みなさん! 肘を予期せず突然どこかにぶつけて、「ジーン!」となったり「ビリビリ!!」とした経験はないだろうか?
私はついこの間「ゴンッ!」と思いっきり肘を強打して、ビリビリ痺れるという嬉しくない経験をしたところだ。きっと、人生で1度もこの痺れを経験したことがないという人はいないのではないだろうか?
肘あたりが痺れるだけでなく、小指の先の方まで突然電流が流れたかのように痺れて、当分動かせなくなったりするのだから、本当に参ってしまう。では、このビリビリ痺れて動けなくなってしまう肘の骨に、ちゃんとした名前がついているのをみなさんご存知だろうか?
今回の雑学記事では、この痺れる骨の秘密について迫ってみた。
【人体雑学】肘がジーンとするあの場所の名前は「ファニーボーン」
【雑学解説】「ファニーボーン」の名前の由来
なんでぶつけると「ジーン!」「ビリビリ!」と痺れる肘の骨のことを「ファニーボーン」というのだろうか? 実はこの「ファニーボーン」には、「上腕骨内上顆(じょうわんこつないじょうか)」という難しい医学的な名前が付いている。
その「上腕骨」というのが、英語では「humerus(ヒューメラス)」というそうだ。それが、「おかしな」という意味の英語「humorus(ユーモラス)」となんと同じ発音だったことから、いつの間にか入れ替わってしまう。
ここから同じく、「おかしな」という意味の「funny(ファニー)」にいつの間にか入れ替わり、「ファニーボーン(おかしな骨)」という名前で呼ばれるようになったというワケだ。
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ファニーボーンをぶつけるとジーンとなるのはなぜ?
では、なぜその「ファニーボーン」をどこかにぶつけると、「ジーン!」「ビリビリ!」と痺れてしまうのだろうか? それは腕を通っている神経が関係していた。
小指のあたりから、肘の骨のところを通って腕の内側にかけて通っている「尺骨神経(しゃっこつしんけい)」という神経のしわざ。
これによってビリビリと痺れる症状が生まれているのである。もちろんこの神経がなければ、腕をいろんな方向に動かすことができないので、なくては困る存在であることは間違いない。
だが、この尺骨神経が肘の部分を通っているその通り道が問題なのだ。肘の骨、つまり先ほど痺れるといった「ファニーボーン」の部分は、他の腕の部分に比べて尺骨神経がかなり皮膚に近いところを通っているのだ。
だからこそ、ちょっとどこかに「ファニーボーン」をぶつけると、他のところをぶつけた時よりも断然痛い! そして小指の方まで、腕の全体がビリビリと痺れるのも、神経が腕全体とつながっているからなのである。
ビリビリしているのは脳の反応
ビリビリする感覚から、神経そのものが震えているようにも思えるが、これはそういった物理的なものではない。脳への神経伝達が上手くいっていない感覚なのだ。
神経は強い刺激を与えると一瞬興奮状態になり、その後しばらく感覚が麻痺する性質がある。要は痛いという信号を送りたいのに、急な衝撃で混乱してしまっている感じだ。
すると情報がちゃんと送られてこない脳は、尺骨神経に何が起こっているのかわからないものだから、腕の感覚がなくなるようなむずがゆい感じになる。これが肘をぶつけたときのビリビリの正体である。
【追加雑学①】ファニーボーンとあごはくっつけられない!?
ところでこのファニーボーン、聞いているだけなら簡単に出来そうに思うのに、出来ないことが1つある。あごにくっつけられないのである!
「うそー、簡単にくっつけられるでしょ!」と思ったあなた。そう思ったら、ぜひとも試してみてもらいたい。…ね! くっつきそうでくっつかないでしょ!
これはどんなに身体の柔らかい人でもくっつけられないらしく、人間の身体の構造上不可能ということだ。
【追加雑学②】足を組んだときのビリビリも同じ現象
長時間足を組んだり正座をしたときに足がしびれるのは、その部分の血行の影響だと捉えがちだ。しかし、これも厳密には脳への神経伝達の問題である。
神経は強い衝撃を与えたときだけでなく、長時間圧迫されたときにも、正確な神経伝達ができなくなる。足の血流が阻害されることで、神経は脳に正確な情報を送るだけのエネルギーを得られなくなるのだ。
すると肘を打って神経が麻痺したときと同じように、脳は「足の神経で何が起こってるの?」という状態になる。その原因は微妙に違うが、ビリビリの正体はいずれも脳の感覚なのだ。
雑学まとめ
ちょっとどこかにぶつけただけで、びっくりするほどビリビリと痺れてしまう骨「ファニーボーン」。
その名前の由来が意外にも「いつの間にか変化していっちゃった」ものだったと判明して、ちょっと驚きだ。
また、腕全体が動かせないほど痺れてしまうのが神経の仕業と聞くと、たしかになんだか納得の話である。この雑学を人にもちゃんと説明できれば、なんだか少し自慢ができるのではないだろうか?