みなさんは普段、どんなお酒を飲んでいるだろうか? 筆者はもっぱらビール派だが…たまーに怖いもの見たさで、度数の強いお酒に挑戦してみたくなることがある。
テキーラやウォッカなど、度数の高いお酒はすぐに酔っぱらえてある意味コスパ良し! …などと思っていたら、これらのお酒はまだまだ序の口。
世界には我々が「アルコールきついな!」と言っているお酒よりも、遥かに度数の高いお酒が存在するのだ。
今回はそんなとんでもないお酒たちをランキング形式でご紹介。冒険心を刺激する、ちょっと危ないお酒の雑学に迫っていこう!
【食べ物雑学】アルコール度数の高い酒ランキング
【雑学解説】アルコール度数の高い酒トップ5!
世界のアルコール度数の高いお酒をランキングにすると、トップ5は以下の通りだ。
- 1位:スピリタス(96度:ポーランド)
- 2位:エバークリア(95度:アメリカ)
- 3位:ゴッチェ・インペリアル(92度:イタリア)
- 4位:ノッキーン・ポチーン(90度:アイルランド)
- 5位:ハプスブルグ アブサン エクストラ・ストロング(89.9度:ブルガリア)
90度超えとか意味がわからない。
お酒には大きく醸造酒・蒸留酒の2種類があり、上記はすべて蒸留酒である。
醸造酒は、果物や麦などに含まれる糖分を発酵させたもの。一方、蒸留酒は、これと同じ手順でアルコールを精製したあとに、それを「気化させる」→「液体に戻す」という工程を経て、蒸留を繰り返してアルコール度数を高めたものだ。
度数の低いビールやワイン、日本酒などはみんな醸造酒で、度数が高い部類の日本酒でも15~16度程度。それに比べて蒸留酒はウィスキーやブランデー、焼酎などで、比較的度数の低い焼酎でも25度はある。
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ランキング上位のお酒たちは、この蒸留という過程を「これでもか!」というほど経てきたもので、私たちが普段飲んでいるお酒とはまるで比べ物にならない。モンスターである。
それでは、そんなアルコール度数のトップランカーたちの詳細を見ていこう!
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アルコール度数1位:スピリタス(96度:ポーランド)
スピリタスはウォッカの一種で、日本でもわりとポピュラーなお酒だ。「名前は聞いたことがある」という人は多いだろうし、怖いもの見たさで実際に飲んだことがある人もいるのでは?
96度という堂々1位の度数を誇るこのお酒は、そのまま飲むと「アルコールキツイなあ!」を通り越して「舌が痛い!」と思うほどである。
もちろん基本は何かで割って飲んだり果実酒に利用したりするもので、ストレートで飲んだなどと言えば、ポーランド人に失笑されてしまう。…というか普通に危ない。
また火を近付けると燃えるので、タバコなどを吸いながら飲むのは絶対にダメ。日本では消防法でガソリンなどと同列の危険物扱いである。ガソリンと同列って…。
ここまでアルコール度数が高いと、どれだけ蒸留しているかが気になるところだが…その回数はなんと70回以上! 参考までにいうと、ウィスキーの蒸留回数は3回ほどである。レベルが違いすぎる。
HIKAKINさんも動画でスピリタスを紹介していた! 舌に乗せた途端に蒸発してしまうほどとは…よく燃えるわけだ…。
スピリタスの原産地・ポーランドは酒豪の国
筆者が一度ポーランドを旅行したときには、現地に住んでいる日本の方に「ポーランドは基本的に治安はいいんだけど、酔っぱらいには気をつけてね!」と言われたことがある。
たしかに滞在中は、ベロベロの酔っぱらいに何度となく絡まれた。基本は楽しい人たちなので、そういうノリが好きな人なら問題はないのだが。
またポーランド人とピクニックに出かけた知人は、「あの人たち、ピクニックにもクソ強いお酒を持参してくるよ」と言ってたな…。ポーランドはロシアとも近くて寒い地域なので、強いお酒で身体を温める文化があるようだ。
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アルコール度数2位:エバークリア(95度:アメリカ)
第2位のエバークリアはアメリカのお酒だが、あまりにアルコール度数が高すぎるため、販売自体を法律違反としている州も少なくない。日本では通販で購入できるからびっくりだ。
お味のほうはというと、なんだかゴムみたいな風味がして、お世辞にも美味いとはいえないらしい。
