ネコはどんなに狭い隙間でも通り抜けてしまうし、ちょっとぐらいなら高いところから落ちても平気。
…あの神がかり的な柔軟性はいったい、どこから来ているのか? きっと、骨がたくさんあって、関節の数がめっちゃ多いとかそんな感じだよね!
なんて、思っている人は多いだろう。それもある意味間違いではないが…、ネコの柔軟性はその骨の数だけが理由ではない。え…? 骨の数以外にどんな理由が…?
ということで今回は、ネコの骨とその柔軟性の雑学に迫っていこう!
【動物雑学】ネコの骨の数は人間より多いけど…柔軟性の秘密は数じゃない
【雑学解説】ネコの骨の数は約240本。尻尾を除けば実は人間と大差ない
ネコの骨格は全部で約240本の骨から構成される。これは人間と比べて約40本ほど多い。なるほど…それだけ関節が多くなるから、ネコはあんなにしなやかに身体を動かすことができるんだな!
…というのは、ちょっと早とちりだ。ネコの柔軟な動きは、単に骨の数だけでは成し得ない。
その証拠に犬の骨は約320本と、ネコよりもずっと多いが、彼らにネコのように柔軟なイメージはないはずだ。
さらにいえば、ネコの240本ある骨のうち、20本(長い種類で最大24本)ほどは尻尾を構成する尾椎のため、身体の部分の骨の数は実は人間と大差ない。
…じゃあなんであんなに身体が柔らかいの? 骨がこんにゃくなの? なんてことももちろんない。
ネコの柔軟性を実現しているのは、骨の数というより、その骨格の特殊な構造である。
【追加雑学①】ネコの背骨はお椀を重ねたかのような構造
ネコの骨格の最大の特徴は、しなやかに丸められる背骨だろう。
まず背骨には、ひとつずつギザギザした突起が付いている。人間の背骨を触ってみても、背中側に突起があることがわかるはずだ。この突起がつっかえることで、背骨の曲がり方をコントロールしていることも、なんとなく想像できるだろう。
が、この背中の縦のラインは、背骨(脊椎)の後ろ側にあるトゲトゲ、「棘突起」です↓ pic.twitter.com/MfK2XPxrAb
— Natsuko(ロルファー™/ロルフィング®︎施術者) (@natsuina38) August 7, 2016
犬やネコの場合はこの背骨の突起の向きが、胸の部分と腰の部分で違っている。胸の部分は下半身側に、腰の部分は上半身側にそれぞれ突起が突き出ている感じだ。この構造によって、犬やネコは身体をぐるっと丸めて寝られるのである。
これお昼ご飯食べた1分後に寝るネコ pic.twitter.com/tuwOXw8jQ9
— だいたいいろ (@daidai_Iro) May 12, 2020
そしてもちろん、ネコの背骨は犬のものよりさらに丸めやすくなっている。
ネコの背骨は犬のものと比べても、腰の部分の突起が上半身側にかなり突き出した、まるでお椀を何枚も重ねたかのような構造になっているのだ。以下の画像でも、その特殊な腰骨を確認できるぞ。
座ったネコの骨格図にシルエットをつけてみた。 pic.twitter.com/bch0SFBkkx
— studiocorvo (@studiocorvo) April 4, 2017
ネコが柔軟に身体を丸められる秘密は、このお椀のように重なり合った背骨の構造にあるのだ。ネコ科の肉食動物はこの特殊な背骨で身体を丸め、そのバネを使って獲物に飛びかかるのである!
犬も肉食動物ではあるが、彼らは飛びかかるよりも、真っ直ぐに伸びた足で追いかけるように骨格が進化した。これが犬より骨の少ないネコのほうが、身体に柔軟性がある秘密だ。
ちなみにいうと、たしかにネコは背骨の数自体も人間より3本ほど多い。しかしすごい方向に身体を曲げられたり、高い所から落ちても平気だったりするのは、なにより背骨を大きくグネっと曲げられる構造があってこそのものなのだ。
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【追加雑学②】後ろ足は常時つま先立ち状態
ネコが獲物に飛びかかるための構造は、背骨だけではなく、後ろ足にもある。
ネコの後ろ足は前方に曲がったヒザの部分と、それとは別に後方に曲がった部分がある、いわゆる「S字」の形をしている。実はこのうち、後方に曲がっている部分が、ネコにとってのカカトである。
我々が足の裏だと思っている肉球の付いている部分は、ネコにとってはつま先にすぎないのだ。つまりネコの後ろ足は常時つま先立ち状態である。
ネコは常につま先立ち pic.twitter.com/en4imuK5Gn
— ꧁きのすら꧂ (@Cyn0sura) February 7, 2019
この常時つま先立ち状態が、いつでも飛びかかれる俊敏な動きを可能にしている。これもまた自然界で暮らしていたころの名残りである。
このように、ネコは人に飼われるようになってからも、ハンターだったころの面影をその骨格に残し続けているのだ。
なんでもネコは骨格でいえば、同じネコ科のライオンをそのまま小さくしたような感じで、違うのは大きさぐらいだというぞ。
【追加雑学②】狭い隙間を通り抜けてしまうネコの鎖骨の秘密
さて、ネコの柔軟性に関してもうひとつ、よく言われることといえば「頭さえ通れば、どんな狭い隙間も通り抜けられる」ということである。
ネコは肩が自在に外せるのか? なんてよく言ったものだが、実はこれは案外的を射ている。要は外しているのと同じぐらい、肩が柔軟に動かせるのだ。
まず人間の場合、鎖骨と肩の骨が繋がっていることは触ってみてもしっかりとわかる。ネコはこの鎖骨が肩の骨とは繋がっておらず、独立した状態になっているのだ。
肩と鎖骨が繋がっていないということは…顔の幅より小さく肩をすぼめることも可能である。これがネコが狭いところを通り抜けられる秘密だ。
以下の動画で実際にネコが穴を通り抜けるところを見てみよう。鎖骨が邪魔にならなければ、どんな小さな隙間もなんのそのだ!
雑学まとめ
今回はネコの骨の数に始まり、持ち前の柔軟性を発揮させる骨格の雑学をお届けした!
ネコはたしかに人間より骨の数が多いが、尻尾を除けばその差はほんの少し。それよりもよく丸まる背骨や、独立した鎖骨といった骨の構造に柔軟性の秘密があった。
野生の時代は獲物を捕まえるためだったその骨格も、今となっては変な格好で寝るぐらいしか使い道がないんじゃ…? などと思わされるが…。
その姿に癒されているわけだし、まあいいか!
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