「貫禄がある」とは堂々としているさまを表す言葉。一般的には褒め言葉だと考えられることが多い。
私は「若いのに貫禄があるねー」と言われ、「なんだこの人、バカにしてるのか…」と思ってしまった経験がある。私的には、皮肉の意味も含まれているような、そんな言葉である。
そんな味わい深い「貫禄がある」だが、実はもともとは高収入のことを指していたらしい。本当だろうか? というわけで今回は、「貫禄がある」についての雑学をご紹介しよう。
【生活雑学】「貫禄がある」のもともとの意味とは?
【雑学解説】「貫禄がある」は、貫高制の「貫」と俸禄制の「禄」のこと
貫禄があるというと、体格がいい人や年を重ねている人をイメージする。しかし、貫禄があるという言葉には、もともと体格や年齢の意味はないのである。
貫禄があるの語源を知るには、貫禄という熟語をそれぞれの漢字に分解して考えるとわかりやすい。実は「貫」も「禄」もお金にまつわる言葉なのだ。
「貫」の意味
貫はもともと銭を数える単位だったのだが、中世になると土地や領土の規模を「貫高三万貫」というように、土地を銭何貫に相当するかで表すように変化した。
また、当時の戦国大名は農地の面積に応じて農民から取り立てる年貢の量を決定していた。
この制度のことを「貫高制」と呼ぶ。貫高制は生産物をお金で把握しようとする考え方のこと。当時は貨幣経済が進展しだしたこともあり、貫高制が導入された。
「禄」の意味
そして「禄」であるが、これは武士の給料を表す言葉である。「この身分と役職の人にはこれだけの禄を与えますよ」という風に使われていた。
つまり、多くの「貫」があるということは多くの税(年貢)を納める必要があり、多くの「禄」は高額の給料を示す。このように「貫禄がある」という言葉は、高い税金を払い高い給料をもらう=高収入の人のことを指していたのだ。
これがいつしか、体つきがでっぷりとしていたり円熟味がある人のことを指すように、意味が変化したのである。まあ実際、お金持ちの人たちは貫禄がある人が多いなと感じるが…。
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【追加雑学】「貫禄がある」は女性には使わないほうがいい
一般的には褒め言葉として使われる「貫禄がある」という言葉だが、女性には使わないほうがいいらしい。「貫禄がある」には威厳や風格が備わっているという意味があるが、現代では「肥えている」という意味もあるためだ。
言った本人はそんな気はないかもしれないが、受け取り方は相手次第なのだから、軽率な発言はひかえたほうがいい。
また、肥えてきたという意味に感じなかったとしても「おばさんっぽくなってきたな」と捉えられる可能性もある。女性に対していってはいけない言葉ナンバーワンである「老けた」と近い意味に取られる恐れもあるというわけだ。
どちらにせよ、「貫禄がある」は女性に対して使わない方がいい。好みの女性に使わないのは当然だが、会社のお局的存在の女性に対しても、絶対にNGな言葉だ。
もちろん「でっぷりしていますね」なんて、そのまま言うのもなしだぞ。
あともうひとつ「貫禄がある」を使ってはいけない場面であげられるのが、相手が初対面のとき。「この人は何を見ていっているんだろう」と思われ、女性の時と同様「太っている」や「年を取っている」という意味で言われたという印象を受けることもある。
日本語って難しい…。
「貫禄がある」の雑学まとめ
いかがだっただろうか。「貫禄がある」は、もともとは高収入の人のことを示す言葉だったという雑学をご紹介してきた。
「貫」も「禄」も税金や給料などお金を表す言葉であり、高い税金を支払い、高い給料をもらっている人が「貫禄がある」ということである。それが転じて、現在の「貫禄がある」は、威厳や風格が備わっているという意味を持つようになった。
「貫禄がある」なんて何気なく使っていた言葉だが、言われてみればどうしてこの漢字を使うのか知らなかった。言葉の語源をたどってみると、思わぬ発見があって面白い。
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