おひたしがちょっともの足りないときや、冷奴の相棒になくてはならないのが「かつお節」。パック入りの小袋のかつお節は、台所にあると便利な調味料だ。
お好み焼きにかける大きめ削りのものから真空パックで小分けされたかつお節まで、原料はもちろん鰹(かつお)である。
だが、わたしたちが目にするかつお節は、たいてい削ってある状態の「削り節」。かつお節の塊をそのまま見たことがある人、削り器で手ずから削ったことがある人はそういないに違いない。
実は、よ~く見ると、かつお節の塊は粉を吹いているのだ。表面の粉、あれの正体がカビだと知ったら…逃げないで! あのカビがかつお節のうまみを倍増してくれるんだから!
今回はそんな、かつお節についての驚きの雑学を紹介しよう!
【食べ物雑学】かつお節は実はカビている!?カビた「本節」は発酵食品
【雑学解説】かつお節をはじめて作った人に敬意を表したい…
かつお節がカビているのにはちゃんと理由がある。しかし、自然にカビたわけではなく、なんとわざとカビを吹きつけて繁殖させているようだ。
かつお節の作り方を調べていたら、かつお節の作り方を確立した人はいったいどういう思考回路をしていたのか疑問に思ってしまった(ホメてます)。
今でこそ乾燥しているかつお節だが、昔は製造技術の問題で、今よりずっと水分が多かった。塊のまま保存しておくとカビが生えてしまう。これを防ごうと、人体に害のない「優良カビ」をつけて、悪いカビが生えないように保護したのだ。
カビさせないためにカビさせるという荒業もビックリだが、初めて試みた人はなぜこんな無謀なチャレンジをしたのだろう。開発者は天才だったに違いない。
かつお節を作るときは、生かつおを切り分けて加熱・骨抜き・念入りな乾燥をしたあと、カビの吹きつけと天日干しをしていく。
カビつけと天日干しの回数が多いものは「本枯れ節(ほんかれぶし)=本節」と呼ばれ、本節になるまで半年、さらにそこから熟成させたりするそうだ。ここまでくると発酵が進み、んだとか!
発酵のおかげでうまみが増し、独特の風味も味わえる。わざとカビさせた方がいいことずくめなのである。
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【追加雑学①】自宅で食べているかつお節はほとんどがカビていない「裸節(はだかぶし)」
体に害のないカビとはいえ、それを普段食べているなんて…とビックリした人もいると思うが、実はわたしたちが普段食べているかつお節はカビていない。
カビつけと乾燥を繰り返した本枯れ節は高価すぎるので、だしパックやスーパーで売っているような削り節の商品は「裸節(はだかぶし)」を使うのだ。裸節はカビつけする直前の段階のかつお節である。
もちろん、裸節でも乾燥や焙煎をしてじゅうぶん手間がかかっている。その状態でもふつうに出汁を取るにはおいしいので、安価な市販品に使われている。
ただ、本当のかつお節のおいしさは「カビの風味・削りたてであること」がカギ。自宅で削り節のパックを食べている段階では、本当のかつお節のおいしさに気がついていないことになる…。
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【追加雑学②】自宅で削って食べてみよう
それならば、自宅で本枯れ節を削って食べてみればいいじゃないか! と思ったそこのあなた。費用と手間はかかるが、自宅でかつお節を削って食べることは可能だ。昔はどこの家庭でも自宅で削っていたので、ちゃんと削ることができる。
使うのは、本枯れ節のかたまりとかつお節削り器だ。本枯れ節はネットなどでも購入でき、単品で2000円前後である。初めてならかつお節削り器とセットで購入することをおすすめする。
木づちなどで軽くたたいて削り器の刃を数ミリ出し、清潔なふきんなどで本枯れ節の表面のカビを拭き取っておこう。削り器の刃を自分の方にむけて、奥に押し込んだときに削るのが一般的だ。
百聞は一見に如かず、ということで、削り方をまとめた動画を見てみたところ、道具さえあればわりと簡単に削れてしまうようである。
ありがとうニンベン!老舗メーカーの動画が分かりやすい
これさえ見れば簡単に削れる! …ような錯覚におちいる、かつお節の老舗メーカー・ニンベンが公開している動画を見てみよう。
かつお節と削り器さえ買ってしまえば、いつでも削りたてのおいしさを家庭で味わえる。
雑学まとめ
今回の雑学はいかがだっただろうか。スーパーでパック詰めの削り節を買っている段階では、本来のかつお節の味が味わえていないことになる…悔しい反面、「カビ」の味わいがおいしいとは想像できない。
昔の家庭はどこでも自宅でかつお節を削っていたようなので、現代の我々よりも当時の猫のほうが贅沢だったのかもしれない。
おいしい猫まんま、ならぬおかかご飯を食べるために、少しだけ頑張って自宅で削ってみよう。かつおとカビの豊かなマリアージュに驚かされるぞ(ちょっと複雑)。
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