山火事…全ての植物を焼き尽くす現象は、植物たちにとって危機的状況である。しかし、こんな危機的状況を利用して繁栄していく植物がいるのを知っているだろうか?
その植物の名は「バンクシア」。何やら聞きなれない名前だ。
今回の雑学記事では、このバンクシアが山火事でどうやって繁栄していくのかという謎について解説していこう。
【自然雑学】山火事を利用して繁栄するバンクシア
【雑学解説】バンクシアは山火事で焼かれることで発芽していく
知っている人も多いと思うが、通常、植物は種から発芽して繁栄していく。え? 初めて聞いた? そんな人は小学校の理科の教科書の確認をおすすめする。
さて話を戻そう。植物の発芽条件は個体の種類によって、発芽条件の温度や湿度が異なる。そしてバンクシアは山火事が起きないと発芽しないというわけなのだ。
バンクシアはオーストラリアに分布している植物で、その種類は75種類もあるといわれている。バンクシアの果実は松ぼっくりのような形をしており、とにかく硬い。この硬い果実がはじけて種を落とすために、山火事の力が必要というわけなのだ。
ではオーストラリアの山火事とは、どのくらいの規模なのだろうか? ここに山火事から車で逃げる様子が撮影された動画がある。まずは実際に観てほしい。
オーストラリアは乾燥した季節になると、タバコのポイ捨て・木の摩擦・雷といった原因で山火事が起こりやすくなる。
上の動画を観ても分かる通り、凄まじい火の勢いは周囲の樹々を全て焼き払う。通常の植物なら焼き払われて終わりだ。これほどまでに激しい山火事の力がないと果実がはじけないなんて、どれだけ硬いんだろうか。恐るべし、バンクシア。
山火事で辺り一面が焼き払われている状態は、バンクシアにとってさえぎるものがないため日当たりが抜群だ。さらに、他の樹々が焼かれた灰はバンクシアにとっては栄養となり、ぐんぐんと成長していく。
通常の植物がダウンしていく環境の中で、たくましく成長していくバンクシア。なんて逆境に強い植物なんだろう。我々人間も、バンクシアのこの打たれ強さを見習いたいものだ。
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【追加雑学①】バンクシアの名前は植物学者から付けられた
繁栄方法がインパクト抜群なバンクシアだが、名前もなかなか個性的だ。この名前、実は人の名前をヒントにして付けられたといわれている。その人物の名は、ジョセフ・バンクス。世界周航をしたキャプテン・クックに同行した植物学者である。
そして、バンクシアは姿形もインパクトがある。
種を出し終わったバンクシアは、実は松ぼっくりのような形だが、花はブラシのような形をしている。バンクシアの花の映像を入手したので観てほしい。
映像の通り、花が数千もの数びっしりとついている。この状態が最終的には松ぼっくりのような形になるのだから、神秘としかいえない。
ブラシを連想させる花の状態と、種を出し終わった松ぼっくりのような形のギャップに魅了される人も少なくない。日本でも輸入ものの切り花を扱っている花屋で目にすることができるため、興味がある人は一度実物のバンクシアを見てみるのも良いだろう。
【追加雑学②】バンクシアは生花・ドライフラワーどちらでも◎
バンクシアは生花・ドライフラワーどちらにも適している。バンクシアの魅力は、生花として飾っていて花が乾燥(枯れる)しても外見にほとんど変化がないということだ。
大半の花はどんなに美しくても、枯れ始めるととたんにみすぼらしくなってしまう。しかしバンクシアは上記でも説明したように、外見の変化が目立たないため、長く楽しめる。
ドライフラワーにも簡単にでき、実際以前はドライフラワーとしての流通が主だったという。インパクトのある花が好きな人には、ピッタリの花といえるだろう。
【追加雑学③】バンクシアの花言葉がとにかくカッコいい!
花を購入するときに、花言葉を意識するという人もいるだろう。ここでバンクシアの花言葉を紹介しよう。
「心地よい孤独」・「勇気ある恋」・「心に鎧を着る」
これがバンクシアの花言葉だ。
心地よい孤独…。なんて格好いいんだろう! 孤独を心地よいと感じられるようになりたい、と個人的に憧れを抱いてしまう。
雑学まとめ
オーストラリア原産のバンクシアについての雑学を紹介してきた。バンクシアは名前や姿形からして、日本の植物と大きく異なっている。
バンクシアはワイルドフラワーとも呼ばれており、花としての生き様や花言葉までワイルドで格好いい。好みはあるが、抜群の存在感をインテリアの一部として飾るのもおすすめだぞ。