近年、ペットとして大注目のハリネズミ。猫カフェ・爬虫類カフェに続いて「ハリネズミカフェ」なるものまで登場する人気ぶりである。
まん丸なフォルムに愛らしくヒクヒクと動く鼻。しかし一番の特徴は…かわいものにはトゲがある! といわんばかりのあの針の山だ!
…身体から針が生えてるってめっちゃ不思議だよな…。うん、不思議には違いない。しかしハリネズミの針を針と言い切ってしまうのは、実はちょっと勘違いだ。…え? どういうこと?
今回の雑学では、不思議いっぱいのハリネズミを徹底解説していこう!
【動物雑学】ハリネズミの"針"の正体とは?
【雑学解説】ハリネズミの針の正体は「体毛」
ハリネズミは、実は体から針を生やしているわけではない。あの針の正体は実は、硬い体毛である。
わかりやすくいうと、ハードジェルとスプレーを使ってガチガチに固めてツンツンにした髪の毛のような感じだ。つまり毛を複数本まとめて硬化させる生態をもっているのである。
だから正確には「針」ではなく、「まとまって針のように固まった体毛」が合っている。それ、もう針でいいやん…というのは言いっこなしである。
5000本から7000本あるといわれている針(もう針って言ってる…)。複数本毛を固めた針でそれだけの本数があるということは…針を形成しなければ、もっと毛まみれの生き物になっていたのではないか…。
ちなみにあの背中一面を覆う針は、お腹にはまったく生えていない。ハリネズミのお腹はふわふわだ。上から触ると痛いが、下から触ればふわふわ。初めて触ったときはそのギャップに驚かされるぞ!
以下の動画では、ハリネズミが柔らかいお腹を丸出しにしているが…ツンツンした背中とは大違いだ。かわいい!!
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【追加雑学①】ハリネズミの針は痛い?
ハリネズミを飼っている人が聞かれる質問ナンバー1はきっとこれ!
「ハリネズミの針って痛いの?」
はい、痛いです。
ハリネズミの針は、そもそも外敵から身を守るためのものなので、痛くないと意味がない。ハリネズミの針は、人の爪ぐらいの硬さがある。立てているときに手のひらに乗せようもんなら、それこそ重量のあるイガ栗を乗せているようなもんで、普通に痛い。
しかも基本は警戒心が強い生き物なので、飼い始めなんかはほとんどの子が針を立てて威嚇してくる。
「フシュ!フシュ!」と吹き出すような声を出していたらそれは威嚇の合図。こういうときはそっとしておいてあげよう。針が痛いだけじゃなく、場合によっては噛まれることもあるぞ。
触るのはハリネズミが落ち着いているときだけ
ハリネズミは落ち着いていると針を寝かせているので、触ってもそこまで痛くない。身体をよじるときにチクチクと当たったりもするが、このときの痛さはあくまで甘噛みぐらいの感じ。触るならこのタイミングだ。
抱き上げるときは毛流れに沿って寝かせるように意識すると安全だぞ。
飼い主に慣れて「この人は安心だ」と覚えると落ち着いた状態でいることが多くなるので、長く飼っていれば触れる機会も増えるだろう。
ただ動物である以上、個体差があるもので、なかなか慣れてくれない子もいる。
この辺りはその子の性格と捉え、あくまでハリネズミに合わせて対応してあげることが大事。猫や犬などと違い、基本は観賞用で、触らせてくれるようになったらラッキーぐらいに考えておこう。
また案外バカにならないのは小屋掃除のときの抜け針だ。気付かずに掃除していると普通に刺さって痛い…。
【追加雑学②】ハリネズミは懐かないが、人に慣れる
前述の通り、ハリネズミは人に慣れると針を立てなくなる個体もいる。しかしこれはあくまで慣れているだけで、猫や犬が懐くような感覚とはまた異なるものだ。
たとえばどんな感じかというと、匂いや声などで、ある程度飼い主の判別ができるくらいにはなる。なんとなく、熱帯魚がエサ目当てで近寄ってくるような感覚に似ている気もする…。
名前を覚えたりはしないので、名前を呼んで向かって来た場合は、飼い主の(頻繁に聞く)声に反応しただけだ。…名前を呼んだら自分のところに来てくれた! と喜んでいたのが筆者であることは秘密である。
ただ、慣れるかどうかはその子次第で、飼い方を工夫して慣れさせられるようなものではない。野生でも単独行動をする動物で、本来そういったコミュニケーションを取る本能は持ち合わせていないのだ。
小心者のハリネズミは、小さな音にも驚いて針を立たせてしまう。逆にゆったりした性格のハリネズミは、特別なことをしなくても初めからあまり針を立たせなかったり、慣れればまったく立たせなくなったりする。
やはり触れ合って楽しむというより、あくまで観賞用と捉えておくぐらいのほうがストレスにもならなくていいかもしれない。ハリネズミは表情豊かな生き物なので、見ているだけでも十分楽しめるぞ!
