鼻が利く動物は? と聞かれたら、たいていの人は「犬」と答えるのではないだろうか。警察犬や麻薬探知犬など、その嗅覚を生かした活躍を私たちは身近で見るからである。
では、動物の中で最も鼻が利くのは? これに正解できる人は少ないかも…。
私の中では、けっこう意外で驚いたのだが、じつは答えは…ゾウ!
あの長い鼻は、手の代わりに物をつかめるだけではなく、嗅覚もすぐれているというのだ。というわけで今回の雑学では、最も鼻が利くというゾウについて調べてみたぞ!
【動物雑学】動物のなかで最も嗅覚が優れているのはゾウ
【雑学解説】ゾウの嗅覚は犬の2倍、人間の5倍もすぐれている
実際に生き物がどれほど敏感ににおいを感じているのか、体験して比べることは出来ない。しかし、嗅覚受容体の数を調べることによって、嗅覚の発達を推定できるのだという。
嗅覚受容体の数は、においを感じとる遺伝子の数と密接な関係があるようだ。このつまり、嗅覚受容体の数が多ければ多いほど、嗅覚がすぐれていると考えられる。
嗅覚受容体の数
- ヒト…約400個
- 犬…約800個
- ウシ…約1,100個
- ラット…約1,200個
この時点で私にとっては衝撃だった。ラットってそんなに鼻が利くのね…。
そして、おどろくことに、ゾウは…2,000個!
なんと、犬の2倍以上、そして私たちヒトの5倍! ゾウはとても嗅覚が優れているということになるのだ。数字だけではあまりピンとこないが、ゾウは実際に数キロ離れた水のにおいまで分かるといわれている。
水って、間近でも特別においしないよね…。これがヒトレベルの嗅覚である…。
じつは、ゾウが2,000個もの嗅覚受容体をもっていることを発見したのは、東京大学の研究チームで、2014年にアメリカの科学誌「ゲノム・リサーチ」に論文を掲載。それまで最多と考えられていたラットの1,200個をはるかに上回る発見で、世界をおどろかせたのだ。
続いて、さらにゾウの嗅覚のすごさをご紹介しよう。
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【追加雑学①】ゾウは嗅覚で物の量を判断できる
嗅覚で物の量を判断…ありえないでしょ。そう思うのも無理はないだろう。ふつうは手に感じた感触や、目で見て判断するしかない。
少なくともヒトは、そうである。しかし、最強の嗅覚の持ち主であるゾウは違う。ゾウは嗅覚で物の量を判断できるのだ。
ニューヨーク市立大学の研究チームがタイの保護キャンプで、次のような実験を行った。
- 2つのバケツを用意し、両方に同じ量のエサをいれる
- ゾウの好きなひまわりの種を、片方にはたくさん混ぜ込む
- 目で判断できないように、バケツに覆いをかける(小さな穴からにおいは出る)
これを6頭のゾウに対して実験した結果、すべてのゾウがひまわりの種が多く入ったバケツを選んだという。
嗅覚で物の量を判断するという、たしかなメカニズムはまだ不明らしいが、この研究はアメリカの科学アカデミーが発行する学術雑誌「PNAS」に掲載されている。
鼻で持ちあげて測ったわけでもなく、目で見て判断したわけでもない。においだけで量まで分かるとは…。
【追加雑学②】ゾウは自分に危険をおよぼす民族も嗅ぎわける
また、アフリカではこんな話がある。
アフリカゾウはゾウ狩りをする民族とゾウ狩りをしない民族を、においで嗅ぎわけることができるというのだ。さらに、地雷のにおいも分かるようで、避けて歩くという。
ゾウは鼻の動きで感情をあらわしたり、その鼻の動きで相手の気持ちを察したりする能力もあるそうだ。また、声を出して会話もするという。
ゾウは群れで生活している。誰かが危険なにおいを察知したとき、仲間に伝えるというようなコミュニケーションもとっているのだろう。
この動画のように、ゾウといえばやっぱり鼻を器用に使う姿!
ゾウが最も鼻が利く動物だとは…。これは意外と知られていないトリビアではないだろうか。
雑学まとめ
今回は、動物の中で最も鼻が利くゾウについての雑学を紹介した。
嗅覚は、生き物によって敏感さが違う。私たち人間よりも動物たちのほうが優れていることはたくさんあるなと思った。
私たちの身近で、嗅覚を生かしてさまざまな手助けをしてくれているのは犬だが、もしゾウの力を借りることができるなら、いつか地雷撤去などでゾウが活躍する日がくるかもしれない。