クジラは魚の仲間と間違えられることもあるが、哺乳類である。エラ呼吸ではなく肺呼吸を行うため、定期的に水面に顔を出さないと窒息して死んでしまうのだ。肺呼吸を行うわけだから、陸地に上がったとしても呼吸を行うことができる。
当然、陸地に上がっても生きていられるはずである。しかし、陸地に打ち上げられて死んだクジラは非常に多い。陸上では動くのが難しい体型とはいえ、あまりに短時間で死んでしまうのだ。なぜ哺乳類で肺呼吸をしているはずのクジラが、陸に上がると死んでしまうのだろうか?
今回の雑学記事では、クジラが陸に上がると死んでしまう二つの理由についてご紹介しよう。
【動物雑学】クジラが陸で生きられない理由
【雑学解説】クジラが陸で生きられない理由は2つある
クジラが陸で生きられない理由は2つある。
- 身体が重くて地上で息ができない
- 地上では体温が上昇してしまう
それぞれについて解説していこう。
クジラは身体が重くて地上で息ができない
大型のクジラは、地上の動物とは比べ物にならないほど大きな体をもっている。たとえばシロナガスクジラは、地球が始まって以来最も大きな体をもつ動物として知られている。クジラがここまで大きな体をもてるようになったのは、水中で生活しているおかげなのだ。
地上ではあまり大きくなりすぎると、膝などに負担がかかる。生物が大きくなることには限界があるのだ。しかし、水中では浮力によって体を支えられている。体重が重くなっても、陸上ほど体に負担がかからない。
水中は、地上よりも生物が大きくなれる環境なのだ。しかし、水中で生活することに適しているクジラの体は、陸地に上がると息ができなくなる。重くなりすぎた体重で肺が押しつぶされて、窒息してしまうのだ。下の動画は、海岸に打ち上げられたクジラの映像である。
小型のクジラであるイルカなどは、そこまで体重は重くない。陸に上がっても、ある程度呼吸できるのだ。しかし、イルカでも長時間呼吸をすることはできないといわれている。水中生活に適しているため、骨格で肺を守ることが難しいのである。
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クジラは地上では体温が上昇してしまう
クジラが地上で生きられない理由は、呼吸ができないだけではない。地上と水中では熱伝導率が違い、水中では地上の25倍の速さで熱が奪われてしまう。そのため、クジラは脂肪が多く体温を奪われにくい体をしている。裏を返すと、体内に熱がこもりやすいといえる。
これの体質が地上ではやっかいなことになる。恒温動物のクジラは、水中では熱を発生させることで体温を維持している。しかし、熱を奪われにくい空気中では体内に熱がこもる。地上に出たクジラの体温は、どんどん上昇してしまうのだ。
本来、恒温動物は汗をかいて、体を水分で覆うことで体を冷やす。しかし、水中で生活するクジラは汗をかく意味がないため、汗をかくことができない体に進化した。体温が上がっても、陸上で体を冷やす手段はないのだ。
これは、クジラの命を脅かす大問題である。イルカを水族館に輸送する際、体に水をかけているのは体温を上げないためなのだ。
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【追加雑学】大型のクジラが打ち上げられると助ける方法がない
イルカが飼育されている水族館は珍しくないし、シャチも水族館で見ることができる。仮にイルカやシャチが陸地に打ち上げられたとしても早い段階なら助けることができるし、プールを用意すればそこで飼育することもできる。下の動画は、水族館のイルカの様子を映したものだ。
しかし、人間の用意できるプールで飼育できるのはシャチが限界といわれている。それより大きなクジラは飼育できない。シャチでさえも、水族館で飼育していると背骨が曲がってくるといわれているのだ。
仮に大きなクジラが生活できるプールが作られたとしても、そこまで輸送することは困難だ。そもそも、大きなクジラは短時間で窒息してしまう。そのため助けるのは不可能に近いのである。
雑学まとめ
クジラが陸に上がると生きていけない理由を、雑学としてご紹介した。
クジラは哺乳類だが、一生水中で暮らす生物だ。肺呼吸のままではあるものの、見事に水中での生活に適応している。泳ぐのはかなり速く、骨格の頑丈さや筋肉量は魚類を圧倒している。
あまり強いイメージのないクジラだが、自分より大きいサメを殺してしまうなど、非常に攻撃力の高い生き物でもある。しかし、水中に適応したために体が大きくなり、陸上で体温を下げることもできない。肺呼吸のままなのに、地上では生きられない体になってしまった。
何かを得ることによって失われるものがあるのは、進化でも同じと言えるだろう。
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