映画に関わる誰もが欲しい賞といえば、ハリウッドのアカデミー賞だろう。映画関係者なら、1度はあのオスカー像を抱いてみたい…と思うのではないだろうか?
しかし、ハリウッドスターがオスカー像を抱く姿をみるといつも思うのは、あの無表情なオスカー像のモデルは誰なのか…である。「オスカーって誰だよ!」と、ツッコミを入れたことがある人も多いのでは?
そんな疑問にお答えすべく、オスカー像にまつわる雑学を紹介したいと思う。
【サブカル雑学】アカデミー賞で贈られる「オスカー像」のモデルは?
【雑学解説】オスカー像のモデルはメキシコ人俳優だった!?
まず気になるのは、オスカー像は誰をモデルにして作られたのか? ということ。
アカデミー賞受賞者に贈られる像をデザインしたのは、映画芸術科学アカデミーの創設会員の1人である美術監督のセドリック・ギボンズだ。
そして、この像の造形のモデルとなったのは、メキシコ人俳優のエミリオ・フェルナンデスだといわれている。セドリック・ギボンズの妻はメキシコ人女優のロレス・デル・リオであり、彼女は同郷のエミリオ・フェルナンデスと親交があった。
そして、セドリック・ギボンズは、妻からエミリオ・フェルナンデスを紹介された際に像のデザインのモデルになってほしいと頼んだという。ちなみに、オスカー像とエミリオ・フェルナンデスの比較はこのツイートを見てほしい。
オスカー像のモデルを調べてみたら、エミリオ・フェルナンデスさんなんですね。あのがっしりとしたお顔だちは、確かに…
デル・トロ監督はメキシコ生まれのオスカー受賞者としては3人目になるそうで。
モデルがメキシコ人なのにまだたった3人!
そのあたりも含め、大変意義深い受賞だった訳ですね。 pic.twitter.com/D0dPcSQfns— サド和尚 (@sadist_monk) 2018年3月6日
オスカー像の「造形の」モデルはエミリオ・フェルナンデスで間違いなさそう。
光り輝くオスカー像が見れる動画を発見したぞ! 第90回アカデミー賞でメイク・ヘアスタイリング賞を初めて受賞した日本人、辻一弘さんの前に置かれたオスカー像。やはり見た目から威厳を感じる…。
スポンサーリンク
【追加雑学①】オスカーと呼ばれるのは「親戚のおじさんに似ている」から!?
ここまでで、オスカー像のモデルについてはわかってもらえただろう。だが、「オスカー」の名前とは全然関係ないような…。
この像が初めて「オスカー像」と呼ばれた記録があるのは、1933年の第6回授賞式からである。そして、オスカー像がオスカーと呼ばれるようになった理由については、いくつか説があるので、それらをご紹介しよう。
① 映画芸術科学アカデミーの女性職員が命名した説
映画芸術科学アカデミーの女性職員マーガレット・ヘリックが像をみて、「親戚のオスカーおじさんに似ている!」と言ったことから、「オスカー像」という愛称になったという説。
こんないい加減? な理由で付けられた呼び名が世に出るとは考えづらいが、1番有力な説らしい。
② ジャーナリストが名付けた説
「オスカー像」という名称を初めて記事に残した、ジャーナリストのシドニー・スコルスキーが名付けたという説。
彼がオスカーと名付けたのは、「アカデミー賞のお高くとまった印象を快く思っていなかったので、オスカーというありふれた名前をつけて、せめて人間らしい印象で扱ってやろうと思った」という理由らしい。
しかし、そんな理由でいきなり「オスカー」という名称を記事に書いたのか…という疑問は残る。
③ 女優が夫に呼びかけたことが由来となった説
1935年に主演女優賞を獲得したベディ・デイヴィスが、受賞の際に客席にいる夫に対して「オスカー、やったわよ!」と叫んだのがキッカケとする説。
しかし、1933年には新聞記事などで「オスカー像」と呼ばれていた記録があるため、この説の信憑性は低いようだ。
いずれの説も決め手にかける説であり、なぜ「オスカー」なのか、その真相は闇の中である。
【追加雑学②】オスカー像は転売禁止だった!?
映画関係者にとっては大切なオスカー像だが、経済的に困窮すれば売ってしまいたいと思うこともあるだろう。とても価値が高いオスカー像だけに、オークションなどに出品されれば、かなりの高額で売れることは間違いない。
しかし、オスカー像がオークションなどに出回ることを望まない映画芸術科学アカデミーは、1951年からノミネート対象者に「もし受賞した場合は、有償無償を問わずオスカー像を他人に譲ってはならない」という条件を同意してもらっている。
オークションなどで取得されたオスカー像は盗品扱いされ、映画芸術科学アカデミーが1ドルで買い取ることになっているらしい。しかし、この同意を得ていない1950年以前に授与されたオスカー像はこの規定が適用されないため、オークションなどに出品されたこともある。
たとえば、1940年の「風と共に去りぬ」のオスカー像は、有名歌手のマイケル・ジャクソンが150万ドルで落札したという。また、2012年には、1941年に受賞した「市民ケーン」などのオスカー像15体が出品され、合計で約300万ドルで落札されたそうだ。
なお、自らもオスカー像を獲得したことのある映画監督のスティーブン・スピルバーグは、オークションで3体のオスカー像を落札したが、すべて映画芸術科学アカデミーに寄付しているらしい。映画界の財産が売買されることを嘆いたから…というのが、その理由だ。
映画史に名を残すほどの偉大な監督なだけに、オスカー像に対する思い入れも強いようである。これは、さすがというほかない。
雑学まとめ
今回はオスカー像に関する雑学を紹介した。
オスカー像の「オスカー」が誰なのか…という疑問は、思っていたよりも謎に包まれたものだった!
しかし、オスカー像には造形のモデルとなったエミリオ・フェルナンデスがいるのだから、「エミリオ像」にすればよかったと思うのだが…。ただ、その場合は特定の俳優の印象が強くなってしまうから、あえて避けたのかもしれない。
もしアナタが映画好きでも、オークションに出品されたオスカー像に手を出すのはやめておこう。どうせ、1ドルで買い戻される可能性が高いのだから…って、それ以前にオスカー像を落札できるほどのお金持ちにならないといけないけどね!