2019年、元号が変わった。
動画は菅官房長官による「令和」発表の会見だ。
30年続いた「平成」から「令和」へ。平成生まれの筆者は「年号の変わり目」初体験だったのもあり、新しい年号の発表や、元号が変わる瞬間はわくわくが止まらなかった。
過ぎ行く平成に思いを馳せつつ新しい令和に希望を抱く…。崩御(ほうぎょ…天皇陛下が亡くなること)による改元でないこともあり、あの時期は日本全体が新たな時代の幕開けにうきうきしていた気がする。
考えてみれば、年の数え方が変わるだけなのに、あの謎の「新しい時代が来る感」はすごかった。元号が変わると心機一転フレッシュな気持ちになるから不思議である。
今回はそんな「元号」にまつわる話についての雑学を紹介しよう。
【世界雑学】世界で一番長く続いた元号は「昭和」
【雑学解説】昭和天皇の在位期間は世界一長い!?
「昭和」がいかに長い元号かを紹介する前に、暦について説明しよう。
日本では2種類の暦が使われている。
西暦と和暦。和暦は「元号」のこと。西暦は「2019年」などで、イエス・キリストが生まれた年を基準としたものだ。
2つもあると正直面倒くさいことも多い。「1960年って昭和何年だっけ?」とか、そんなことはしょっちゅう。歴史のテストでも引っ掛け問題が作れちゃうぐらいだ。
世界規模で見ると西暦は多くの国で通用するものだが、西暦以外に日本のような独自の「元号」を使用した歴史のある国はそもそもそんなに多くない。
元号のはじまりは古代中国。縁起を担いだり、権力者が力を誇示する目的で使われ始めた。
そしてその後、中国周辺の漢字圏に広まる。日本もそのひとつだが、他に現在の韓国や北朝鮮、ベトナムに台湾など。
中国で元号が姿を現したのはおよそ2000年前。日本では645年の「大化」がはじまり。有名な大化の改新だ。他の国々も日本と同じくらいかそれ以前に取り入れ始めた。元号は長い長い歴史のある文化なのだ。
60年以上続いた元号は世界でたった3つだけ
ところが、現代に時間を移してみると、元号を使っている国はなんと日本だけ。他の国々はいつの間にか使わなくなっていき、1945年のベトナムの元号廃止によりとうとう日本だけの文化となってしまった。
とはいえ、1000~2000年レベルの長い歴史のある元号なのだから、これまで世界中で数え切れないほどたくさんの元号改正が行われた。
そして、そのなかでもいちばん長い元号が「昭和」の64年なのだ。
日本だけでも、大化から令和まで248もの元号が使われてきた。そのうち、20年以上続いた元号は12個しかないのだ。
248分の12…その時点でいかに少ないかがわかる。平均を取ると日本は5年半に1度改元しているらしい。昔はわりとさくさく元号を変えていたようだ。
20年以上でもそんなに少ないのだから、昭和の64年は相当な長さだ。ちなみに昭和の次は明治の45年。2位とも20年ほどの開きがあるのだから、昭和の長さがいかに例外的なことかよく分かる。
他の国に目を向けても、60年以上続いた元号は昭和を含めてたった3つしか存在しない。昭和の他に、中国の康熙(こうき)、乾隆(けんりゅう)だ。ちなみに康熙は61年、乾隆は60年続いた。
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世界には昭和天皇以上に長い在位期間の人物も
昭和の長さを象徴するように、昭和天皇は日本最長の在位を誇る天皇だ。しかし「元号」が世界最長だからといって、在位が世界一かというとまた別の話になる。元号を使用していない国もまた多いためだ。
世界最長の在位は、現在のタンザニアで1864年に即位したムソマ・カニヨ。在位期間は98年、なんとまるっと1世紀だ。
もちろん半世紀以上の間在位についていた昭和天皇も十分長い方だが、上には上がいたのだ…。
とはいえ長かった昭和時代。世界恐慌に大きな戦争、その後の高度経済成長、東京オリンピックに大阪万博と、現代につながる大きな出来事がたくさんあった。
負の歴史も、輝かしい出来事も、いっぱいに詰まったビッグな時代だ。それだけに思い入れのある人も多いだろう。新しい時代・令和も、たくさんの人にとって思い入れの深い豊かな時代にしていきたい。
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【追加雑学①】本当にあった驚きの改元理由
明治以降、日本では天皇の即位に伴い改元をしており、天皇一代に元号一つといった具合に定められている。
ところが、それ以前はもっと自由に頻繁に改元がされていた。なかには驚くような理由の改元もあるのだ。
亀出現【霊亀・神亀・天平・宝亀】
古くはおめでたいことがあった際に、元号を変えることが多かった。
奈良時代にあったこれらの元号も「めでたい!」と作られたものなのだが、その理由はすべて「珍しい亀が出現したから」。…奈良時代、亀出現しすぎ!
この「珍しい亀」とは白い亀だったり、甲羅がきれいな模様入りだったりとまちまちだ。「いい亀が見つかったから改元しちゃおう!」とは、なんともほのぼのした世界ではないか。
きれいな雲が出た【慶雲・神護景雲・天応】
亀と同じく雲も改元理由となる。これらの元号は「きれいな雲が出たから」という理由で作られた。
四六時中変化し続ける空模様では、きれいな雲なんてしょっちゅう出そうだが、それで改元してしまうなんて、自由すぎる…。
しかも元号といえば2文字のイメージが強い中で「神護景雲」って…。なんだか強そうだ。
語呂が悪いから【安永】
江戸時代だった1764年から72年までの間に「明和」という時代があった。
「明るく和やか」いい元号に思えるが…明和9年に江戸の三大大火のひとつ「目黒行人坂の火事」が起きてしまう。大きな被害が出たこの大火事に、人々は元号の語呂が悪いせいではないかと思い始めたのだ。「明和9=迷惑」というわけである。
そこで、年の途中ではあったが縁起が悪いと大急ぎで「安永」に改元することとなったのだ。
ちなみに改元後、江戸っ子が詠んだ狂歌(風刺や皮肉を盛り込んだ短歌)が残っている。
「年号は/安く永しと/変われども/諸色高直(しょしきこうじき)/今にめいわ九」
改元したって「めいわ九」なのは変わんねーよという歌だ。そりゃそうである。
【追加雑学②】他の国とかぶった元号もあった
かつては日本だけでなく東アジア圏で広く使用されていた元号。長い歴史のなかでは知らず知らずのうちに他国とかぶってしまうこともあった。
これまで他国とかぶった元号はなんと37個。結構多いのだ。
なかでも938年から947年にかけて使われた「天慶」はものすごい人気者。なんと5カ国とかぶっている。
たくさんの漢字があり、無限の組み合わせがあるなかで、こんなに重複するとは…ところ変われど人々が元号に込める想いは近いのかも…。
雑学まとめ
今回は「元号」についての雑学を紹介した。
まさかいちばん長い元号が昭和だったとは…。最近すぎる。「長い元号」と言ったら、歴史の古い中国なのかな?と思っていたので驚きだ。
現代では日本独自の文化である元号。数十年という短いスパンで時代に区切りがあるのは、心機一転できるという意味でもよい文化と思える。
元号唯一の生き残りとして大切にしていきたいものだ。
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