お酒を飲むとトイレが近くなる。
居酒屋のトイレが混んでいて困ることもあるし、相手によってはたびたびトイレに行くのも気を遣う…。水分を摂ればトイレに行きたくなるのも仕方ないが、それにしてもお酒は近くなりすぎだ。
同じ飲み物なのに、なぜ? 真相に迫ると、やはりお酒が水分だという以外にも、トイレが近くなる理由があったぞ!
【人体雑学】お酒を飲むとトイレが近くなる理由とは?
【雑学解説】アルコールは「抗利尿ホルモン」の働きを鈍らせる
腎臓は尿を作り出す器官で、同時に体液を一定に保つ役割も担っている。通常は「抗利尿ホルモン」という物質の働きによって、必要以上に尿を排出しない仕組みになっているのだ。
そしてアルコールには、この抗利尿ホルモンの動きを鈍らせる作用があり、お酒の量が多くなったり、度数が濃くなるほどその働きは顕著になる。
つまりアルコールによって通常はかけられている歯止めが外され、尿意を催しやすくなるということだ。我々もお酒を飲むと眠くなったりするように、抗利尿ホルモンもお酒に酔うのか…?
いずれにせよ、腎臓は必要に応じて尿意に歯止めをかけているわけだ。それを鈍らせてしまうというのだから、やはりお酒の飲みすぎは禁物である。
お酒に含まれる利尿成分にも関係が…
腎臓は体内に入ってきた成分に合わせて水分のバランスを取ろうとするため、食物には尿を出やすくする性質のものがある。これを利尿作用といって、アルコール類にもこの性質をもっているものは多い。
つまりアルコールによって、抗利尿ホルモンの働きが鈍ることと、お酒に含まれる利尿成分のダブルパンチが起こる場合もあるのだ!
特にビールは「カリウム」・「ホップ」という利尿成分が多く含まれるので、要注意。ビールを1リットル飲むと、1.1リットルの利尿作用があるともいわれる。
飲んだ分より多く水分が出てしまうのだから、ビールの飲みすぎで脱水症状になってしまうこともあり得るぞ…。
またカリウムはワインや、緑茶ハイのようなお茶割系のお酒にも含まれるため、これらも他のアルコールよりトイレに行きたくなりやすいといえる。
カリウム自体は、バナナやホウレン草などにも含まれているし、体内の水分バランスを整える役割なので悪いわけじゃないのだが…。アルコールと合わさるとちょっと行き過ぎてしまうようである。
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【追加雑学①】たくさんトイレに行ってもアルコールが抜けるスピードは変わらない
飲んだ分をじゃんじゃん排出すれば、アルコールの酔いが覚めやすいような気もするが、実は尿の排出量とアルコールが抜ける速さには、あまり関係がない。
体内に入ってきたアルコールがそのまま尿として排出される割合は、なんとたったの10%。大部分は胃や小腸で吸収され、分解されるのを待ってから排出されるのである。
よって酔いたくなければ、トイレに行くよりも分解速度を速めることが重要だ。一般的には女性よりも男性の方が分解が速く、顔が赤くなりにくい人もまた分解が速い。なるほど、たしかに女性はお酒をあまり飲めない人も多い…あれは女の子アピールではなかったのか…。
また筋肉や骨が大きい人のほうが分解が速いという調査結果もあるので、体を鍛えればお酒にも強くなるかもしれないぞ!
【追加雑学②】男性より女性の方が頻尿になりやすい
“トイレは女子の社交場”といっても差し支えないぐらい女性はよくトイレに行くが、これは単に化粧直しやおしゃべりタイムだけが理由ではない。実は女性は男性よりも膀胱から尿道までの距離が短く、トイレを我慢しにくいのだ。
女性でもあまりトイレに行かない人は尿道括約筋や、骨盤底筋といった、排尿に関わる筋肉が発達していることが多い。骨盤底筋に関してはトレーニング動画もたくさんアップされているぞ!
以下のようなトレーニングなら、寝たままや座ったままなど、あまり激しくない運動なのでとっつきやすそうだ。トイレが近いのが気になる人は、試してみてはどうだろう。
雑学まとめ
お酒を飲むとトイレが近くなるのは、腎臓の抗利尿ホルモンの働きが、アルコールによって鈍るためだった。少しなら体にいいといわれるお酒だが、やはりそれだけ体への影響も大きい飲み物なのである。
酔っぱらっているときの体の状態は、決して普通ではない…このことを念頭に置いておけば、少しは飲みすぎを予防することもできるだろうか。