医学や細胞学に明るくない人でも、1度は目にしたことがあるであろう「iPS細胞」。意味はわからなくても、みんなどこかで見聞きしたことがある、というのはすごいことである。
しかし、このiPS細胞はなぜ小文字から始まっているの? と疑問に思った人もいるだろう。きっと、ノーベル賞を取るほどのものすごい細胞なんだから、とてつもなく深い意味があるはずだ!
iPS細胞の「i」がなぜ小文字なのかを調べてみたら、驚きの事実が隠されていたので雑学として紹介するぞ!
【人体雑学】iPS細胞の「i」が小文字である理由
【雑学解説】なぜ小文字?iPS細胞は山中教授がiPodをパクった?
またまた教授、ご冗談を。と、思わず突っ込みたくなる話だが、iPS細胞を作り出し、ノーベル賞を取った山中教授ご本人が言ってるんだから間違いない。
最初の文字を小文字にしたのは、当時、流行していた携帯型デジタル音楽プレーヤーのiPodにあやかりました。自分で発見して名付けた遺伝子の名前が使われなかった過去の苦い経験から、なるべく覚えやすい名前にしたかったからです。
iPSの名前をつけるときにiPodの真似をしたのは、実は山中教授の強い願いが込められていたのだ。
iPSって何の略?小文字の「i」じゃないとダメだったほかの理由は?
少し難しい話になるが、iPS細胞の正式名称は「人工多能性幹細胞」。英語では「Induced Pluripotent Stem Cells」という。英語を見てピンときた人も多いと思うが、英語名の頭文字を取ってIPS細胞と付けた。
しかし「IPS細胞」だと、すでにある「侵入検地システム(Intrusion Protection System)」と同じになってしまうのでボツ。
そこで山中教授は、少し前に発売された世界の人気者「iPod」にあやかり、「iPS細胞」と決めたそうだ。山中教授の願い通り、iPS細胞はしっかりみんなの頭にインプットされた。
iPS細胞って何?
山中教授研究チームが作りだした「iPS細胞」は、万能細胞とも呼ばれる。万能…つまり何にでも変化できる細胞というのは、自分の心臓や脳などの臓器をも作り出せてしまう、ということ。
近い将来、脳死判定の臓器を待たずとも、自分の細胞からほしい臓器を再生させて、自分に移植する…なんていう時代が来るかもしれないのだ。
再生医療の道を大きく切り開き、今後の医療現場で活躍が期待されるiPS細胞。まだ臨床では使えないそうだが、研究はかなり進んでいるようだ。いつかiPS細胞に助けられる日が訪れるかもしれない。
スポンサーリンク
【追加雑学】iPS細胞だけじゃない!頭文字が小文字の言葉は覚えられやすい
頭文字が小文字の言葉というと、iTunes・eCommerce・mRNA・iPhone…などあるが、「おお、見たことある!」というものがほとんどだろう。
これらは有名だからというのももちろんなのだが、覚えられやすい一面があるのだ。
新しい言葉は違和感と視覚効果でインプットさせる
ネーミングは、重要なコミュニケーションツールである。今まで誰の頭にも存在しなかった言葉を一発でインプットさせるには「違和感と視覚効果」が重要だ。
英語の授業で、「名前の頭文字は大文字!」と習ったと思う。その常識を破ると、人は違和感を覚える。それがiPodやiPS細胞などだ。
違和感と視覚効果の例でいくと「藤岡弘、」とか「つのだ☆ひろ」「モーニング娘。」「DeNA」などもある。イヤでも目に付く。
意味はわからなくても、とにかく覚えてもらいたいときは使えるテクニックである。
レアルマドリードでも小文字の「i」を使っていた?
サッカーファンなら常識なのかもしれないが、レアルマドリードのユニフォームでは、選手名に「I(アイ)」が使われる場合、小文字の「 i 」になっている。
理由は大文字の「 I(アイ)」と小文字の「l(エル)」の見分けがつきにくいということらしい。
この記名法は、17’~18’シーズンで採用されているそうだ。理由は「05’~06’のフォントデザインにインスパイアされたから」らしい。
つまり、目立つしかっこよかった! ってことなんだろう。たしかに、何かやってくれそうだし、かっこいいな! って思う。
雑学まとめ
iPS細胞の「i」が小文字である理由は、山中教授の遊び心と、切なる願いが込められていたという雑学をご紹介した。
iPS細胞の「 i 」は、Inducedの「 i 」だったが、iPodの「i」は、internet(インターネット)・individual(個人の)・inspire(ひらめき)・inform(知らせる)・instruct(教える)の5つの「 i 」の意味があるそうだ。
「アップル社のiPodのように!」と、山中教授は言うが、この話をスティーブ・ジョブズ氏が聞いたら、きっとものすごく光栄に思ったんじゃないかな~? などと想像してしまう。
みなさんも、もし何か世紀の大発見をしてネーミングに困ったら、この頭文字小文字技を使ってみると良いかもしれない。