スポーツのルールは、時代を重ねるにつれて変更されていくことが自然だ。したがって、考案された当時のルールとは、当然違いがある。両チームあわせて10人でスコアを競い合うバスケットボールも例外ではない。
現在のバスケットボールでは、リングの形をしたゴールが当たり前になっているが、競技が考案された当時はまったく異なっていたのだ。この雑学記事では、バスケットボールのゴールの真相に迫っていく。
【スポーツ雑学】「バスケットボール」は名の通りバスケットをゴールにしていた
【雑学解説】バスケットボールのゴールは当初、箱状のゴールが想定されていた
バスケットボールのゴールは、高さ305センチ・直径45センチのリング状のゴールを設置することがルールで決められている。だが、バスケットボールが生まれた当時は、ゴールの代わりに、フルーツを入れるバスケット(カゴ)が使用されていたことをご存じだろうか。
バスケットボールは、1891年に冬季に室内でできる競技としてアメリカで考案されたスポーツである。この競技を考案したとされる人物が、アメリカ・マサチューセッツ州にある「国際YMCAトレーニングスクール」のカナダ人教師、ジェームズ・ネイスミスだ。
彼は同スクールの体育教師であり、学校の授業で生徒たちに世界で初めてバスケットボールをプレイさせたのだ。この競技は、彼が少年時代に行っていた小石投げの遊びと、ラクロスやフットボールといった他のスポーツを参考に考案したとされる。
当初、彼は競技に使用するゴールを、45センチ四方の箱状のゴールを想定していたそうだが、ゴールとなる手ごろな物が調達できなかったことから、それをあきらめ、桃を入れるカゴを体育館に取り付けることにした。
つまり、バスケットボールの「バスケット」とは、この桃を入れたカゴのことだったのだ。だが、ゴールに見立てたカゴは耐久性に乏しく、すぐに使用できなくなることから、後にゴールは金属の素材でできたゴールに変えられたという。
なお、当時は現在のようなリング状のゴールの下に張られたネットの口が開いておらず、シュートが決まるたびにボールを取り出していたといわれる。現在のゴールの形状になったのは、一説には1912年前後とされる。
バスケットボールの「バスケット」が桃を入れるための「カゴ」だったとは、なんとも競技が考案された際の手作り感あふれるエピソードである。
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【追加雑学①】世界初のバスケットボールの授業には日本人が参加していた
「国際YMCAトレーニングスクール」のカナダ人教師・ジェームズ・ネイスミスが、バスケットボールを考案したことは先にご紹介した。同スクールの彼が担当した授業において、史上初めてバスケットボールが行われた。その試合に、実は日本人が参加していたのだ。
その日本人とは、明治・大正・昭和期の実業家であり、当時「国際YMCAトレーニングスクール」に在籍していた、石川源三郎である。
世界初のバスケットボールの試合は、1891年12月21日午前11時30分に同校の体育館で行われた。彼はその試合に参加していたのだ。そのときの試合風景は、石川本人がスケッチとして残している。
彼は1892年に同スクールを卒業後アメリカの大学へ進学し、一時職に就くが、第一次世界大戦の影響で日本へ帰国。帰国後は、NHK放送センターの理事などにも就任した。
世界初のバスケットボールの試合に、日本人が参加していたことに驚かないだろうか。バスケットは、実は日本人と深いつながりがあるスポーツだったのである。
【追加雑学②】バスケットボールに使用されるゴールの形状の秘密
バスケットボールのリング状のゴールの後ろには、ボードが備え付けられている。このボートは何のために備えられているかご存じだろうか。
このゴールの後方にあるボードは、実は当初から備え付けられていたものではなかった。先ほど述べたように、当初のゴールはフルーツのカゴを設置したものに過ぎなかった。
では、そのボードが設置されたのはなぜか。その理由とされるのが、ゴールが設置された後方に陣取った観客が、ゴールにボールが入らないように、妨害行為を行なったとされるからだ。
その防止策として、一時、ゴールと観客席のあいだを仕切るネットが導入された。だが、それでも妨害行為が収まらず、現在のリング状のゴールの後方にバックボードが設置されることになった。
ゴール後方にあるボードは、実は観客によってボールがゴールに入ることを邪魔されないように設置されたものだった。どの時代にもルールや悪質な行為をはたらく人間がいるものである。
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雑学まとめ
以上、バスケットボールのゴールと世界初のバスケットボールの授業に、日本人が参加していたという雑学をご紹介してきた。バスケットボールの「バスケット」とは、その名の通りフルーツを入れるカゴのことだった。
競技が考案される当時の手作り感を感じさせるエピソードだが、その後さまざまな変遷を経て、世界中にバスケットボールが普及するに至った。今日のバスケットボールの普及ぶりを思うと、いちばん驚いているのは、競技を考案したネイスミス本人かもしれない。
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