総投票数によってオッズは常に変動し、投票締め切り後に確定のオッズが発表される。当然人気のある馬が勝つと配当は安く、逆に人気のない馬が勝つと、配当は高くなる。
ここで疑問。もし、レースで勝った馬の馬券を誰も買っていなかったら、配当はどうなってしまうのだろうか。今回の雑学ではこの謎について迫っていくぞ!
【スポーツ雑学】競馬でもし誰も当たらなかったときはどうなる?そのルールとは?
【雑学解説】競馬の法律!競馬法第8条にそのルールの記載を発見!
国営ギャンブルということもあるのだろうか、競馬には競馬法という法律が存在し、その中で的中がなかった場合の払戻しについて規定があった。
競馬法は、日本における競馬の開催・競馬場・開催回数・入場料・勝馬投票券(馬券)・投票法・払い戻しなど、競馬に関する様々な項目を定めた法律である。
日本では国が運営する中央競馬会(JRA)と各都道府県が運営する地方競馬が存在するが、そのどちらもこの法律によって、競馬を開催・運営している。
現在、競馬で買える勝馬投票券は単勝・複勝・馬連・馬単・ワイド・3連単・3連複の7種類。オッズは各投票方式によって個別に計算されている。ちなみに通り数が一番多いのは3連単で、最大4896通りになる。
この競馬法8条3項に的中者がいなかった場合の払い戻しについて書かれていた。
競馬法第8条3項「勝馬投票の的中者がない場合においては、その競走についての払戻対象総額を、当該競走における勝馬以外の出走した馬に投票したものに対し、各勝馬投票券に按分して払戻金として交付する」
ようするに「誰も当たらなかった場合は馬券を買った人全員に払い戻しをしますよ」ということが書かれている。
いわゆる「特払い」と呼ばれるシステムだが、安心してはいけない。この文章にある「払戻対象総額」というのがこの事項の肝である。
払戻対象額とは売上金を一定の率で控除した金額であり、購入した金額のすべてが戻ってくるわけではない。控除される率は各投票方式によってことなり、単勝・複勝は約80%、その他は約70%となっており、100円購入の場合は下1桁を除いて80円ないし70円の払い戻しを受けることとなる。
つまり誰も当たらなかった場合は、自分が購入した馬券の金額の80%~70%の払い戻しが受けられる。自分の馬券が外れると思ったら、誰も購入していない馬が勝つことを祈るのみである。
しかし、現実はそんなに甘くない。実際にこの「特払い」が発生した事例はほとんどなく、中央競馬では150年以上続く歴史の中で、たった10回程度である。自分の馬券が外れたら素直にあきらめることが大切だ。
【追加雑学】競馬の控除率は?
ここで控除率についても触れておこう。競馬のみならず、すべてのギャンブルには「控除率」なるもが存在する。これはギャンブルを主催する胴元の取り分であり、賭ける方からすれば手数料のようなものである。
競馬であれば20%~30%が控除されており、100円の馬券は実は70円程度の価値しかないのだ。そのため、「特払い」による払い戻しも70円になるということだ。ギャンブルは賭けた時点でもう負けているのである。
その他のギャンブルにおける控除率は以下の通り。
宝くじ | 55% |
スポーツ振興くじ(toto) | 50% |
オートレース | 30% |
競輪・競艇 | 25% |
パチンコ・パチスロ | 10%~15% |
ルーレット | 2.7%~5% |
バカラ | 1%~4% |
宝くじが55%は驚いた。宝くじは総売り上げの45%が主催する銀行にわたり、残った55%を当選者で山分けする仕組みとなっているのだ。
表をみてみると参加者が多いものほど控除率も高く、勝ちにくいことがわかる。
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雑学まとめ
今回は競馬のルールにまつわる雑学をご紹介した。的中者がいなかったレースでは80%~70%の払戻しを受けるという、いわゆる「痛み分け」のような形で収拾される。なんだか損している気分にもなるが、本来当たらなかったら払戻しすら受けられないので、払戻しがあるだけ公平な措置といえよう。
競馬のみならず、あらゆるギャンブルの裏に控除率ありということだ。100円を賭けてギャンブルをしているつもりでも、実際は控除率が掛けられ、投資の価値は下がった状態からスタートする。ギャンブルを楽しむのもいいが、このあたりをしっかり熟知したうえで、楽しむことをおすすめする。
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