チョウは美しいデザインによく使われている。洋服やアクセサリー・雑貨のモチーフになっていることもあれば、絵画やロゴに描かれることもある。そう、誰が見てもチョウは美しい…。
その一方、ガは姿かたちがチョウとよく似ているにもかかわらず、気持ち悪がられたり、邪魔者扱いされることが多い。いったいどうしてなのだろう?
たしかにガは茶色っぽくて柄も独特。チョウほどきれいではないかもしれない。
でも見れば見るほどチョウとガはよく似ている。ちょっとぐらい地味だからって、そんなに嫌わなくてもいいのではないか?
そっくりなのに、「美しい」と「醜い」の対照的な見方をされるのはなぜ? 今回はそんな、「チョウ」と「ガ」の違いに関する雑学をご紹介するぞ!
【動物雑学】「チョウ」と「ガ」の違いは?
【雑学解説】「チョウ」と「ガ」の完璧な分類法はない
「きれい」と「汚い」という正反対の評価をされがちな「チョウ」と「ガ」は、実は分類学上は同じである。両者とも「鱗翅目(りんしもく)」と呼ばれる分類に属する。
その名前はチョウとガの羽や体を覆う鱗粉(りんぷん)からきている。鱗粉はうろこのように羽や体を覆い、チョウやガの色や模様を作り出している。水をはじき、光を反射させる特性もある。
チョウとガのおもな違いである色や模様は、この鱗粉の並びによって決まるのだ。でも、チョウでも地味な色のものもあるし、ガでも綺麗な模様のものもいる。実際にはきれいかどうかだけではチョウかガかは区別できない。
たとえばこんなにきれいなガもいるのだ。この透き通るまばゆい薄緑の羽。う、美しい…。
それもそのはず、鱗翅目は日本では約5000種、世界ではおよそ20万種ほど存在するといわれている。それだけの多種多様な種類があるため、一概にはチョウかガかを分類できないのである。
「チョウ」と「ガ」の見分け方は?
例外はあるものの、おおまかに区別する方法がいくつかあるので、ご紹介していこう。ここでは分類法すべてについて述べることはできないので、一般的によくいわれている見分け方を伝授するぞ。
チョウは昼行性・ガは夜行性
一般的に知られている見分け方は、チョウは昼間に活動し、ガは夜間に活発になるという点だ。たしかに天気の良い昼下がりにチョウが花の蜜を吸っているのをよく目にする。反対にガは夜に光に集まって飛んでくる。
しかし実は、種類によって夜行性のチョウもいれば昼行性のガもいるという。
触覚の形
別の見分け方は触覚だ。チョウは触覚の先がふくらんでいて、こん棒型もしくはかぎ状になっている。ガは触覚の先は太さは変わらずまっすぐ、くし状になっている。
しかし、この見分け方にもやはり例外があり、中南米やオーストラリアに生息する「カストニア」という蛾はチョウのタイプの触覚を持つ。
とまるときに羽を広げるかたたむか
さらに、これもよく知られている見分け方だが、チョウは羽をたたんでとまるのに対し、ガは羽を広げてとまる。しかし、これも「タテハチョウ」など羽を広げてとまるチョウもいるので、完璧な分類法とはいえないのだ。
繭(まゆ)を作るか作らないか
またガは繭を作るがチョウは繭を作らないという違いもある。でもやっぱり例外が…。「ウスバアゲハ」はチョウなのに簡単な繭を作るのだ。
うーん、両者とも譲らない! やはりこれというチョウとガの完璧な分類法は今のところないようだ。どの種類にも当てはまる見分け方を見つけたらノーベル賞ものだぞ!
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【追加雑学】「チョウ」と「ガ」を区別しない国がある
これまで見てきたように、チョウとガは極論をいえば同じ種類である。それをあらわすように、一部の国々ではチョウとガを区別しておらず、同じ言葉で表現している。
フランス・ドイツ・インドネシア・ネパールなどの国である。それらの国ではきれいなガも多いのだろうか。「チョウ」と「ガ」の違いはなかなか奥が深い。
雑学まとめ
今回は似ているようで違う「チョウ」と「ガ」に関する雑学をご紹介した。見分け方はいくつかあるが、実際には同じ種類だった。しかし、その多種多様性はものすごい。
チョウとガをひとつの言葉で呼んでいる国があるというのは驚きだ。もしかしたらその国ではガもそこまで嫌われていないのではないだろうか。じっくり観察したら、ガの良さも発見できるかも!
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