主にお金のない田舎の大学生が安く酔っぱらうために飲むもので、学生同士のパーティでは「ジャングルジュース」という、エバークリアを使ったフルーツポンチが振る舞われるのだとか。もっとほかのお酒を使ったほうがおいしいと思うけど…。
アメリカでもインディアナ州などに行けば手に入るようだが、禁止にされる州も年々増えているので、いつ買えなくなるかわからない。
ニューヨークなどの都会では買えないため、旅行者にとっても無縁のお酒かも。
「アルコール度が高くて安いリカーって何?」とリカーストアで聞いたところ、「エバークリアかなぁ。189プルーフ(94.5%)だから、ほぼほぼピュアなアルコールだよ。」とのこと。
子どもたちのサイエンス実験を兼ねてハンドサニタイザーをつくってみます。750mlで16ドルだからちょっと高くつくけどw pic.twitter.com/G8Gsu2mwHE— ふらカナ (@fura_kana) April 4, 2020
アルコール度数3位:ゴッチェ インペリアル(92度:イタリア)
ゴッチェ・インペリアルは「皇帝の滴」という意味の修道院で生まれたお酒だ。サフランというハーブを使っていて、黄みがかった色合いが美しい。
なんで修道院でお酒? と思うところだが、フランスにも修道院生まれの「シャルトリューズ」というお酒があったりするし、ヨーロッパの修道院とお酒は意外につながりが深い。娯楽というより、薬として作られてきた歴史があるようだ。
ゴッチェ・インペリアルもその用法は薬っぽくて、消化を助ける食後酒として飲まれることが多い。飲み方は主に水割り。ハーブをもとにしているだけあって、スピリタスなどと比べて風味がいいのかも?
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アルコール度数4位:ノッキーン・ポチーン(90度:アイルランド)
アイルランド原産のノッキーン・ポチーンは、麦芽・大麦・カラス麦などを使った、ほんのり甘みのあるお酒。なんだそのギャグみたいな名前。
なんとなく麦焼酎みたいなニュアンスを感じるな…と思っていたらやっぱり、お酒に強い人はおいしく飲めるお酒のようだ。
現地ではストレートに挑戦する人もいるとのことだが、悪いことは言わないので水割りやソーダ割りで飲むのがおすすめ。
アルコール度数5位:ハプスブルグ アブサン エクストラ・ストロング(89.9度:ブルガリア)
ハプスブルグ アブサン エクストラ・ストロング…舌を噛んでしまうそうな銘柄だが、つまりは「アブサン」というお酒の種類である。
アブサンはヨーロッパでは「幻惑のお酒」と呼ばれ、一世を風靡した歴史がある。
最初は薬として作られていたが、のちに商品化され、安価なこととアロマのような香り高い味わいから一躍人気に。しかし原料となるニガヨモギには幻覚作用があり、19世紀のヨーロッパでは多くの中毒者が出る社会問題となった。
そのため一時は販売が禁止されていたが、現在は幻覚作用のある成分を抑えたものに限り解禁されている。今出回っているのはヤバくないのでご安心を。
なかでもブルガリアで作られているハプスブルグ アブサン エクストラ・ストロングは、アブサンのなかでもアルコール度数が一番高い。
ハプスブルグ アブサン エクストラ・ストロング買ってみた。。
89.9度wwww pic.twitter.com/f7O0s0IybB— いるまにんげん (@_nirvanana) December 22, 2018
こちらも、お酒に強い人ならロックや水割りなどでおいしく飲める。この手のお酒にしては珍しく、日本でも比較的手に入りやすいのもうれしい点だ。
ちなみに国産のアブサンは長らく生産が中止されていたが、2015年より、ニガヨモギの代わりにヨモギを使った「和ぶさん」という日本生まれのアブサンが販売されている。これは飲んでみたい!
https://twitter.com/zikkai/status/1192044264466702337
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【番外編】普通に飲めるレベルでアルコール度数の高いお酒
ここまでのランキングを眺めていて、正直「なんかどれも度胸試しで飲むようなレベルやんけ…」と思った方も多いのではないだろうか…。
ということで、そこまでお酒に強くない人でも普通に味わって楽しめる「アルコール度数の高いお酒」も紹介しておこう!
