「ダツはサメよりも怖い」。
これは沖縄あたりの漁師のあいだでは、もはや常識のようにささやかれている言葉である。サメといえば、海で遭遇したくない生き物ナンバー1だ。出くわせば命すら取られかねない。
そんなサメより怖いダツってどんな魚だ? 見た目はサンマによく似た、ごく普通の魚だ。しかし…時としてダイバーや釣り人の命さえも奪ってしまうことがある、とっても恐ろしい魚なのである!
用心していないと、ダツは容赦なく刺してくる。…刺してくる? ますますどんな魚なのか気になってきた! さて、今回はそんなとっても危険な魚・ダツの雑学に迫っていこう。
【動物雑学】漁師を殺してしまう「ダツ」とは?
【雑学解説】サメより怖い「ダツ」の武器は鋭利に尖ったアゴ!
ダツは主に熱帯・亜熱帯の海に広く生息する魚。日本でも4属8種のダツが、本州~沖縄まで、広く生息している。主に表層を泳ぐ小魚をエサにしながら群れで暮らしているため、海釣りなんかでは比較的よく出くわす魚である。
さて…沖縄なんかでは特にその生息数を多いことから、現地で「サメよりも怖い」などと恐れられているダツ。
いったいどんな化け物かと思えば…見た目はサンマやサヨリと同じようにひょろ長い魚で、長さこそ1mに及ぶものもいるが、別に強そうには見えない。
しかし…彼らには人間にも致命傷を与えてしまう武器がある。キツツキのクチバシのように鋭利に尖ったアゴである!
ダツはその形態から英名では「Needlefish(針の魚)」とも呼ばれている。
あ! この魚『HUNTER×HUNTER』で見たことあるぞ! と思った人もいるのではないか。そう、ダツでダーツのアレだ!
ダーウィンが来たのダツ特集で、ダツでダーツをして遊ぶという企画があったが、ハンターハンターにもダツでダーツという念能力があるのには恐れ入った。みんな考えることは一緒なのか。 pic.twitter.com/SE1zfoKmf2
— ゆっこ@隔離 (@nusrtavsan) October 22, 2019
ちなみに名前の由来はダーツではない。漢字で書くと「駄津」。
これは神奈川は江の島で付けられた呼び名で、江の島でよく使われていた「駄簾(だす)」という、藁や葦(ヨシ)などを編んで作られた袋が由来だという。ダツの大きな口が、袋を開いたときの開け口に似ていたからだとか。
知らなきゃもうダーツにしか思えないけどね!
ダツでダーツしてる pic.twitter.com/3lfMMvGi1q
— しな主 (@red25522) June 11, 2016
ダツは時速60キロで海面を飛び出してくる!
…ん? でもさ…単にアゴが尖ってるだけなら、サメより怖いってのはちょっと大げさなんじゃない? と思うところだ。いやいや…恐ろしいのはダツがもっている、ある習性である。
ダツは海面近くを泳ぐ小魚のウロコに反射した光に反応して、物凄い勢いで突進する習性をもっている。その時速は60キロに達するともいわれ、そのまま海面を飛び出してくることもしばしば。さながら海のミサイルだ。
以下の動画では、予想外のスピードで飛びまくるダツが見られるぞ!
彼らの背びれや胸びれはすべて身体の後方についており、とにかく小魚目掛けて突進することに特化した身体の作りをしている。
なんといっても厄介なのはダツが「光に反応する」ということ。この習性のせいでヘッドライトを点けて潜ったダイバーが胸を突きさされたり、夜釣りで海面を照らした際に飛び出してきて、目を貫かれる人がいたりする。
このため生息数の多い地域では、漁師たちから特に恐れられているのだ! 沖縄などの温暖な地域で夜釣りやマリンスポーツに興じる際は、不用意に海面を照らさないようにしよう。ダツでダーツの被害者になるのは絶対にごめんだ。
ダツが突き刺さったときの対処法は?
