鍋に刺身・からあげ・焼き物。フグはなんにでも使える淡白な高級白身魚だ。皮やヒレまでおいしい憧れの高級魚だが、毒があることで有名な魚でもある。
毒があることは有名だが、あなたはその毒がどれくらい危険で、どこに含まれているのか知っているだろうか? 実はフグ毒、冗談では口にできないほど強烈な猛毒なのである。
さらに、フグにはもともと毒がないという衝撃の雑学も…! 毒がない夢のようなフグが、もう既に出回っているのだ。
【食べ物雑学】養殖により「毒のないフグ」がいる
【雑学解説】フグと毒の複雑な関係
フグは自分自身で毒を作るのか、それとも外部から取り込んでいるのか? この疑問は長年研究されていたが、飼育環境やエサで改善されたことから、「外部取り込み説」が立証された。
食物循環の最底辺であるプランクトンが、体内でビブリオ菌という毒を作り出し、それをヒトデや貝類が食べる。さらに、フグがそれらをエサにすることで、体内に大量の毒素が溜まっていく。
食用として有名なトラフグは、肝臓に「テトロドトキシン」という猛毒を蓄積して、寄生虫の駆除に活用しているらしい。フグ本体は、テトロドトキシンが作用しないというから驚きである。
テトロドトキシンの毒性は、なんとあの青酸カリの約1000倍! 有効な解毒薬がないうえ致死率がものすごく高く、マヒと呼吸困難で死に至る。書いてるだけで息切れがしてきた。
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【養殖の秘密】海と縁を切ることで毒が無くなった?
それでは毒のないフグはどうやって? と思うかもしれないが、有毒プランクトンや寄生虫から隔離するため、なんと海のない山奥の温泉地で養殖されている。
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養殖成功の元祖は、栃木県の那珂川町(なかがわまち)。海の全くないところだ。那珂川町で湧き出す温泉水が、塩分を多く含み海水の代わりになるため、なんと「温泉水で養殖された無毒のフグ」が誕生したのだ。
全頭検査でも毒はまったく検出されず、養殖によるフグの無毒化技術は特許取得されている。
温泉でくつろぐ養殖フグの動画を発見
温泉養殖フグの元祖、栃木県の取り組みをまとめた動画がこちらだ。
生理食塩水に近い温泉の成分に目をつけた人もすごいが、温泉で気持ちよさそうに泳ぐフグがなんともほほえましい。
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【追加雑学①】どうして? 無毒なのに肝が食べられないままの理由
養殖フグの無毒化は特許取得されているのに、全国的に食品衛生法の改正は行われていない。過去4回ほど改正の嘆願があったが、すべて許可されなかったという。
これは、あくまで安全なのが養殖フグに限るからというのが理由だ。基本的に、フグはとても危険なもの。フグ毒の中毒報告は過去10年で300件(つまり300人が自己責任で無謀な挑戦をしていることになる)、死亡も10件起きている。
養殖フグだけで肝を解禁すると、全国的に普通のフグまで食べてしまう人が出るかもしれない。テトロドトキシンの毒性は、それほど警戒されるレベルなのである。
【追加雑学②】雑種のフグは超危険!養殖フグしか食べられない未来も近い
肝が食べられないのでは、無毒の養殖フグに価値がないんじゃ? と思ってしまうが、実は将来的に養殖フグしか食べられない未来が見えてきた。
フグは種類によって毒を持っている場所が違う。肝臓・皮・精巣が一番多いのだが、なんと魚肉全体に毒がある種類もいる。
地球温暖化の影響でフグの生息域が変化し、その結果フグの交雑が進んでいるのだそうだ。雑種のフグはどこに毒があるか分からないため、肝だけ除けば食べられるという話では済まない。
雑種のフグはプロでも見分けるのが難しいそうなので、今後は養殖フグしか食べられなくなるかもしれないのだ。
雑学まとめ
フグとフグの毒についての雑学を紹介してきた。フグの肝の味わいは「舌がしびれるほど旨い」といわれている。その舌のしびれ、毒が回り始めた症状なのでは…? まれに肝臓に毒を持たないフグもいるらしく、それで味をしめた人が無謀なことをしているようだ。
300度以上の加熱にも耐え、致死量は人間で1~2mg。この毒性は、まわりまわって強烈な鎮痛剤に精製されている(投与量を間違えると以下略)。
もし釣りでフグが上がっても、絶対に自分で調理しないようにしよう。フグは調理免許を持った人がいる専門店で、安全に食べるのが一番である。あの高額な値段には、安全代も入っていると心得ておきたい。
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