番外編その1:テキーラ(40度:メキシコ)
テキーラはアガベという多肉植物を使ったメキシコ生まれの蒸留酒。日本でもバーなどでおなじみである。
強いお酒といえばコレ! というイメージをもっている人も多いが、その度数は40度。前述のトップランカーたちに比べるとかなり優しい印象を受ける。しかしテキーラのアルコールが強いといわれている理由は、度数ではなくその飲み方にあるのだ。
テキーラはちびちびと味わうように飲むようなことはなく、ほとんどの場合ショットグラスで一気にグイっと飲むのが基本である。バーなどでライムを噛んでから飲んだりするのは、テキーラの刺激的な味わいを優しくするため。
つまりは一度に飲む量がどうしても多くなるので、そのぶん酔っぱらいやすいということである。そこまで度数が高くないといっても、ペースを考えないとあっという間にベロベロになってしまうぞ!
以下は、テキーラの原料となるアガベの収穫の動画である。…こんなにデカイ植物なのか!? これは作るのも一苦労である…。
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番外編その2:スタッグJr.(67度:アメリカ)
スタッグJr.はジョージTスタッグという、プレミアムバーボンの一種。
製法の関係上バラツキはあるものの、バーボンのなかでもかなり高い、最高67度というアルコール度数を誇っている。価格の高さも隋一で、750ミリのボトルで1万円以上はするからスゴい…。
アルコール度数の高いお酒でここまでの高級品というのも珍しい。度数が高いというのもそうだが、かなり貴重なお酒なので、水割りなどでちびちび飲みたい逸品である。
スタッグjr(64.85度)
プレミアが付いてる分、やはり旨い
度数も高いが、そのおかげでコクや深みも違う
とりあえずめちゃくちゃ旨い pic.twitter.com/HcJlosS2Ax— かじぱん (@threerou) June 8, 2019
番外編その3:花酒(60度:与那国島)
花酒(はなざけ)は、沖縄の与那国島のお酒で、日本生まれのお酒としてはかなり高い60度というアルコール度数。実はこの花酒は、沖縄名物・泡盛と同じ製法で作られる蒸留酒である。
「同じ製法で作られているならそれも泡盛じゃん」と思うかもしれない。しかし実は泡盛は法律上、アルコール度数45度が上限とされており、それを上回ったものは泡盛を名乗ってはいけないのである。
蒸留酒は蒸留され、最初に水滴として垂れてきたものほどアルコール度数が高くなる。これを初留(しょりゅう)といい、花酒は泡盛のなかでもこの初留の部分を商品化したものなのだ。
度数的にはかなり高いが、ゆっくりと濃厚な甘みを楽しむ感じのお酒なので、それもちょうどいい。
花酒を販売している酒造は入波平酒造・国泉泡盛・崎元酒造の3ヵ所。
花酒は古くから、故人の遺骨を清めたり、患部に塗ってマッサージしたりなどの用法で、与那国島の人たちに親しまれてきた。沖縄という日本のなかでも特有の文化をもつ土地柄が生み出したお酒なのである。
「アルコール度数の高い酒」の雑学まとめ
今回はアルコール度数の高いお酒ランキングと、度数の高いお酒のさまざまな雑学をご紹介した。
世界にはもはや劇物レベルのお酒がこれだけあるとは…。飲んでみたいような、やめといたほうがいいような…やっぱり冒険心が刺激される!
ただやっぱり、そもそも薬として使われていたお酒もあるように、やっぱり悪ふざけで飲むのは感心できない。挑戦する際は、その危険性を十分理解したうえで飲むようにしよう!
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