環境省の「せとうちネット」でも、ダツを「危険な生き物」として紹介し、特徴や習性などから注意を促している。
万が一ダツが刺さった場合は、血管に突き刺さっている場合があるため、無理に抜くと大出血につながる可能性も。そのため、抜かずに病院へ行くように…とのことだ。
刺されたときは、冷静にダツを殺してから、そのまま病院へ行きなさいということなのだが、自分の体にダツが突き刺さったとき、果たして冷静でいられるのだろうか…。
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【追加雑学①】ダツを釣るには?
前述の動画でも釣られていたように、ダツは普通に海釣りで引っかかる。
釣り方としては、海岸からのルアー釣りや、小魚の泳がせ釣りなど。いずれも船などに乗る必要もなく、比較的手軽に釣れる魚だ。
ただ…あえてダツを狙って釣りをする人というのはあんまりいない。ブリやスズキなど、浅瀬でも釣りやすい魚を狙っているときに、意図せず引っかかるパターンが多いようだ。
釣れたときも、針を外す際にギザギザの歯でケガをしないよう、細心の注意で扱おう。
以下の動画でも、狙ってないのにことごとくダツが釣れてガッカリされている。…というかそんなにダツばっかり釣れるもんなのね…。
【追加雑学②】刺さると痛いけど…独特なおいしさのダツ
ダツは刺さると痛いが、食べるとけっこうおいしい。ただ小骨が多くて扱いにくいため、あまり一般に出回ることはない。たま~にスーパーで売られていることもあるが、確実なのは自分で釣るか市場で手に入れるかだ。
値段としては1キロで1,500~2,000円という、サンマとそう変わらないリーズナブルさで手に入る。それぞれおすすめの食べ方を紹介しておこう!
刺身
ダツは脂身が少なく、たんぱくな白身魚なので刺身にしてもさっぱりしておいしい。ただ骨がとっても多いので、調理の際には注意が必要だ。尻尾に近い部分のほうが骨が少ないので、刺身に適している。
ダツは刺身にしたよ!!! pic.twitter.com/tyYOKEO17d
— ぱちお (@pachirisu_02) June 22, 2019
焼き魚
ダツは皮に独特の味わいがあるので、焼き魚にしても絶品だ! クセになる味で、その美味さは焼きサンマを凌ぐという人もいるぐらいだぞ! なんといっても三枚に下ろしたりせず、そのまま焼ける手軽さがいい…。
ダツ。焼き魚は、味はいいけど小骨が固い。腹骨のない尾身の刺身は、歯ごたえは、いいけど、魚臭い。 pic.twitter.com/FHTRuAGIrx
— ゴロク (@iineiine569) June 22, 2019
旬のものなら、顔に近い部分を焼き・尻尾に近い部分は刺身という食べ方がよさそうだ!
唐揚げ
ダツは冬~初夏までが旬の魚だが、釣ること自体は一年中通して可能だ。しかし旬を過ぎていると、味はやっぱり落ちてしまう…。そんなときにおすすめな食べ方が唐揚げである。
唐揚げなら、旬を過ぎて脂が乗っていないダツでもおいしく食べることができる!
先日釣ったダツくんを唐揚げに( ˇωˇ )
クソうまい(ง ˘ω˘ )ว#すぴーどぼっくすちゃれんじ #これは許される pic.twitter.com/GKuXsPOCzA— たにゃ (@tami0517) September 29, 2019
以下にダツをさばいている動画も載せておこう! 骨が水色というのがまたユニークだ。
雑学まとめ
今回はサメより怖い魚「ダツ」の雑学を紹介した。
ダツは光に反応して、ダイバーや釣り人に時速60キロもの高速で突き刺さってくる。九州や沖縄など、温暖な地域では特に、夜の海面をいたずらに照らさないよう注意しよう。
しかしながら、怖いもの見たさというか…ダツが海面に飛び出してくる姿はちょっと見てみたい気もする。ただ間近で見たらそれこそ危なそうだし…ジレンマだなあ…。
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