夜空に輝く満天の星。その美しい星空から絵を描いてつくられた星座は、実に美しくロマンティックである。星座は夜空に輝いているもの以外でも、星座占いとして我々の生活に密着している。
さてこの星座、つくったのが羊飼いといわれているのを知っているだろうか? 羊飼いが星座をつくった? いったいどうやって?
今回の雑学では、星座は本当に羊飼いにつくられたのか? という謎について迫っていこうと思う。
【自然雑学】最初に星座をつくったのは「羊飼い」?
【雑学解説】羊飼いが星座をつくったのは間違い!?
今からおよそ5000年前、メソポタミア地方(現在のイラクあたり)に、羊飼いをしているカルデア人という民族がいた。彼らが毎晩空を眺めながら星をつなぎ合わせて形をつくったのが、星座の始まりである。
というのが、一般的に知られている話だが、実はこれは間違っているというのだ。あまりにもいろいろなところで聞く話だから、間違いといわれても信じられない人も多いだろう。
まぁ、落ち着いてくれ。上記の一般的に知られている説をくつがえす根拠が、存在しているのだ。では、順番に説明していくとしよう。
根拠①カルデア人よりも先にシュメール人が星座をつくっていた
実は星座の始まりについては謎が多く、いまだ解明されていない部分が多い。そのため、上記で紹介した羊飼いたちの説が一般的だった。
だが、どうやらカルデア人よりも先にシュメール人が星座をつくっていたらしいということが分かってきたのだ。ではなぜ、カルデア人ではなくシュメール人だと分かったのか?
実は、星座の名前がシュメール語で書かれた粘土板が発掘されたことにより、カルデア人より前にシュメール人が星座をつくっていたと考えられるようになったのだ。
多数の星から星座をつくる…。古代の人々は、星を眺めて星座となる動物や人の姿を描いてしまうのだから、その想像力は本当にすばらしい。
根拠②放羊の民族だったと記録があるが、そもそもシュメール人は農耕民族である
「星座は羊飼いたちが夜、羊の番をしているときに描いてつくった」といわれているが、上記でも説明したように星座をつくったのはシュメール人であるといわれている。そしてシュメール人は、農耕民族なのである。
農耕民族とは農業を行う民族であるため、季節を知るために星空を眺めることはあっても、羊の番を夜通しすることはなかったということだ。
と、こんな感じで羊飼いが星座をつくったのではない、という結論になったというわけだ。
といっても、シュメール人自身が星座の名前を書いた粘土板は発見されていないこともあり、彼らが本当に星座をつくったという証拠はない。
もしもシュメール人が星座をつくったという確かな証拠を見つけることができたなら、世紀の大発見と、一躍時の人になること間違いなしだ。
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【追加雑学①】星座を作りすぎたこともあった
星座は2世紀頃に、天文学者トレミーによって48星座にまとめられた。そしてその後1000年以上もの間その数はかわることがなかった。
しかし時は流れ16世紀。この時代から一気に星座が増え、48個が100個以上にまで増えていく。ここで疑問がでてくる。なぜ16世紀に入って急激に星座の数が増えたのか?
それは、望遠鏡の発明&大航海時代の南半球発見が関係しているといわれている。新しい場所で今まで見たことのない星を発見し、天文学者たちは大興奮した。研究者の血が騒ぐというやつだ。
新たな星を見つけたから、どんどん星座も増えた。ここまでは理解できる。
だがそのうち、天文学者の中に自分の趣味の星座を作りたい・貴族のご機嫌を取るために星座を作る、なんていう不純な動機を持つ者もあらわれ始めたのだ。
そんなわけで、私利私欲でつくられた星座もあわせ100以上に…。でも、今そんなに星座ないよね? と思ったそこの君。なかなか賢いではないか。
あまりにも星座が入り乱れていたため、20世紀に入り「国際天文学連合」が88星座にまとめようと動いた。このときに「この星座はここまで」という領域も決められたため、それぞれの星座が自分の場所・いわば住所をもらえたのだ。
星座に住所のようなものがあることも知らなかったし、「国際天文学連合」なんていう連合があることすら知らなかった。世界って、本当に広いな…。
【追加雑学②】12星座は太陽と関係が深いものから選ばれた
現代で星座といえば、星座占いを思い浮かべる人も多いのではないだろうか? 星座が88個もあるなかで、12星座はどうやって選ばれたんだろうか?
古代の人々は天体観測を行うとき、天球上の太陽の通り道「黄道(こうどう)」付近にある星座を重要視していたようだ。この黄道12星座が占星術とつながっていったのである。
さてこの12星座、ギリシャ神話と結びついておりなかなか興味深い話も多い。ここで12星座の1つ、牡羊座のギリシャ神話を紹介しよう。
どうだろうか? なかなか興味深い内容ではないだろうか? 自分の星座のギリシャ神話を調べてみると、今まで持っていた星座へのイメージが変わるかもしれない。ぜひ調べてみてくれ。
へびつかい座は星座占いとは無関係
テレビのニュース番組をいつも欠かさず見ている人であれば、以前NASAが「へびつかい座」と呼ばれる黄道上に位置する13番目の星座について語ったことを、覚えているかもしれない。
このへびつかい座、誕生日が11月29日~12月16日の人が当てはまるといわれ、一時期「今までの星座占いはどうなるの?」と、慌てふためいた人もいるのではないだろうか?
NASAは「へびつかい座は星占いとは関係ない」と発表したが、今でもへびつかい座を含めた13星座の星占いを信じている人も少なくないという。どちらが正しいのかは謎だが、もしも現在の星座占いにしっくりきていないのであれば、一度13星座でみてみるのも面白いだろう。
雑学まとめ
星座についての雑学、いかがだっただろうか。星座は羊飼いがつくったものではないが、古代の人々がつくったのには違いはない。あの無数の星々を見て、つなぎあわせて形をつくる…。
なんてすばらしい発想力なんだろうか。現代は明るすぎて、星すら満足に見れないことが多くなってきている。
もしも星空を眺める環境に出会えたら、古代の人々を見習って自分なりに星の形をつくってみるのもよいだろう。きっと新しい発見ができるに違いない。