古くからおめでたい縁起物として取り入れられてきた鶴と亀。詳しい由来は知らなくても、鶴と亀は縁起がよく、そういうモノなんだと思っている人は多いのではないだろうか。
結婚式や長寿のお祝いなど、祝いの儀式の際にひょっこり現れる鶴と亀には一体どういった由来があるのだろうか。
なぜ縁起がいいとされ、祝いの席で使用されることになったのか。今回の雑学では、その理由について詳しく解説していこう!
【動物雑学】鶴と亀が縁起がいい理由とは?
【雑学解説】「鶴と亀=縁起がいい」のは古代中国の自然哲学の思想が由来
もともと、鶴と亀が縁起のいいモノだとしていたのは中国であり、日本にそれが伝わったことから祝いの席で取り入れられるようになったといわれている。
これは古来中国の「陰陽五行説」に由来する。この世に存在する万物は全て、木・火・土・金・水の5つの元素によって成り立っているという考えである。
陰陽五行説について
方角や季節も陰陽五行説に基づいており、それぞれに神獣まで存在するのだ。たとえば、
- 東は春であり元素は木、そして神獣は青龍(せいりゅう)と呼ばれる龍神である。
- 南は夏、元素は火であり神獣は朱雀(すざく)という鳳凰のような鳥の姿をしている。
- 西は秋、元素は金であり白虎(びゃっこ)という真っ白の虎が神獣である。
- 北は冬、元素は水であり神獣は玄武(げんぶ)といい、亀に蛇が巻き付いた姿をしていて神獣の中では特に独特な姿で表現されている。
そして青龍・朱雀・白虎・玄武をまとめ四神といい、彼らを束ねる中央に存在するのが黄龍(おうりゅう)または麒麟(きりん)だとされている。
方角と四神による鶴と亀
図で東西南北を表したとき、北が上に、南が下に、そして左右に東と西がある。北と南を結ぶ縦の線は、過去から現代そして未来へと続くものだと考えられ、北と南、玄武と朱雀は未来永劫を意味するものとなったのである。
それらが日本に伝わったとき、古来より寿命が長いとされていた鶴と亀の存在が五行説と結びついたのだ。亀と蛇が一体化したような姿をしている玄武が亀に、鳥の姿である朱雀が鶴の立ち位置に置き換えられた。
その結果、鶴と亀は「縁起のいいモノ」という存在として、現代にまで伝わることになったようだ。
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【追加雑学①】鶴は夫婦仲の象徴ともされている
鶴はつがいになると、死別しない限り相手と一生を添い遂げる鳥である。子育てにおいても協力し合い、生きていくための術を子供に丁寧に教えることで知られている。その姿は理想の夫婦像とされ、夫婦鶴(めおとづる)という言葉があるほどである。
長寿の願いを込めて人々は鶴を折り、病気が治るように、必勝祈願のためにと千羽鶴を折ったのだ。江戸時代には広く知られていた千羽鶴の存在が現代にまで続き、今も人々の願いを込められた千羽鶴が折られていることだろう。
長寿に加え夫婦円満の象徴とされる鶴は、人が願いを託すのに欠かせない存在である。
【追加雑学②】鶴は千年、亀は万年
鶴は千年・亀は万年という言葉があるが、実際の寿命はどれくらいなのだろうか。鶴の寿命は約20年から30年ほどだといわれている。短いと思うかもしれないが、鳥の中では長寿なのである。
亀は、20年から250年ほどだといわれている。種類や体の大きさによって寿命に大きく差は出るが、たしかに長寿である。
【追加雑学③】亀は金運の縁起物
金運のお守りなどに、小さい金色の亀がついているのを見たことがある人も多いだろう。亀は長寿だけでなく、金運の縁起物だともいわれているのだ。
その理由は、亀の甲羅と江戸時代の銭が似ており銭亀(ぜにがめ)と呼ばれたことや、銀行がなかった時代のお金持ちが瓶(かめ)にお金を入れて保管していたことが関係しているようだ。
雑学まとめ
今回は、鶴と亀についての雑学を紹介したが、いかがだっただろうか。
筆者も鶴と亀について調べていたときに思い出したことがある。どこか旅行に行った際のご飯の時間に、いただきますの代わりに聞いたことがある言葉なのだが、いまさらながらよく考えたものだと感心してしまった。
「鶴さんや亀さんのように、千年も万年も長生きしたければ、つるつる飲まずによく噛め噛め」
少し(?)ダジャレ風味だが、子供たちが嬉しそうに手を合わせながら言っていたのが印象的だった。子供から大人にまで、鶴と亀の縁起の良さが伝わっているいい例なんだろうと思う。
鶴と亀には、これからも人々の願いを受け止め、祝いの席でそっと寄り添っていてくれることを願っている。
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