戦争には、勃発年と終結年があるもの…学校の授業でさんざん語呂合わせで覚えさせられるので、戦争は月単位・年単位の長いものと考えがちだ。しかし、世界にはそんな戦争に対するイメージを覆す短い戦争があった!
ということで、今回は世界で一番短い戦争、イギリス・ザンジバル戦争についての雑学を紹介するぞ。
【歴史雑学】 イギリス・ザンジバル戦争は45分で終わった
【雑学解説】イギリス・ザンジバル戦争は長くても45分で決着がついた
イギリス・ザンジバル戦争は、1896年8月27日に行われた。かかった時間については諸説あるが、長くても45分で終結したとされる。
なぜ、戦争の期間に諸説あるのかも気になるが、まずはイギリス・ザンジバル戦争の原因を知りたいところ。なぜこの短い戦争が起きたのだろう? ここまで短いのならば、戦争する必要がなかったのでは…?
その理由は、どうやら19世紀のヨーロッパ諸国の帝国主義にあるらしい。帝国主義とは、簡単に言ってしまえば、ある国が他の国や地域を支配することで国外に領土や勢力を広げること。
その帝国主義の代表例が、有名な大英帝国(現在のイギリス)である。そして、この大英帝国が、ザンジバルでの支配を確立するために行った戦争が、イギリス・ザンジバル戦争なのだ。
事の発端は、1893年に大英帝国が自国に協力的なハマド・ビン・トゥワイニをザンジバルのトップ(スルタン)に任命したことだ。しかし、この任命に不満をもった人々もいた。その反対派が1896年8月25日にクーデターを起こし、スルタンを殺害したのち、その甥ハリド・ビン・バルガシュが自分がスルタンだと宣言しまったのだ!
自分の任命したスルタンを排除された大英帝国はこれに反対し、バルガシュに退位するように要求。しかし、バルガシュが期限までに退位しなかったために、1896年8月27日午前9時に大英帝国軍に攻撃の命令が出され、イギリス・ザンジバル戦争が始まったというわけだ。
スポンサーリンク
【追加雑学①】なぜイギリス・ザンジバル戦争の所要時間は諸説あるのか?
これは、イギリス・ザンジバル戦争があまりに短かったからだ。何をもって開戦とし、何をもって終戦とするかで所要時間が変わってしまうのだ。
砲撃の命令が出された午前9時を始まりとするか、あるいは最初の砲撃とその砲撃による被害が確認された午前9時2分を始まりとするか。終わりについても、主な砲撃が止みバルガシュが白旗を揚げた時間が資料によって、午前9時40分から9時45分の間でばらつきがあるのだ。
というわけで、検索すると38分、40分、あるいは45分と違う時間が出てくるが、どれも間違いとは言えないのだ。
【追加雑学②】イギリス・ザンジバル戦争はギネスブックには載っている?
なんと、このイギリス・ザンジバル戦争は、『ギネス世界記録 2007年版(原題:Guinness world records, 2007)』に載っていた! その記録では、午前9時から45分間で終わったと紹介されている。何にせよ、正式に世界で一番短い戦争というわけだ。
ちなみにこの年のギネス記録には、世界で一番長い戦争も載っている。それによると、世界で一番長く途切れることなく続いた戦争はヨーロッパで起きた三十年戦争(1618~1648年)、断続的に最も長く続いたのはイギリスとフランスの間で起こった百年戦争(1337~1453年)だという。
おすすめ記事
-
世界最古の戦争は?100年にも及ぶ戦いだった!【ラガシュ・ウンマの戦い】
続きを見る
-
死傷者ゼロ!?オランダvsイギリスの戦争は335年続いた
続きを見る
雑学まとめ
今回は、世界で一番短い戦争、イギリス・ザンジバル戦争についての雑学を紹介したぞ。国のトップを誰にするかというのはいつの時代でも重要な問題だが、外国勢力が戦争という形でこんなに早く片をつけてしまったというのには驚いた。
しかし、45分で終わるとは…お昼休みの間に終わってしまってしまう戦争なのだから、かなりのスピードである。