「猫は死ぬ前に自分からいなくなる」という話を聞いたことはないだろうか。筆者自身、猫を飼っていたためこの話を聞いた覚えはある。
「でも動物にそんな思考があるとは思えない…」と思っていた筆者が体験した話と、獣医さんから実際に聞いた話を交えてこの噂の真相を追及していこう。
猫が大好きな人にとってもそうでない人にとっても、興味深い雑学になるはずだ。それでは、不思議な猫の世界にご案内!
【動物雑学】猫は「死ぬ前に飼い主の前から姿を消す」はほんと?
【雑学解説】死ぬ前に突然いなくなる猫の謎はその習性にあった
まず第一に、猫に自分自身の死期や体の限界を理解することができるのか。これについては獣医さんによると、死という概念は持ち合わせていないだろうとのこと。
だから、死ぬことを悟ったうえで姿を消すということはない、という結論に至ったのである。それならなぜこういった話を耳にすることがよくあるのか、それについて解説していこう。
飼い猫でも野良猫でも、外を自由に歩き回れる猫にとって怪我はつきものだ。他の猫との縄張り争いや交通事故で不運な怪我を負うことは多い。怪我を負った猫はすぐに自分の家やテリトリーには帰らない。
他の動物に攻撃されないようになるべく安全な場所を見つけ、そこで治癒するまでじっと動かず身を潜めるという習性があるそうだ。しかし残念ながら、そのまま回復できずに死んでしまうことがよくある。
自宅の近くで交通事故にあった形跡もなく、飼い主からすればいつもと同じように出て行った猫が帰ってこない、という結果になる。
しかし、猫は体調が悪くてもいつもと行動が変わらないことが多い。目の前で嘔吐したり、ぐったりしていれば飼い主も気づきやすいが、こればかりは仕方がない。
そしてそれに気づかずいつも通り、外出させてしまったりする。その先で体調が悪化した猫が帰ってこないといったようなケースもある。
単純に、知らないあいだに遠くまで行きすぎて帰ることができなくなることもある。理由は様々だが、いつもと変わりがなかったと認識している飼い主からすれば突然いなくなったと思ってしまう。死ぬ前に姿を消したといわれるようになったのは、こういった理由からではないか。
死ぬ前に姿を消すのは本当なのか?筆者が実際に体験した猫の話
習性から導き出された答えは出た。しかし、猫を多頭飼いしていた筆者の実体験を聞いてほしい。
両親共に動物好きだったため、幼いころから猫に囲まれて育ってきた。その中でも、捨て猫だった一匹の猫がとても印象的だったことを覚えている。
とても頭のいい猫で、いたずらをして怒られたときはなんと…怒った人の部屋や靴などに粗相するといったミラクルな猫だった。偶然かもしれないが、それにしても、正確にその相手を認識しているような場所や物に粗相をすることが続いた。
その猫が一番気を許し大好きだったのが祖父で、唯一この猫が布団に潜り込むのは祖父のところだった。外出も好きな猫で、自宅から結構離れた場所を悠々と散歩しているのを見かけたことが何度もある。
だからそんな猫が道に迷うなんて考えられなかった。拾ってから14年、祖父と仲良く暮らしていたその猫がある日ふらっと出て行ったきり突然帰ってこなくなった。
猫の14歳といえば人間でいう72歳ほどにあたる。もう何年も外出せず、祖父の部屋や屋内で暮らしてきた猫が突然外に出たがり、そのまま帰ってこなかったのだ。
偶然かもしれない。頭のいい猫だ! と思っていたのは飼い主の欲目かもしれない。それでも家族全員、自分の死んだ姿を見て祖父が悲しまないようにいなくなったのではないかと今でも考えている。
これについては何の根拠もなく、獣医さんの話の方が説得力はもちろんある。しかし世の中には、説明しきれない不思議なことが多く存在すると思う。
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【追加雑学】猫に振り回される人間の小話
飼い猫が突然いなくなった、と悲しむ筆者の友人。家の周辺を捜したが見つからない。交通事故にあった様子もない。
もう諦めるしかないのかと落胆していた。そんなとき、友人の母が衝撃の発言を。
「あの、言いづらいんだけど…。ちょっと離れた住宅街で見つけたんだよね。でもたぶんあれはよそ様に飼われていると思う。」
目が点になった。後日確認に行き、経緯を話すことに。
本当に飼われていたようで、とても人慣れした野良猫だと思い飼い始めたそう。快く、本当の飼い主様なら連れて帰ってあげてくださいということに。
いざ連れ帰ってきたものの、外出させると必ずそのお宅に訪問してから友人宅に帰ってくるようで、両者話し合いの末、遊びに来たら両方のお宅で可愛がるという方向で話がついたそう。
猫からすると貰える愛情(おやつも)2倍、飼い主からすると外出中の怪我の心配は2分の1ということでお互いウインウイン! なのか…?
やや猫に軍配が上がっているような…。
雑学まとめ
猫は死ぬ前に姿を消すという噂について、理論的事実と筆者の体験した出来事を参考にご紹介してみた。やはり現状では、この噂は事実ではないといった結論に至るのであろう。しかし、全くのデマであるとも言えないと猫贔屓の筆者は思ってしまう。
この雑学記事を読んでくれた読者様が、少しでも共感してくれる部分があれば嬉しい。
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