健康診断で憂鬱なのが、服を脱がなければならない心電図検査。
検査をするとき、心臓の近くに電極をつけるのは理解できるが、なんで手足にも電極をつけるのか疑問に思ったことはないだろうか? 今回は、心電図はなぜ心臓に関係のない手足にも電極をつけるのか? という雑学についてご紹介するぞ。
番外編として、心電図のときにどこまで服を脱ぐか? ピアスで感電しない!? という心電図検査あるあるについてもご紹介。
【人体雑学】心電図の電極ってなぜ手足にもつけるの?
【雑学解説】心電図の電極を手足につける理由とは?
結論をいうと、心電図の電極を足につける理由は、心臓をいろいろな方向から見るためである!
ここからは、そもそも心電図とはどのようなものか、そして手足・胸につける電極をそれぞれ詳しく解説していく!
心電図でわかること
心電図は、心臓から出る弱い電気の流れを電極で拾い、心電図波形としてあらわしている。簡単にいうと、つける電極は目の役割をはたしている。電極の位置から心臓を眺めているというイメージでOKだ。
一度に12個もの波形を確認することができ、その波形1つ1つは、それぞれ心臓のおおよその部位を表している。もし異常波形が出ていたら、それが心臓のどこで起こっているのかが、大体把握できるのだ。(診断には心エコーなど別の検査も必要)
心電図を読み解くと、心筋梗塞・狭心症・心筋症・電解質異常・脈の乱れなどがおおよそ推測できる。検査時に痛みや苦痛をほぼ感じることなく、1~2分で簡単に心臓の様子を確認できる検査とあって、健康診断などで広く利用されている。
ここからは実際につける電極をご紹介するぞ!
四肢誘導(手足の電極)
手首、足首につける大きな洗濯バサミの正体は、「四肢誘導」という名の電極である。
右手の電極は心臓を右肩から、左手の電極は左肩から、左足の電極は心臓を下から見ていることになる。心臓の側壁と下壁という部分の異常を確認しやすくするための電極だ。
右足はアースといって、電流の逃げ道。万が一の感電防止と、心電図の電極と皮膚が接触している部分に生じる、ノイズ除去のためにつけている。
胸部誘導(胸の吸盤状の電極)
胸には6つの電極をつける。この6つはちょうど心臓の真上に電極を置いていることになり、左心室・右心室の状態、電気の流れが悪くなっていないか? などがわかるものである。
病態によっては電極を肩甲骨付近、心臓が右にある人は右胸、子供などでたくさんの電極を胸につけられないときには電極の数を減らすなど、その時々によって適宜つける数が増減することも。
余談だが、胸の電極は1~6まで番号がついており、赤・黄・緑・茶・黒・紫の順になっている。検査技師はこの色の順番を、セキグチクン(セ(赤)キ(黄)グ(緑)チ(茶)ク(黒)ン(紫))なんて語呂合わせで覚えたりする。
からだにつけている電極に、このような役割があることは意外に知らなかったのではないだろうか。一見、心臓から遠そうな足にも電極をつけるのは、より正確に心臓の状態をみるためには必要なことなのだ。
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【追加雑学①】心電図にピアス(へソピ)は大丈夫!?感電しない?
心電図をとるときに、ピアスやアクセサリーをつけていたらどうなるのだろうか? 「まさか感電する?」と思った方もいるかもしれないが、心電計に雷でも落ちない限り大丈夫なので、心配しなくていい。
通常、心電計の中には、外部から電流が入ってくるのを防ぐ回路が組み込まれているため、感電の心配はないのだ。
へそピアスや耳ピアスなどの金属が体についていても、心電図で感電することはない。ネックレスやイヤリングもつけたままで大丈夫だ。
しかし、腕時計は外したほうが無難である。時計の機種によっては、心電図の波形にノイズ(電気的な雑音)が入ってしまうこともあるからだ。
ちなみに、電極を取りつけるときに「ピリッ」と感じ、「感電!?」と驚いてしまう人もいるが、これは感電ではなく、吸盤で皮膚を引っ張るときに感じるわずかな痛みによるものだ。
【追加雑学②】心電図をとるときの服装は?ブラは外さなきゃダメ?
心電図をとるとき、どこまで脱いで待っていればいいのかわからず、不安になってしまった人も多いだろう。
基本的にはその病院や施設によるが、たいてい男性はTシャツやトレーナーなどをまくり上げ、胸が出れば大丈夫だ。よく「ズボンは脱ぐ?」と質問されるのだが、ズボンは脱がなくてOK。足首が出る程度に、ズボンのすそをまくることができれば大丈夫だ。
女性は下着を上にずらせるようにして(ブラはホックを外しておくだけでOK、スポーツブラだと楽でよい)胸が出るようにまくりあげることができるゆったりした服だと楽チン。
上下がつながったボディスーツやワンピースは、「脱いでください」といわれることがあるので、できれば避けよう。ガウンを貸してくれるところもあれば、上半身裸でバスタオルだけ…なんて施設もあるぞ。
ストッキングは脱ぐ場合がほとんどなので、ショートタイプのストッキングにするか、靴下がいいだろう。
装飾物の多い服や高級で繊細な生地だと、何かのはずみで引っかけて生地を傷めてしまうと大変。そのため、全部脱いでもらうこともあるので注意しよう。
【追加雑学③】義足の人やギプスをしている人はどうするの?
心電図は、手足に電極がついていないと記録することができない。ならば、足(または手)がない、もしくは怪我をしていてギプスなどをしているなどの場合は、検査できないのだろうか?
実は、心電図検査では手足に電極がつけられない場合は、手足のつけ根に電極をつけてよいことになっている。
はさみ(電極)で挟めない場所であれば、代わりに貼るタイプの電極があるので問題ない。心配事があるときは、正確に検査をするためにも、遠慮せずに心電図をとる技師さんに声をかけてみよう!
雑学まとめ
心電図はなぜ手足にも電極をつけるのか? という雑学と、心電図あるあるをご紹介した。
足や手につけた電極からも、心臓の動きが記録できるなんておもしろいが、心電図の仕組みは簡単そうでいて、かなり奥が深そうだ。
心電図は、胸をだす(男性技師さんだと女性は抵抗ありますよね)恥ずかしさと、心臓に異常があったらどうしようという不安など、さまざまなことで緊張してしまうことが多いと思う。
この記事を読んだかたの不安がひとつでも消えて、安心して心電図を受けられたらと良いなあと願っている!