木の年輪についてあなたはどれほど知識をもっているだろうか? 年輪を数えれば樹齢が分かることくらいは小学生でも知っている。
しかし、「なぜ年輪は1年に1本しかつくられないのだろう」「年輪の仕組みはどうなっているのだろう」と考えたことはないだろうか? 自然に生える木が正確に年を数えているというのも不思議な話だ…。
実は年輪の形成には、木が成長する過程での自然環境が大きく影響しており、毎年年輪が形成される時期が決まっているのである。木の年輪にまつわる雑学は、魅力でいっぱいだ!
【自然雑学】木の年輪の仕組みはどうなっているの?
【雑学解説】木の年輪形成の仕組み!年輪には季節が関係している
まずは、木の成長サイクルについて説明する。
木は春先から活動を始め、梅雨の時期に急成長する。この時期が木が成長するに最も適した自然環境だ。
葉っぱが生い茂る姿は、わたし達から見ても初夏の訪れを感じさせてくれる風物詩といえる。(正直、虫とかたくさんいて近づきたくないが…。)
そして本格的な夏が過ぎ、秋が始まる頃には葉っぱが散りはじめる。木は活動を停止し、ほとんど成長しなくなる。生き物と同じで木も寒い季節には弱いらしい…。
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木の断面はどうなっている!?
木の断面には色の薄い部分と円状の色の濃い部分がある。この色の濃い部分が年輪といわれている。
断面の色の薄い部分は、春から梅雨にかけて成長した部分だ。急成長しているので、この部分の木の細胞はスカスカ。色が薄くなっている。
一方、色の濃い部分は夏から秋にかけてゆっくりと成長した部分である。時間をかけて成長したため木の細胞は詰まっており、色が濃くなる。
これが年輪の正体だ!
日本においては四季が毎年訪れるので、木の成長サイクルが変わることはない。そのため木は正確に毎年1本ずつ年輪を形成するのだ。
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【追加雑学①】年輪のない木も存在する
年輪の形成には木の成長の仕組みが関係していることは分かってもらえたと思う。しかし、これは四季の存在する日本においての話である。
自然環境の変化が激しい日本とはちがって、アフリカや東南アジアなどの熱帯雨林のような、自然環境が1年中ほとんど変化しない場所では、年輪のない木も存在するのだ。
現在、これらの地域から輸入した年輪のない木は、日本の木製品でも多く使われており、ごく普通に世の中に浸透している。「木には年輪があるのが当たり前だ」と思っているあなたも日常的に海外の年輪がない木を使っているのだ。
【追加雑学②】年輪で分かる木材の強度
「年輪が多く詰まっていると強度の高い良い木材である」と聞いたことはないだろうか? これは年輪の部分は木の細胞が詰まっており、質量が大きいため、いわれるようになったようだ。
日本で木材として使われる針葉樹の木々は、たしかに年輪が詰まっているものほど強度が高くなる。しかし、年輪幅が1ミリ以下の木材はかえって強度が低くなることもわかっている…。
つまり、年輪が詰まっている木材は良い木材という話は、間違ってはいないが正確ともいえないのだ。
【追加雑学③】年輪の円の中心は木の中心ではない
自然に生えた木の年輪は、年輪の幅が方角によってばらばらに形成されている。そのため円状に見える年輪の中心が木の中心になることはほとんどない。
この年輪幅の違いについて「太陽光の当たる南側だけ成長が早いから、南側の年輪幅が広い」といわれてきた。しかし、この情報は誤りであり、年輪幅に太陽光の当たり方は関係ない。
たとえば、木の生える場所が斜面だった場合、木は傾いてしまわないように斜面側が大きく成長することで、自分で調整している。このことが原因で年輪幅が各方角で異なる木は多い。このように様々な要因により年輪は形成される。
年輪は奥が深いのだ…。
雑学まとめ
今回の雑学では木の年輪ができる仕組みについてご紹介した。
年輪の形成には自然環境が大きく影響しており、夏から秋にかけてゆっくり成長した細胞が詰まった部分が年輪である。少なくとも日本においては年輪は1年に1本確実に形成されるもので、年輪を数えたら樹齢が分かるというのは、事実である。
日本には縄文杉と呼ばれる樹齢2,000年を超える木が鹿児島県屋久島に現在も生えている。もしこの木を切ったら2,000本以上の年輪があるのだろうか…。正確に数えているうちにこっちが年を取ってしまいそうだ…。
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