以下の動画のハリネズミはかなり飼い主に慣れているが、あくまで勝手に動き回っていて、やはり懐いているという感じではない。それでもカワイイよね!
【追加雑学③】懐きはしないが飼いやすいハリネズミ
ちょっと珍しい生き物ということもあって、「ハリネズミの世話って難しそうだよね…」と飼うのをためらっている人もいるだろう。しかしハリネズミの世話は、懐かない反面、そこまで難しくない。
普段のお世話としては…
- 朝晩のエサやり
- 床材が汚れたら交換する
- 温度に敏感なので、エアコンや床材の下に敷くヒーターなどで管理する
ぐらいで、散歩なども特に必要ない。寂しがったりもしないので、多めにエサを置いておけば旅行で1日家を空けたりしても大丈夫だ。
大きな鳴き声を出すこともなく、フンなども臭くないので近所迷惑にもならない。うん…めっちゃ飼いやすいじゃん!
ただ夜行性で深夜に回し車で遊んだりするので、住環境によっては配慮が必要なこともあるぞ。
ハリネズミを飼うのに必要なもの
ハリネズミはペットショップなどでだいたい1~3万円ぐらいで手に入れることができる。寿命は野生だと2~5年といわれているが、自宅で大切に飼えば長くて10年ほど生きることもある。
飼うために必要なものは、おおまかに…
- 専用のハリネズミフード
- ケージ
- 床材
- 隠れ家
- 回し車
- ペット用ヒーター
といった感じ。ハリネズミは野生では主に昆虫を食べているが、栄養バランスが考えられた専用フードが開発されているので、飼うときは基本的にこれを与えておけば大丈夫だ。
床材は牧草やウッドチップなどがペットショップで売られている。隠れ家や運動不足解消に回し車が必要なところはハムスターと同じか。
とにかくお世話していて難しいところは特にないので、「自分に飼えるかな…」と悩んでいる人は安心してほしい。
【追加雑学④】ハリネズミの野生化が問題に…
そう、ハリネズミは基本的に飼いやすい動物なのだが…、飼おうと考えている人にはひとつ、気にかけておいてほしいことがある。日本で野生化したハリネズミの目撃情報が年々増え、問題になっていることを知っているだろうか。
人気沸騰中のハリネズミだが、実は懐きにくい性質のため、「期待していたのと違う…」と捨ててしまう人がいるのだ。そういったハリネズミたちが野生化し、駆除の対象になっている。
ハリネズミブームが去ってしまえば、居場所を失くしたハリネズミがさらに増えるかもしれない。これから飼おうと思っている人は、以下のことを少しだけ心にとめておいてほしい。
繰り返すが、ハリネズミは、猫や犬のような懐き方はしない。SNSなどでよく見る「手の上で眠るハリネズミ」は、その子がたまたまそういう性格だったということ。さらに飼い主さんがハリネズミ慣れしていたりと、好条件が揃っていただけのことが多い。
事実、筆者の飼っているハリネズミも手の上で寝たりしない。それでもおやつを求めて近寄ってくる姿がたまらなくかわいかったりするのだが…。
とにかく、理想と違ったからといって、簡単に手放すのはやめてほしい。小さくても必死に生きているのだから。これはどんなペットにだって言える話だ。
【追加雑学⑤】ハリネズミの針山の役割とは?
