4年おきに行われている近代オリンピックの前身、古代オリンピック。古代ギリシアの主神であるゼウスに捧げる祭りとして紀元前9世紀ごろに始まったといわれる非常に歴史のある祭典だ。
近代オリンピックの礎となった古代オリンピックだが、現代では考えられないルールも多かった。
そのひとつが競技者の服装である。なんと、参加する選手たちはとんでもない格好で競技をしていたというのだ…。今回はその驚きの雑学をご紹介しよう!
【オリンピック雑学】古代オリンピックは、選手もコーチも全員全裸だった
【雑学解説】オリンピックでの真っ裸は、美と潔白の証し!
古代オリンピックが行われていたのは、紀元前のギリシアだ。はるかに遠い遠い昔である。そんな大昔の祭典がどのように行われていたのか、そのヒントは現代に残っている彫刻や絵画にある。
古代オリンピックの競技風景を描いた絵画や彫刻、そこにはある共通点が。そう、みんな裸なのだ。
全裸で槍を投げたり走ったりする選手たち。今では全裸で走り回ったら公然わいせつで即お縄だ。でも、当時は選手もコーチもみんな真っ裸で登場。想像するとシュールな光景だ。
でも、なぜみんな全裸になっていたのだろうか。全裸ってたしかに身軽だけど、スポーツするには逆に危険な気がする…。
これだという正確な理由はわかっていないが、「美の追求」と「潔白の証明」が主な理由だとされている。
そもそも古代オリンピックの原点は、全能の神であるゼウスをはじめとした神々に捧げる祭典だ。そんなオリンピックでは、神々を喜ばせるために神々が造った人間の美しい姿を見せようとしたのである。
そして古代のギリシアで考えられた「人間の究極の美」とは、「男性の肉体美」だったのだ。
健康で筋肉隆々な男性の裸こそが神々を喜ばせるにふさわしい人間の姿であり、マッチョな男性こそが「究極の美」にふさわしいと考えられていたのである。
また、当時のオリンピックは現代以上に真剣勝負が繰り広げられていた。オリンピックでの優勝は今以上に大きな栄光だったのだ。
それゆえに不正も多かった古代オリンピック。ゼウスに向けて「不正をしていない」と潔白を証明するためにも、何も纏わない全裸が支持されたという。
「美の追求」と「潔白の証明」から真っ裸で登場した古代オリンピックの選手たち。マッチョが美しいとされるのは今でも変わらないが、やっぱり大勢の観衆のなか裸で競技するのは今考えるとすごい勇気である…。
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【追加雑学①】古代オリンピックは一度も中止されなかった!
1896年のアテネ大会から始まった近代オリンピックは、2020年の東京大会で夏季は29回目、冬季は2022年北京大会で24回目の開催となる。その100年以上に及ぶ長い歴史のなかで、夏季冬季合わせて5回中止になっているのだ。
その理由はすべて戦争。平和の祭典オリンピックも戦争を前にしては無力だ。そりゃあ戦時中にスポーツをする余裕はないだろう。
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ところが、近代オリンピックの歴史をはるかに凌駕する古代オリンピックは、なんと一度も中止になっていないのだ。約1200年のあいだ一度もである。
昔ってそんなに平和だったの? と思いきやそんなはずはなく、昔だって争いは絶えない。1000年もの長い時間、紛争や戦争だってたくさんあった。
古代オリンピックは、「戦争だからオリンピック中止!」でなくて「オリンピックだから戦争中止!」。なんと今とは逆の発想でオリンピックのあいだは休戦していたのだ…!
古代オリンピックの姿勢こそ、平和の祭典にふさわしいのかもしれない。
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【追加雑学②】オリンピックのあいだ、娼婦は5日間で1年分の売り上げを稼いだ!
古代オリンピックは男性の肉体美を追求した大会でもあった。ゼウスが男性の神様であったこともあり、当時の大会は女人禁制。選手やコーチはもちろん全員男。そして観客も男。徹底的な「男の祭り」だったのだ。
そんな4年に1度のオリンピックにはギリシア中の男たちが集まった。男たちでぎゅうぎゅうな男だらけの街。そこに目をつけたのがギリシア中の娼婦たちだ。
男を相手にする娼婦たちからしたらオリンピック真っ最中の街は宝の山。そこらじゅうをお金が歩き回っている状態だ。
オリンピックが開催される街には今こそ稼ぎどきとギリシア中の娼婦が集まり、なんと5日で1年分の売り上げを稼いだという。
さすが「男の祭り」なだけある。
雑学まとめ
今回の雑学はいかがだっただろうか。真っ裸で走り回るお祭り…と聞くと古代オリンピックは相当アブない大会のように思えるが、彼らにとって全裸は神への忠誠と真剣勝負の証だったのだ。
近代オリンピックではもちろん裸はご法度。ユニフォームを着て行われるが、アスリートの美しさや真剣勝負へのこだわりは、今もなお色あせずに受け継がれている精神である。
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