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日本初の自販機はタバコ!では現存する最古の自販機は?

雑学カンパニー編集部

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日本最初の自動販売機と現存する最古の自販機に関する雑学

1966年の自動販売機

道端の自販機で水を買い、食堂の食券機のチケットで昼食を食べ、駐車場のパーキングメーターにコインを入れる。出かければどこにでもある自動販売機。

あまりにも身近過ぎて普段は意識しない存在だが、今回は改めてこの縁の下の力持ちにスポットを当ててみようと思う。

【生活雑学】日本最初の自動販売機と現存する最古の自販機

日本最初の自販機は、俵谷高七(たわらやたかしち)氏が作った、タバコ販売機が最初とされている。

【雑学解説】日本初はたばこ販売機!

1888年に俵谷高七氏が作成した、たばこ販売機が日本最初の自販機とされている。しかしこれは残念ながら現存していない。

現存する日本最古の自販機は、1904年に同氏が作った自動郵便切手葉書売下機(じどうゆうびんきってはがきうりさげき)というものである。少なくとも3回は噛みそうな名前のこの自販機だが、当時としては画期的な機構を有していた。

それは、販売物が売り切れたときに出る売り切れマークの表示と、返金機能である。さらにこの自販機はポストとしても使える。思い立ったらすぐに葉書と切手を買って手紙を書くことができる、超便利な自販機だったのだ。

しかし葉書を送り出す機能に不具合が多発したため、一般に普及することはなかった。

これが普及していたら出かけ先のどこからでも手紙を出すことができただろう。旅行先の何でもない住宅街から手紙を送ってみたり…。これはこれで面白そうだ。

ちなみに同氏は現在では見慣れた赤色のポストの考案者でもある。

日本初の自販機について取り上げたが、世界初の自販機は一体いつどこでできたのだろうか。世界初の自販機にたどり着くには、なんと紀元前までさかのぼる必要がある。

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【追加雑学①】海外の自販機たち

2500年前のエジプト。神殿の前に存在していたのが、世界初の自販機である。

その自販機は、まずコインを入れるとその重さで中の皿が傾き、傾きが戻るまでのあいだに聖水が流れ出すというものだった。

料金は5ドラクマだった。…すごい強そうなお金の名前。

その後のイギリスで起こった産業革命まで、新たな自販機は生まれなかったのであるから、そんな昔に作ってしまうエジプトの技術力恐ろしや…。

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イギリス

イギリスでは産業革命に伴って飲料・菓子・食品・チケット・たばこなどの自販機が普及した。1883年にロンドンに設置された葉書の自動販売機が、その先駆けとされている。

面白いのが書籍自動販売機だ。本を買う自動販売機という発想も面白いが、その目的が言論の自由の獲得だったということがさらに面白い。このような販売者を特定しにくい販売方法により、身分を隠しつつ言論の自由を求めるための活動ができたというわけだ。

アメリカ

アメリカに最初の自販機が設置されたのは1888年、ニューヨーク駅の中であった。最初の自販機で売られていたのはガムだ。なんとなくアメリカ人がガムを食べているところは想像しやすい。

1925年、ウィリアム・ロウという人物が、それぞれ違う値段で多品種を販売する自販機を開発。以降の自販機開発は、アメリカがリードしていくことになる。

フランス

フランスではユニークな自販機が多い。まず、香水自販機が挙げられる。きっとおしゃれなフランス人に香水は重要なアイテムなのだろう。これなら家で香水をつけ忘れても安心だ。

そしてワイン好きのフランス人にはワイン自販機も重要だ。外出先で飲み足りなくなっても、自販機でワインを買って公園で飲めば存分に酔っぱらえる。

さらに熱湯自販機。これがあれば、冬の冷え切った馬の足を温めることができるだろう。

また現代になると、リクエストされた時間に応じてショートストーリーを提供する、物語自販機が登場する。待ち合わせ時間までこれを読んでいれば、きっといい時間つぶしになるはずだ。

このように、世界各国の自動販売機にはそれぞれのお国柄や事情に合った、個性豊かな自動販売機が存在するのだ。

【追加雑学②】日本の自販機たちの歴史

前述した俵谷高七氏の発明の次に世に出たのが、1924年に開発された「袋入り菓子自販機」だ。一銭銅貨を入れると「ちんちん」と愉快な音を出しながら駄菓子が出てくるという、楽しい自販機だ。

1958年には、紙コップを自分でセットして10円を入れると、コップ1杯のジュースが飲める自販機が普及した。イメージとしては、ドリンクバーによくあるジュースサーバーが近い。

そして1962年、三菱重工とアメリカのベンド社が共同開発した、コカ・コーラの自動販売機が普及する。これには半自動型、全自動型の2種類のタイプがある。

前者はコインを入れて自分で扉を開き瓶を引っこ抜くタイプで、現在はその貴重さから未来技術遺産に登録されている。自分も一度はお目にかかって瓶を引っこ抜いてみたい。「ガコン!」という音がするらしい。

一方の後者は、ボタンを押すと商品が取り出し口から出てくるという、今親しまれている自販機に近いかたちをしている。

1967年には新50円・100円硬貨が普及した。とくに100円硬貨の素材が銀から白銅に変わったことで、100円硬貨が多く流通した。これにより百数十円の自販機のジュースをより気軽に買えるようになったのだ。

また1970年、三洋自動販売機社は缶での多種類の販売を可能とする自動販売機を開発した。

そして1976年、缶コーヒー「ジョージア」の発売と共にホット・コールドを同時に利用できる自販機が登場する。このホット・コールド機能は世界的にみても画期的で、日本では自販機が1年を通して心のオアシスとなった。

1997年にはペットボトルによる販売が開始され、電子マネー化や省エネ問題に取り組みつつ現在に至る。

こうして日本の自販機は、売り上げで世界1位になるほどに浸透したのだ。

今現在の日本における自販機の売り上げは、年間約5兆円である。コンビニの売り上げが10兆円であることを考えると、かなり高い金額である。ではなぜこれほどまでに自販機は日本に浸透したのだろうか。

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なぜ日本で普及が進んだのか

まず、治安が良いため自販機を外に置けるということが挙げられる。外に置いても自販機ごと盗まれたり、壊されることがないのだ。何かあったとしても、せいぜいつり銭口を覗く人が時々いるぐらいだろう。

次に、自動販売機の登場した時代が高度経済成長の真っ盛りであったことが挙げられる。当時は労働力不足により人件費が高騰していたため、人を雇うよりも自動販売機にお金をかけたほうが合理的だったのだ。

雑学まとめ

遥か紀元前から人々の生活を支えてきた自販機。それは、それぞれのお国柄に合わせて多様な進化を遂げてきた。

そして高度経済成長と共に発展してきた日本は、今や世界有数の自販機大国になった。今後、時代が進むにつれて自販機はどのように姿を変えていくのだろうか。ドローンにより、いつでもどこでもジュースが届けられるようになるのだろうか…。

私はたとえ新しい自販機が出てきても、人生で一度は半自動型自販機で「ガコン!」とやってみたい。

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