国内だろうが、国外だろうが、おもてなしの一環として「ごちそう」は必ずといってもいいほどあるものだ。
お腹がはちきれそうであっても、心づくしのおいしい料理たちは、スープの1滴も残さずに平らげたくなるものである。もちろん、デザートは別腹で!
しかし、この広い世界を見渡せば、「完食厳禁」というマナーが存在する国があるのだという。「茶碗に付いた米粒は1粒残らず食す」をモットーに生きている筆者にとっては、誠につらい食事マナーである。
「ご飯きれいに平らげたらアカンって、いったいどこの国やねん!」なんて思っていたら、それは意外に我が国から近いところにある国だったのだ…。
【世界雑学】「完食厳禁」がマナーの国ってどこ?
【雑学解説】中国で外食するときには完食しないほうが良い
「完食厳禁」の国…それは中国である。
ここで誤解のないように書いておくが、「完食厳禁」といっても、日常の食事で中国人があえてご飯を残すことはない。食事に招待された場合や、フォーマルな食事会のときなどに限られているのだという。また、がっつり料理を食べ残すのではなく、少量残す程度である。
日本人的感覚で考えると、客が完食しなかったら、「料理を残してる…もしかして、口に合わなかったのかな…?」と不安になってしまうところ。だが、日本と中国で文化が違うのがおもしろいところ。
中国では、「料理を完食する=足りなかった」という意味にとられてしまうらしい。少し料理を残すという行為は、「おなか一杯いただきました、満足です!」という気持ちを表現しているのだ。
逆の立場で考えてみると、中国では、もてなす側は「客に出す料理のお皿の底が見えては失礼にあたる」という感覚がある。
つまり、「あ~、けっこう腹いっぱいなんだけど…向こうがずっと料理出し続けてくれるし、断りづらいよな~」なんて客側が思って食べ続けている一方で、主催側は「こいつの胃袋は無限か…? ひっきりなしに食いよるぞ…?!」と思っている可能性が高いといえるのだ。
ただ、近年ではこの風習は、「食材の無駄」などと問題視されることもあるのだという。…とはいっても、長い歴史の中で生まれた風習を、簡単に変えることはできない。そこで、最近では食べ残した料理は包んでもらって持ち帰るなど、工夫がなされているようだ。
【追加雑学】旅行の際に気を付けたい、世界の食事マナー
国が違えば、風習は全く異なるものである。われわれの常識は、他の国にとっての常識とは限らない。
知らず知らずの間にマナー違反を犯してしまっても、「外国人だから、仕方ないよね」なんて多めに見てくれる場合もあるが、思わぬトラブルを引き起こしてしまう可能性だって大いに考えられるので、注意しておくに越したことはない。
そこで、ここでは日本人が注意しておきたい世界の食事マナーをいくつかご紹介したいと思う。
①欧米全般:スープや麺を音を立てて食べてはいけない
日本でも、スープを音を立てて食べることはあまりお行儀のよいものとは思われていないが、欧米諸国ではより眉をひそめられる行為とされている。
また、日本ではラーメン屋などでズルズルと麺をすする人を多く見かけるが、これも欧米ではマナー違反。かなり不快な音とされているので、食事は音を立てずに静かにいただこう。
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②インド・中東やアフリカの一部地域:食べ物を左手で食べてはいけない
インドや中東をはじめとしたヒンズー教の国では、食事は手を使って食べるのだが、どちら側の手を使うかは注意してほしい。食事をするときに使う手は、「右手」である。
「左手」は、これらの国では「不浄の手」とされており、汚れを落とすときやお手洗いの時以外は使われない。そんな汚い手で食事を食べることは、ヒンズー教徒からするとマナー違反もいいところなのだ。
ちなみに、ヒンズー教徒にも左利きの人はもちろん存在するが、食事は右手で食べるように小さいころから訓練するのだという。サウスポーの人には、けっこうハードな国のようである…。
③韓国:茶碗を手で持ち上げてはいけない
日本だと、ご飯を食べるときには茶碗を手で持つのがふつうである。しかし、韓国ではこれはNG行為なので注意していただきたい。もっとも、韓国ではご飯をよそう器が金属製なので、まずその熱さを手で持つのは至難の業ではあるが…。
ちなみに、韓国も日本と同様に箸文化の国ではあるが、ご飯はスプーンで食べる。また、日本では汁物の中にご飯を浸すのはマナー的によろしくないとされているが、逆に韓国ではごく普通に行われていることである。
ご飯とウマ辛スープの相性は抜群なので、現地ではぜひこの食べ方をしてほしい。
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雑学まとめ
中国でおもてなしを受けた場合、出された料理はすべて平らげてしまうのは、マナー違反である。
「料理を完食する」ということは、「料理が少ない」「食べたりない」という意味に取られてしまうので、ご注意を。われわれの感覚からするともったいない気もするが、郷に入っては郷に従え。ちょこっと料理は食べ残しておこう。
また、中国以外にも、われわれ日本人の常識が通じない国はいくつも存在する。海外旅行を計画中の人は、観光スポットだけでなく、現地のマナーもチェックしておくことをおススメする。