最近、人気のあるマンガやアニメなどから派生した「スピンオフ作品」が数多く作られている。
その中でも、1970年代から変わらぬ人気を誇る「ルパン三世」は、20世紀初頭にフランスで生まれた「アルセーヌ・ルパン」シリーズのスピンオフ作品であり、「ルパン三世」自体にも数多くの派生作品が存在する「スピンオフの元祖」ともいえる存在だと思う。
そして、そのスピンオフ作品の1つとして、みなさんは「ルパン8世」というものがあるのをご存知だろうか?
いったい「ルパン8世」とは何者なのか? 今回はその雑学に迫っていきたい。
【サブカル雑学】ルパン三世の幻の続編「ルパン8世」は探偵
【雑学解説】「ルパン8世」はフランスとの共同制作アニメだった
そもそも、「ルパン8世」とは、どんな作品なのだろうか?
「ルパン8世」は1982年頃に日本とフランスの間で共同制作されたアニメであり、6話ないし8話が放送される予定であった。
この作品は宇宙を舞台に、私立探偵のルパン8世がレーザー銃の達人・次元大介やレーザー刀の名人・石川五エ門を相棒にして、数々の事件を解決するという内容。もちろん、峰不二子や銭形警部も登場しており、当時のアニメ誌でもかなりページを割いて紹介していたようだ。
原作者のモンキー・パンチもフランスに渡り企画会議に参加するなど、かなり力のこもった企画だった。しかし、フランス側の作画がモンキー・パンチの作風とかけ離れていたために「これではルパン三世の続編とはいえない」と日本側が判断。
数話が制作されたところで企画は頓挫し、著作権の関係から放送される機会がなかった「幻の作品」といわれていた。
しかし、2012年に「ルパン三世」アニメ化40周年を記念して発売された映像作品「ルパン三世 Master File」において、パイロット版と現存するフィルムの一部が収録された。幻の作品「ルパン8世」はようやく日の目を見ることになったのだ。
1982年頃は #ルパン8世 の制作年。
悪党は不二子のみの未来のルパン一味。
東京ムービー新社と仏のサバン・インターナショナル・パリの合作企画で数話制作後、頓挫。
当時は100てんコミックに漫画掲載とおおむねキッズ向けの内容だが、りんたろう監督とキャラデザの荒木・姫野コンビの布陣は興味深い。 pic.twitter.com/fpZxCeu119— わとそん (@doctoruwatson) 2019年4月13日
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【追加雑学①】ルパンには峰不二子との子どもがいた!?
「ルパン8世」はアニメのスピンオフ作品だが、マンガ版のルパン三世のスピンオフ作品に「ルパン小僧」がある。
「ルパン小僧」はモンキー・パンチ自らが描いた作品で、週刊少年アクションにおいて1975年から全18話が連載された。
その内容は、ルパン三世と峰不二子の息子とされるルパン小僧が、父親・ルパン三世を超える大泥棒を目指すというものであり、劇中にはルパン三世や次元大介・石川五エ門などもゲスト出演している。
しかし、掲載誌の週刊少年アクション廃刊に伴い、連載は途中で終了。結局、ルパン三世を超える大泥棒になれたのかは不明のまま終わるという、尻切れトンボなものとなった。
ルパン小僧は、1977年に連載が始まった「新ルパン三世」においてゲスト出演したこともあるが、その際に峰不二子に対して「あんたは偽者で、俺の母親が本物の峰不二子だ」と言い放っており、本当にルパンと峰不二子の子どもかどうかは定かではない。
後日、モンキー・パンチは「編集長にイヤイヤ描かされた」と語っており、ルパン小僧の設定については深く考えていない可能性は高いだろう。
残念ながら、ルパン小僧は作中でも現実でも望まれた子どもではない…というのは、言い過ぎであろうか?
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【追加雑学②】ルパンのライバル!ホームズに子孫はいるのか?
アルセーヌ・ルパンのライバルといえば、イギリス生まれの名探偵であるシャーロック・ホームズであろう。
これまでに紹介したように、ルパンには孫や8世などの子孫が活躍する作品が存在するが、一方のホームズには名を馳せる子孫は存在しないのであろうか? ホームズの子孫は、残念ながら無能ばかりなのか…とお嘆きのシャーロキアンの皆さんに朗報がある。
「シャーロック四世」
じつは日本では、2016年に講談社から小説「シャーロック四世」が発売されている。この作品は「溝鼠シリーズ」・「カリスマ」などで知られる新堂冬樹が書いたもので、曾祖父の推理能力を受け継いだ歌舞伎町のナンバーワンホストが、助手であるワトソンの子孫とともに事件を解決するという内容だ。
え、シャーロック四世が歌舞伎町のホストだって!? なんか思ってたのと違う…。これでは、シャーロキアンに怒られてしまいそうなので、別の作品を紹介しよう。
「女子高生探偵シャーロット・ホームズの冒険」
「ホームズ四世」と同じ2016年に竹書房から発売された「女子高生探偵シャーロット・ホームズの冒険」では、ホームズの5代目である女子高生探偵シャーロット・ホームズが、ワトソンの6代目とともにアメリカを舞台に事件を解決している…って、今度は女子高生か!
ホストに女子高生と、「コレジャナイ」感じが強いホームズの子孫たちだが、そもそも原作のホームズは女性不信で有名であり、子孫が存在しない可能性が高い!
そう考えるのが、シャーロキアンの心の平和にとっては賢明だ…と思う今日このごろであった。
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雑学まとめ
今回のルパンの雑学では、元の作品がどれだけ人気があろうとも、スピンオフ作品が必ず成功するとは限らないことがわかっただろう。
現在では「名探偵コナン ゼロの日常」や「中間管理録トネガワ」など、成功しているスピンオフ作品もあるが、安易なスピンオフはファンにとっても迷惑な存在でしかない。
人気作品のスピンオフを制作する側には、ファンの心をつかむようなものを作るよう、強くお願いしたいところである。