ハリネズミにどうしてあんな針山が生えるのかというと、第一は外敵から身を守るためである。
彼らはとっても臆病で、あんなにトゲトゲしていてもその針で敵を攻撃することはない。もっぱら、丸まって自分を守るための針山である。
以下の動画でも、気配を感じたり触ったりすると、針を逆立てて丸まる様子が映されている。
自分から攻撃してくることはないが、ペットになっても懐かないぐらい警戒心が強いんだな…。
そして、針山のもうひとつの役割はクッションだ。逆立った針が生えているおかげで、高い所から落ちても衝撃が吸収され、全然へっちゃらなのだとか。ハリネズミは視力が良くないため、よく高い所に登っては落下する。
そんなときも、ドサッとすごい音がするわりに、何食わぬ顔で起き上がり歩き出すのだ。ペットとして飼っているとはじめは心配になるが、針山の役割を知っていれば安心である。
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ヤマアラシの針は攻撃用
似たような風貌の生き物だと、ヤマアラシも立派な針山を持っている。しかし、ヤマアラシの針は相手を威嚇し攻撃するためのもの。似ているようでまったく正反対である。
以下の動画は、動物園のヤマアラシの威嚇の様子が映っている。ハリネズミのように丸まるわけではなく、身体を大きく見せて、今にも襲い掛かろうという雰囲気である。
攻撃的なほうが草食動物というのもなんだか意外な話だ。
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【追加雑学⑥】ハリネズミの針は生え替わる
最初にも言ったように、ハリネズミの針はれっきとした体毛である。人の髪と同じように、やっぱり抜けて生え替わる。
そしてこれも人間と同じように、自然に抜けて新たに生えてくる場合もあれば、ダニ・アレルギー・ストレスなどが原因で抜け落ちることもある。
ペットとして飼う場合は、小屋の掃除のときに落ちている抜け毛の数が、体調管理のバロメーターにもなるのだ。
海外に生息する野生のハリネズミは、外敵の攻撃などのストレスで脱毛症になってしまうこともあるようだ。以下のツイートで画像が紹介されてる。これは痛々しいな…。
ストレスで脱毛症になったハリネズミ pic.twitter.com/pM1nfmtpqQ
— 海外B級ニュース (@gakkari_club) April 5, 2016
生え替わりにも周期があるので、自然と抜け毛が多くなることはある。抜け毛が多いときは神経質になっているので、あまり触ったりするのは控えたほうがいいだろう。
またあまりにも抜けている本数が多いと、何かほかに原因がある可能性も高い。そういった場合は「病院に行く」「自宅の生活環境をチェックし直す」などの対処が必要だ。
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【追加雑学⑦】ハリネズミにまつわる珍事件
どんなにかわいくても、いくら攻撃用ではなくても、針山が生えている以上、ハリネズミでケガをしてしまう人はいる。
海外では、ハリネズミにまつわるさまざまな珍事件が起こっているぞ…。
ブラジル人女性の頭にハリネズミが落下
ブラジルのリオデジャネイロでは、「女性の頭にハリネズミが落下し、270本の針が刺さった」という事件があった。なんという奇跡のタイミング。
リオデジャネイロでは、山から下りてきたハリネズミが街に現れることがあるらしく、このときは電線を伝って歩いている途中に落ちてしまったのだとか。ハリネズミよ…まず電線を歩くのは落下うんぬんではなく、けっこう危ないと思うぞ…。
海外ならでは…と思いがちだが、ペットのハリネズミがうっかり窓から落ちて…というのは日本でも十分あり得る話だ。
しかし何より注目すべきは、被害女性の思いやり溢れる対応である。女性は怪我をしたにも関わらず、なんと「自分の頭がクッションになってハリネズミの命が助かってよかった」と話したそう。
こういう人には幸せになってもらいたいものだ!
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ハリネズミを投げつけた男
今度は少しゾッとさせられる事件だ。
ニュージーランドでは、ハリネズミを投げつけて少年に怪我をさせるという事件があった。少年も、まさかハリネズミが飛んでくるなんて思わなかっただろう…。
ちなみに投げつけられたあと、ハリネズミは死んでしまったようだ。いくら「多少なら落っこちても平気!」などといっても、大人の力で投げつけられればやっぱり痛い。
もとから死んでいたのかもしれないが、どちらにしても痛ましい事件である…。
以下の動画のように、ニュージーランドには野生のハリネズミがいるので、投げつけた男も道で捕まえたのだろう。しかし…こんなの道で出くわしたらかわいくて釘付けになってしまうぞ…。
「ハリネズミの針」の雑学まとめ
今回はハリネズミの針についての雑学をご紹介した。
ハリネズミの針は、「針」ではなく体毛である。生え替わることもあれば、ストレスなどで抜けてしまうこともある。
とはいえ、とっても硬いハリネズミの針。触るときは刺さらないように、気をつけて触ってほしい。必死に身を守ろうとするそんな姿も、また愛くるしいのだ…。
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