子供と大人の味覚が異なることを、あなたはご存知だろうか?
子供といえば、好き嫌いが多いイメージがある。実際、筆者もわりと好き嫌いの多い子供であった。大人になると好き嫌いが減ることは多いが、実は味覚は成長とともに衰えてしまうのだという。
いったいどうしてなのだろうか…?! 今回はこの謎についての雑学に迫る!
【人体雑学】子供と大人の「味覚の違い」と好き嫌いの原因について
【雑学解説】子供の方が味覚に敏感な理由とは?
人間が感じる味には、甘味・塩味・酸味・苦味・旨味の5種類が存在する。それらを感じ取るのは、われわれの舌にある「味蕾(みらい)」と呼ばれる小さな器官である。
味蕾の数が多いほど、味覚をより敏感に感じ取ることができる。この器官の数は子供の方が多く、年齢とともにこの器官の数は減ってしまう。
具体的な味蕾の数は、乳幼児で約10000個・大人で5000個程度であるといわれている。さらに、高齢となると3000個程度にまで減ってしまう。つまり、味蕾の数が圧倒的に多い子供の方が、大人よりも味覚に敏感であるといえる。
ちなみに、人間の味覚は3歳までにだいたい決まる。その時期までにさまざまな食べ物を味わっておかないと、好き嫌いの激しい人間になってしまうと考えられている。
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【追加雑学】食べ物の好き嫌いが起こる原因とは?
ところで、どうして食べ物の好き嫌いは起こるのだろうか?
筆者はあまり好き嫌いがなく、イナゴやカエル・ウーパールーパーももりもり食べられる。ちなみに、筆者の唯一食べられなかったものは、韓国の蚕のさなぎの缶詰である。
子供の好き嫌いは本能的なもの
一般的に、大人よりも子供の方が好き嫌いが多い。「ピーマンが嫌い」「セロリが苦手」なんて話はよく聞く。筆者は幼少時、サザエの先端の苦い部分や魚の肝が好物で、チョコレートやケーキはあまり好きではなかった。
そんな筆者の好物は置いておくとして、一般的に子供が苦手だとされる食べ物は、苦味や酸味が強いものである。コーヒーや酢の物を好きな子供は、少ないであろう。
自然界では、苦いものや酸味があるものは、毒や腐敗物など生物にとって有害なものであることが多い。そして、子供はまださまざまな食品に触れる機会が少なく、味覚は本能に近いままである。
つまり、子供が苦味や酸味が強いものを嫌う傾向にあるのは、本能的に危険なものを避けているということであり、ごく自然なことなのだ。
読者の中には、「小さいころはピーマンが嫌いだったけれど、大人になったら食べられるようになった」という方はいるのではないだろうか? これは、成長とともにさまざまな味覚に触れ、本能的に危険とされる苦味に対する警戒意識が薄れていったことが原因である可能性が高いと思われる。
食経験により好き嫌いが発生することもある
もうひとつ、好き嫌いが起こる原因がある。それは、「食経験」である。
子供は、目新しい食べ物に対して強い警戒心をもつ。これも、危険を避けるという本能的な感覚であろう。
そんな得体の知れない新しい食べ物を口にした後、それが直接的な原因ではないにせよ、何らかの体調不良を起こしてしまう事態が発生する。そうすると、その食べ物に対してネガティブなイメージをもってしまい、それを苦手な食べ物として認識してしまうのである。
食経験による好き嫌いではないが、嫌な思い出が好き嫌いを作るというケースを知っている。筆者の弟のケースである。彼が嫌いな食べ物のひとつに、ミカンがある。それは、筆者のある行いが原因であると彼は言う。
ある冬の日、まだ幼かった筆者は皮をむいたミカンを2房を自らの口にくわえそれを唇に見立てて、「ミカンの唇おばけ~! チュ~!!」と弟に接吻を迫った。それがトラウマで、以降彼はミカンが食べられなくなったのだという。(ミカン味の食べ物は平気だが、果物としてのミカンは食べられないらしい。)
そりゃ、口にミカンくわえた姉から「ちゅ~!」とかいきなり迫られたら、一生のトラウマになるであろう。弟よ…すまなかった。
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雑学まとめ
味覚に関する雑学をご紹介した。味覚を感じるセンサーである味蕾は、大人よりも子供の方が多い。それゆえ、子供の方が大人よりも味覚が敏感なのである。
そして、子供の頃は、本能的に危険とされる苦味や酸味は避ける傾向にある。しかし味覚は3歳ごろには決まってしまうので、子供の好きなものばかりを食べさせず、豊かな味覚に触れさせて、食の喜びを教えたいものだ。
あと、筆者のように子供に余計なトラウマを与えないことも大切である!