きっとアンパンを食べたことのない日本人はいない。
洋食の主食であるパンに、和菓子の基本であるあんこを入れた、和洋折衷のお手本のような菓子パンだ。
日本人の甘味にかかせないあんこは、もはや和菓子の血液といえるだろう。骨の髄まで日本人のDNAに染み込んだあんこの力は半端じゃない。これをパンに合わせるなんて…。アンパンを発明した人は間違いなく天才だ。
今回はそんなアンパンの発明についての雑学を紹介する。
【食べ物雑学】アンパンの由来とは?
【雑学解説】アンパンが作られた由来とは?
パンは戦国時代に日本に伝わっていたため江戸時代にもあるにはあったが、キリスト教を禁じ異国文化を封じていた時代であったため、長崎の出島で細々と生産されているだけだった。
その後、江戸時代後期には兵糧用の保存食として用いられたりもした。しかし、保存性が良いが固いものしかなかった。今でいう乾パンだ。
鎖国を解いて明治時代に入ると、文明開化を謳い欧米の文化がなだれ込んでくる。洋食もそのひとつ。そしてパン作りも次第に広まるようになった。
おすすめ記事
-
菓子パンの中でアンパンに保存料が使われない理由とは?惣菜パンは注意!
続きを見る
木村屋が日本人に合うパンを開発した
その先陣を切ったのが木村屋だ。1869年、お店を銀座にオープン。
木村屋は日本にパンを普及すべく、パン作りに精を出す。日本人の舌に合うパンを…と試行錯誤していると、あるとき酒まんじゅうに目がとまる。
酒まんじゅうの生地はパンに似ているのに、パン以上に人気がある…。
店主の木村安兵衛とその息子・英三郎は酒まんじゅうの生地を参考に、日本酒の酵母を使ったパン生地を開発する。そこにさらにあんこを詰めて、酒まんじゅう風パンは完成。
日本人になじみやすい和洋折衷のアンパンは評判になり、たちまち人気者に。
今ではどこでも食べられる定番の菓子パンとなった。
スポンサーリンク
【追加雑学①】4月4日は「アンパンの日」
アンパンの日をご存知だろうか。
実は4月4日が「アンパンの日」として定められている。
1875年4月4日、明治天皇がお花見をされる際に木村屋のアンパンが献上された。明治天皇は初めてのアンパンをとても気に入り、以来木村屋のアンパンは皇室の御用達となったのだ。
その記念としてこの日を「アンパンの日」として定められることに。
この4月4日の出来事によってますますアンパンの知名度は上がり、アンパンは押しも押されもせぬパン業界の一躍スターに昇りつめたのである。
おすすめ記事
-
アンパンマンの初期設定は人間だった。パンを配る優しいおじさん…!
続きを見る
【追加雑学②】アンパンの上に乗っている「ごま」は麻薬?
ところで、アンパンの上にはなにかが乗っていることが多い。桜の花の塩漬けであったり黒ごまであったりと、お店によってまちまちだが、ときに危険なものが降りかかっているアンパンもあるのだ。
ごまのような白いつぶつぶが乗っているアンパンを見つけたときは要注意。
それは「ケシの実」かもしれない。
ケシは、ドラッグ「ヘロイン」の材料。日本ではあへん法で栽培することを禁じられている植物だ。その種がしばしばアンパンの上に振りかけられる。すなわちアンパンに乗ったつぶつぶは麻薬の元なのだ。
とはいえ、ヘロインをアンパンに乗っけていたら大問題。アンパンに乗っているケシの実は食べても問題ないので安心してほしい。
あへん法により違反とされるのは「発芽するもの」。日本で流通しているケシの実は発芽しないように加熱されているのだ。
ちなみに木村屋ではつぶあんとこしあんを区別するために、ケシの実と白ごまを分けて使用している。
おすすめ記事
-
つぶあんとこしあんの違いとは?味/作り方/栄養とカロリーで徹底比較!【動画】
続きを見る
アンパンの雑学まとめ
今回はアンパンについての雑学を紹介した。
アンパンを生んだ老舗パン屋「木村屋」は、他にもジャムパンや蒸しパンなど、今では欠かすことのできない菓子パンをたくさん生み出した。
まさにパン界のレジェンド。神のような存在である。銀座に立ち寄った際にはぜひ日本のパンの原点を味わうとよいだろう。
おすすめ記事
-
日本初のジャムパンにはイチゴじゃなくて何が入っていた…?
続きを見る