秋ごろになると恋しくなる「い~しや~きいも~」のメロディ。聞こえてくると「あ、焼き芋屋さんだ」と、共通認識になっているのは地味にすごいと思う。
そしてお店で買った石焼き芋は、甘くてとってもおいしい。家で作ってあんなに甘くなったことないぞ? 何か特殊な仕掛けでもしているのだろうか…。それとも芋自体が違うのか?
いやいや仕掛けなんてしていない! 甘さの秘密は、芋の成分と加熱される温度にあったぞ!
【食べ物雑学】石焼き芋が甘い理由は?
【雑学解説】石焼き芋はでんぷんが糖化されやすい温度調整になっている
石焼き芋は加熱時、表面温度は250℃にもなるが、内部の温度は60~70℃に保たれる。甘くなるのは、この60~70℃という温度で時間をかけて加熱することで、本来のサツマイモに含まれていない「麦芽糖」の生成が促されるからだ。
要するにこの麦芽糖がめっちゃ甘いのである。
麦芽糖はサツマイモ内の「ベータアミラーゼ」という消化酵素が、でんぷんを糖化させることで生成される。しかしでんぷんは生のサツマイモの状態だと、糖化することができない。
でんぷんは60~70℃の高温で加熱すると分子が分解され、サツマイモ内の水分と混ざることでネバネバした糊のような状態になる。この状態になって、初めてベータアミラーゼはでんぷんに作用することができるのだ。
さらにベータアミラーゼの働きが活性化されるのも、40~70℃。それより高すぎると逆に働きが弱まってしまうのだとか。
つまり60~70℃で加熱をされる石焼き芋は、でんぷんの糊化とベータアミラーゼの活性化のいいとこどりをした、かなり絶妙な温度調整で調理されているのだ!
ちなみに麦芽糖は水あめの主成分でもある。そりゃあ甘いわ。
【追加雑学①】お店のような美味しい焼き芋を焼くにはオーブントースターがオススメ
家でお店のような甘い焼き芋を味わいたいなら、オーブントースターを利用してじっくり火を通すのが手軽でオススメだ。以下に調理動画でも、計45分かけてじっくり焼き上げているぞ!
ちなみに電子レンジを使うと手早い調理はできるが、温度変化が急激なのででんぷんが糊化しない。ただし甘さ控えめでホクホクな芋が食べたいときには電子レンジも有用だ。
雑学まとめ
石焼き芋が甘いのは60℃~70℃という絶妙な温度調整と、加熱される時間の長さにあった!
参考にすれば家でも近しいものを作ることはできそうだが、やはりお店の石焼きにはどうしても敵わない。これからもおなじみのメロディが聞こえてきたら、財布を持ってダッシュすることとしよう。
あまりにおなじみすぎて無理かもしれないが…新しくオリジナルソングを作る焼き芋屋さんが出てきてもおもしろいのに。