カーディガンはさっと羽織れる手軽さや合わせやすさから、女性から特に人気のファッションアイテムである。看護師さんがナース服の上から羽織っているのもよく見かけることを考えても、シチュエーションを選ばず持ち込める点も嬉しい。
しかしそんなカーディガンの由来には、女性ファッションとは、ある種対極のようにも思えるエピソードがある。今回は、カーディガンに関する雑学をご紹介しよう!
【生活雑学】カーディガンの由来とは?
【雑学解説】カーディガンの由来は戦争にあった
カーディガンは、一説にはイギリスの貴族にしてクリミア戦争に従軍したカーディガン伯爵の名を取って名付けられたとされる。
クリミア戦争は1853年から1856年にかけて行われたロシアとオスマン帝国の争いで、オスマン側についてイギリス・フランスも参戦した。
そして特にこの戦争で激戦となったのがセヴァストポリ要塞を巡る戦い。カーディガンが生まれたのも、この戦場においてである。
負傷兵のセーターからカーディガンが誕生
ロシア軍が守る要塞への攻撃は熾烈を極め、攻める側のイギリス・フランス軍にもおびただしい数の死傷者が発生した。
そしてカーディガン伯爵は将校としてこの戦いに参加する最中、配下の多くが負傷兵となり、防寒のためにセーターを被せられているのを目にする。
負傷兵が寒いと訴えても、前の開いていないセーターでは軍服の上から着せにくく、いちいち手間がかかってしまう。そう感じたカーディガン伯爵は、セーターの前部分を切って、ボタンで留めることを考案したのだ!
カーディガンは「負傷兵を一刻も早く温めてあげたい」という、伯爵の思いやりから生まれたのである。
ちなみに、「白衣の天使」として有名なナイチンゲールが活躍したのも、このクリミア戦争だった。現在カーディガンが看護師さんの御用達アイテムになっているのも、なんだか不思議な縁である。
【追加雑学】カーディガンの普及
前開き式のセーターがカーディガンと呼ばれるようになったのは、1868年、日本が明治維新を迎えたころだといわれている。
そしてこの年はカーディガン伯爵が亡くなった年でもある。カーディガンというネーミングには、追悼や敬意の意味も込められていたのだろうか。
そして当時のイギリスは産業革命の真っ只中。それまで手編みが主流だったセーターも、機械による大量生産・コストダウンが可能になり、一気に普及していく。
この時代背景とクミリア戦争が重なっていなければ、カーディガンはまた別の呼び名になっていたかもしれない。
「カーディガンの由来」の雑学まとめ
カーディガンはファッションの世界とは縁遠い、19世紀の戦場で誕生した防寒アイテムだった。一刻を争う状況のなか、セーターの前を切り開く機転を利かせたカーディガン伯爵は、非常に聡明な人物だったに違いない。
戦場で生まれたものが、現在はファッションのひとつとして親しまれている…。そう思うと、なんだかんだ世界は平和へと近づいているのだろうか。