カーリングが国内で一躍知られるようになったのは、1998年、長野オリンピックで正式種目に採用されてからだろう。その後、オリンピックや世界大会において「チーム青森」や「北海道銀行」といった女子代表チームの活躍もあり、ますます世間の注目を集めるようになった。
2018年に開催されたピョンチャンオリンピックでは、「もぐもぐタイム」で話題を集めた「ロコ・ソラーレ/LS北見」が3位決定戦でイギリスを破り、銅メダルに輝いたことも記憶に新しい。
選手たちの人柄や言動にも注目が集まるカーリングだが、実は、競技に使用される円盤状のストーンには、意外な秘密が隠されていた。今回はそんなカーリングストーンにまつわる雑学をご紹介する。
【スポーツ雑学】カーリングのストーンは1個いくら?
【雑学解説】カーリングは謎とロマンにつつまれたスポーツ!
カーリングは、約40メートル離れた氷上のサークルに向かって、ストーンと呼ばれる丸い石を滑らせ、より中心近くに置いたチームに得点が入るスポーツだ。氷上のチェスと呼ばれている。
1チームは4人で構成される。サークルに向かって、両チームの選手がストーンを交互に1人2回、計8回ずつを投げ合い、これを計10回繰り返すことで勝敗を決める。
選手がサークルに向かって投げるのは、直径約30センチ・重さ20キロ近くもある円盤状の、上部にドアの取っ手のようなものが付いたストーンである。ストーンの原材料には、日本では墓石の原材料として知られる、花崗岩(かこうがん)が使用されている。
この花崗岩は、カーリング発祥の地であるスコットランドの沖合に浮かぶ、アルサクレイグ島からのみ産出することが決められている。島内から産出される花崗岩は、耐久性に優れ、氷上の滑りが良く、さらに繊細な曲がりも可能にすることから、高値で取引されているのだ。
良質な花崗岩が産出されるのは、島が形成されたプロセスに秘密がある。約6000万年前のアルサクレイグ島は、大量のマグマが海上に上昇して形成されており、脆い岩盤は海の浸食によって削られるため、ひび割れがまったくない良質な花崗岩が採取できるという。
以上のことから、石質の良さがわかっていただけるだろう。したがって、ストーンも高額となり、1個あたり10万円ほどの値段が付けられている。
【追加雑学①】同じように見えるストーンにもそれぞれ個性がある
ストーンの原材料となる花崗岩が、いくら衝撃に強く耐久性に優れているといっても、約20キロ近いストーン同士が激しくぶつかりあうので、ストーンの消耗も激しくダメージも蓄積されていく。
したがって、同じように見えるストーンでもそれぞれにクセがあり、氷上での曲がり方も微妙に異なるという。試合前、選手やコーチたちがあらかじめ試技を行って、ストーンの特徴を見極めるのはそのためである。この光景を映像で目にした方もいるだろう。
曲がり幅の予想のつかないクセの強いストーンが見つかった場合、そのストーンは試合では使用しないか、またはリードとセカンドと呼ばれる、チームの1番手と2番手の選手たちにわりあてられることが一般的だ。
というのも、サードとスキップと呼ばれる後続の選手たちになればなるほど、得点に直結するプレーにつながるため、よりクセのないストーンを選ぶ必要があるからだ。
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【追加雑学②】ストーンが氷上で曲がるメカニズムは、いまだに解明されていない
こんなシーンを目にしたことはないだろうか。選手がストーンを投げる際に、指先でひねりを加えてストーンを放す光景を。選手の手を離れたストーンはゆるやかに回転しながら、半円を描くようにサークルへ向かっていく。
では、なぜ氷上でストーンが曲がるのか。この物理的なメカニズムは、現在でも科学的には解明されていないという。選手がストーンを放す際に右にひねりを加えると、ストーンも同じように右に回転がかかり、時計まわりに曲がっていく。
あたり前のように思える動きだが、これは氷上だけの現象である。たとえば、テーブルの上のビンをひっくり返し、上口の部分を下にして右に回転させると、ビンは摩擦の結果左側に動いていく。そう、右まわりに回転させた物体が、同じように右に曲がるのは氷上だけの動きなのだ。
だが、この動きのメカニズムは、氷上における摩擦力の有無のみでは説明できないという。
氷上でストーンが曲がる現象には諸説あり、氷上にできた無数の氷の粒がストーンの氷上面に接して、摩擦力が生じて曲がるという説。あるいは、氷上と接触するストーンが小さな痕を作りながら進むことで、その痕によってストーンが曲がる説など、いくつか理論が提唱されている。
しかし、氷上でストーンが曲がるメカニズムは、科学的にはいまだに解明されていないのが実情だという。スポーツと科学は、現在は切っても切れない関係にあるが、科学の力をもってしても解明できない現象がある点がおもしろい。
カーリングの雑学まとめ
ここまでカーリングの1個あたりの値段と、カーリングにまつわる雑学をご紹介してきた。カーリングという競技は、試合に使用される道具や氷上の現象からも、興味深いスポーツだとわかっていただけただろうか。
記事を読んで「そだねー」ならぬ、「そなんだー!」と読者の方が思ってくれたら、筆者としてこれほど嬉しいことはない。
ではキリのいいところで、私は「もぐもぐタイム」にうつらせていただく。それでは、またお会いしましょう。
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