革製品は高価で魅力的。手入れ次第で長く使えるそんな商品だ。ポピュラーなものは牛革だと思う。
ハイド・キップ・ハラコなど、さらに希少な動物の皮も存在する。みなさんも革を使用した財布を使っているのではないだろうか。
どうやらウナギをの革を使って作られた財布があるらしい。今回の雑学記事では、それを紹介するぞ!
【生活雑学】ウナギの革で作った財布がある
ウナギの革は英語でイールスキンといわれ、原料はヌタウナギである。しかし、生物分類上はウナギではない。
【雑学解説】ウナギの革はウナギだけど、ウナギじゃない
ウナギ革は、英名で「Eel Skin(イールスキン)」もしくは「Eel Leather(イールレザー)」と呼ばれるが、厳密にいうとウナギの革ではない。
イールスキンの原料はヌタウナギだ。一時期、TVでもよく登場していた粘液をたっぷりと出す生き物である。ヌタウナギは名前にウナギと入っているが、生物分類上ウナギ目との類縁はない。厳密には魚類ではなく、脊椎動物の原始的な部類に属する。
名前はウナギだけれど、生物分類上はウナギではなかった。
【追加雑学①】ウナギ革の特性
ウナギ革には一般的な皮革製品として認知度が高い牛革よりもおもしろい点がある。いくつかご紹介する。
①革製品とは思えないほど軽い
革自体が非常に薄いこともあり、一般的な牛革と比べて非常に軽いのがウナギ革の特徴だ。
筆者としては財布のような日頃使うものは、軽ければ軽いほどいい。しかも薄いので、デニムのポケットなどにも入りやすいのが魅力的といえるだろう。
②染色のバリエーションが豊富
皮革そのものが非常に薄いため染色が浸透しやすい。牛革など、革を芯まで染めるのは難しく、手間がかかる。それが原因で、少しの傷でも地色が出てしまうことがあるくらいだ。
しかし、ウナギ革はその心配が少ないため、カラーバリエーションが豊富なのもウナギ革製品の特性だろう。
③水や傷に強い
もともと水棲生物ということもあり、ウナギ革は油分を含んでいないため、水に強い。ただし、革そのものは水に強いが濡れてしまうと染料が抜けてしまうことがあり、水に強いからと濡らして遊ぶのは厳禁だ。
また、加工後はエナメル質なこともあって、傷がつきにくいという特性もある。傷のつきにくさから、長く使える革製品といえるだろう。
④一製品を作るのに複数体分の革を使うため、必ず一点物
ウナギ革は細長いヌタウナギが原料のため、牛革のように大きい革から切り出すといった加工が行えない。そのため、複数体の革を縫い合わせて製品を作る。
一体の革から作ることができる牛革製品は部位によって違いがあるにしろ、広い面積で同じような質感が多くなるが、ウナギ革は複数体を組み合わせることになるため質感が異なる革が並ぶ。つまり、革独特のしわやウナギ革特有の背骨筋が複数並ぶことで、一点物となる。
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【追加雑学②】ウナギの革以外も!魅力が多い水棲生物の皮革
ウナギ革の良い点に触れたが、他の水生生物の皮革も独特な魅力をもったものが多い。
鮫革
鮫は喧嘩をしたり、求愛行動(鮫の求愛行動はメスがオスを噛む)によって傷が多く、製品化するのに適したきれいな革が少ないために希少価値が高い。
サメ肌といわれるように硬い特徴がもともとある。そんな鮫肌を加工した革は使用するに伴ってなめらかになり、ツヤが出てくるのが特徴だ。
また、その革質の粗さと、水棲生物である点から傷や水に強く、気を遣いすぎずに使うことができることもメリットだろう。
エイ革
エイの革は海の宝石といわれ、独特というよりも唯一無二の質感といえる。革として使用されるのは、表皮を剥いだ後の部分だ。なんと人間の歯と同じ成分でできており、非常に硬く、光沢がある。
パッと見ると革ではなく、ガラス球を並べたように見えるのだから、唯一無二の皮革だろう。
エイの額部分にある光を感知する器官が大粒になっており、その部分をスターと呼ぶ。一匹分の革から一か所しかないため、この部分をアクセントとして加工することが多い。
歯と同じ成分だけあって傷はもちろん水にも強いが、その硬さから加工が難しく、希少な革の一種だ。
【追加雑学③】有名ハイブランドのコレクションに出ることもあるウナギ革
ウナギ革は希少ということもあり、海外の有名ハイブランドであるDOLCE&GABBANAのコレクションに登場したことがある。
かっこいいレザーだなと見ながら、ふとヌタウナギを思い出してしまうとなかなかシュールな光景に様変わりしてしまう気もする。
雑学まとめ
今回はウナギの革についての雑学をご紹介した。希少で独特な質感をもつ革のことをエキゾチックレザーというが、この記事でそんな希少な革にも興味をもっていただければ私としてもうれしく思う。
余談だが、私は祖父の遺品としてエイ革の財布をもらった。祖父が使用していた期間と合わせて約四十年ほど使用しているが、非常にきれいなものだ。
傷や水に強いウナギ革も牛に比べて長持ちするため、長く使いたい方はぜひ調べてみてほしい。何年保つかはわからないが、牛革よりも丈夫なため、きっと長く使えるだろう。
ギリシャ神話では、ウナギの革を身に着けると金運に恵まれるという言い伝えがあるそうだ。ウナギ革の財布、良いかもしれない。