アンパンで逮捕!?
「そんなの当たり前じゃないか」と思った方…そのアンパンじゃないぞ(警察の隠語で、アンパン=シンナーの意)。
ここでいうアンパンは、中にあんこを詰めた菓子パンのアンパンである。子ども向け人気アニメのキャラクターにもなっているあのアンパンだ。ん? そのアンパンと逮捕って、何も関係ないように思えるが…。
【食べ物雑学】アンパンの上の"ごま"の正体とは?
【雑学解説】アンパンの上の"ごま"の正体は「ポピーシード」
実は、市販されている多くのアンパンには「アヘン」という麻薬の原料になるケシの種子が使われている。これは「ポピーシード」と呼ばれ、アンパンのうえにまぶしてあるツブツブがそれだ。
なんだって!? 麻薬と原料が同じものを当たり前のように売っているのか? と思った人も安心してほしい。アヘンは熟す前の果実から獲れる物質で、十分に熟したケシには、アヘンを生成する能力はなくなる。
ポピーシードは、その熟したケシの種子を加工したものであるため、原料が同じでも麻薬としての効果はまったくないのだ。
しかし大量に食べたときや、熟しが足りない品質の悪いものを食べたときは、尿検査にてごくごく稀に麻薬の陽性反応が出ることがあるのだとか。ただそれもほんとに少量の話なので、「偽陽性反応」と扱われ、逮捕されるようなことはほぼない。
【追加雑学①】ポピーシードは栄養満点なスーパーフード
麻薬と原料が同じという強いインパクトをもつポピーシードだが、アンパンにも使われているように、日本でも広く普及し、スーパーなどでも簡単に購入できる。
麻薬を簡単に購入…フフフ…って違う違う! 実はポピーシードはちっちゃいクセに栄養満点なスーパーフードなのである。ざっと見て以下のような健康効果が期待できるぞ!
- オレイン酸…血の流れをサラサラにして生活習慣病を予防
- 食物繊維…整腸効果により肥満を予防
- ビタミンB・ミネラル…体調を整え、疲労を回復
用途としてはアンパンやケーキなどの菓子にまぶしたり、カレーのスパイスに使ったりするのが代表的。ナッツやクルミに近い味わいで、プチプチとした心地良い食感が菓子類に良いアクセントを加えてくれる。
さすが元麻薬! …と、あんまり悪ふざけがすぎると怒られそうだ。
スポンサーリンク
以下にポピーシードを使った手作りケーキの動画を紹介しておこう。あ…こういうやつ食べたことあるぞ! 独特の舌触りが癖になるんだよね…。
【追加雑学②】アヘンはもともと医療薬
熟していないケシの果実から獲れるアヘンは麻薬のイメージが強いが、そもそもは医療薬として使われだしたものだ。鎮痛や下痢を止める効果があり、日本では主にすい臓がんの治療などに使われている。
しかし痛みを和らげてくれる反面、依存性があり、用法を誤ると非常に危険だ。歴史の授業でイギリスと中国の「アヘン戦争」を習ったように、19世紀の中国ではアヘンの乱用が問題となり、世界から取り沙汰された。
あくまで緊急時に使うものなのに、「痛いのは嫌だ」と大量に摂取する人がいたことから依存症が広がっていったといわれている。摂取すれば立っているのはおろか、座っているのもままならないほど力が抜けてしまうというから、劇薬も劇薬だ。
ちなみにアヘンをさらに精製したヘロインという薬物もあるが、これはアヘンよりさらに精神作用が強いため、医療用としても使用を禁じられている。
そもそも薬という以上、用法を間違えばどんなものでも害になるのは同じ。風邪をひいたときなども薬を飲むより、栄養と休息で治すのが一番といわれるのがいい例である。
それをわきまえず乱用してしまった人間の浅ましさが、アヘンを麻薬に仕立て上げたといっていいのではないか。
「アンパンのごま」の雑学まとめ
アンパンのうえにまぶしてあるツブツブ、ポピーシードは麻薬と原料が同じで、質の悪いものを食べたりすれば麻薬検査に引っかかる可能性がたしかにあった。
しかしそういったものを食べたとしても、含まれているのは少量で、まったく害はないし、逮捕もされない。仮に逮捕されるとしたら、そもそもパン屋さんが麻薬取締法に違反しているということではないか…。
それどころかポピーシードは栄養満点のスーパーフードという、麻薬とは相反する側面をもっていた。お菓子作りが趣味の人などは、ぜひ進んで取り入れてみてほしい!