今回の雑学テーマはおせち料理の定番メニューのひとつ、伊達巻について。
ふわふわで甘い伊達巻は大人にも子供にも大人気のメニューだ。卵焼きのような、カステラのような、不思議な味の伊達巻を大好きだった人も多いだろう。
実は、伊達巻の巻いてある向きにも意味があることをご存知だろうか。「巻き」が右巻きか左巻きかで込められた意味が180度変わってしまうのだ!
【食べ物雑学】伊達巻は右巻きのほうが縁起がいい
【雑学解説】右巻きは「エネルギーが入る」
日本では伊達巻に限らず、渦巻き状のものは左巻きより右巻きのほうが縁起が良いとされている。回転する渦巻きは「エネルギー」の象徴。右巻きの渦巻きは「エネルギーが入る」、左巻きの渦巻きは「エネルギーが出て行く」といわれてきたのだ。
なので、渦巻きはエネルギーが入ってくる「右巻き」が縁起が良いのである。伊達巻も渦巻きの形となっているので、盛り付けるときには右巻きで入れる方が縁起が良いとされるのだ。
お正月には新しい一年に向けてエネルギーを取り入れたいところ。おせち料理では伊達巻の向きに気をつけよう。
意外と知らない!?おせちの食材に込められた意味
縁起を担ぐ意味が大きいおせち料理。入っている具材には様々な意味が込められているのだが、食文化も多様化してきている現代では、意外とおせち料理の意味を知らないことも多い。そこで、主なおせちの食材に込められた意味をまとめてみた。
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伊達巻
「右巻き」が良いとされる伊達巻は、「エネルギーが入ってくる」だけでない。他にも、「学業成就」と「子孫繁栄」の願いが込められているのだ。
「学業成就」は伊達巻の形から。古く勉強の際に使われていた書物は巻物の形をしていた。巻物に似た形をしている伊達巻は「知性」を表し、学業成就を願われるようになった。
また、伊達巻の材料である卵は子宝を象徴する食材。卵の黄色に「豊穣(ほうじょう)」という意味があることも併せて「子孫繁栄」を願う具材でもあるのだ。
栗きんとん
伊達巻と並んでおせち料理の子供人気を誇る栗きんとん。甘く煮た栗が美味しい。栗きんとんは漢字で書くと「栗金団」。お金や財産を連想させる具材だ。
こちらは「商売繁盛」や「金運UP」を祈って入れられている。
黒豆
つやつやな黒豆も甘くて人気の具材だ。黒豆の黒色には古くから魔よけの力がある色だとされてきた。
また、「まめ」には「丈夫」「健康」という意味も込められており、「まめに働く」という言葉ともかけられる縁起の良い食材だ。
数の子
ニシンの卵である数の子も、お正月になると定番の食材だ。
よく見るとたくさんのつぶつぶな卵がいっぱい。その見た目の通りに「子孫繁栄」や「子宝」を祈って入れられる一品だ。
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紅白かまぼこ
ピンクと白が鮮やかな紅白かまぼこはおせちに華を添える。
かまぼこの半円型は日の出を連想させ、新しい一年の門出にふさわしいとされた。また、祝いごとでもよく見る「紅白」の色。紅には魔よけ、白には清浄という意味があるのだ。
昆布巻き
「よろこぶ」という言葉にかけた縁起物。「よろこぶ」は「喜ぶ」の他に「養老昆布」とも書くことができ、「長寿」への願いを込めた食材でもある。
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【追加雑学】おせちは手抜き料理?
おせちといえば、手の凝った料理のイメージが強い。具材の数も食材の数も多くて、一から作ると手間も時間もかかりそうだ…。
ところがおせち料理、もともとは「手抜き料理」だったのだ。
おせちに入っている具材、よく見るとナマ物が全然ない。基本的におせちは日持ちがする具材でできているのだ。その理由は「サボるため」。
現代はお正月であっても空いているお店は多いし、保存食もたくさんあるので、数日料理をしなくても問題ない。だが、昔はそうでなかった。
冷蔵庫もない時代では、食材はその日のうちに仕入れて食べる分を作るのが基本。でも、そうするとごはんを作るお母さんは365日お休みがなくなっちゃう…。お正月にはやっていない店も多く、ごはんの用意が一苦労だ。
そこで生まれたのがおせち料理。縁起を担いだ保存食をふんだんに入れたおせちは、お正月を祝うと同時に、主婦の休みを作るためのアイデア料理でもあったのだ。
忙しい毎日から解放されてお正月をゆっくり休む。お母さんたちに休日を与えたおせち料理は、やさしい手抜き料理だったのである。
雑学まとめ
今回は伊達巻とおせち料理についての雑学を紹介した。
右巻きと左巻き、配置する面で意味が全く異なってしまう伊達巻…。おせちを作るときには要注意だ。
昔も今も変わらず大切な一年の始まりとそれを彩ってきたおせち料理。昔の人の知恵が詰まったおせちの文化を、これから先も大切にしていきたい。