刑事ドラマの見せ場といえば、犯人を取り押さえ、ガチャン! と手錠をはめる逮捕のシーンだ。一般人にはおよそ体験できない非現実とあってか、警察官のかっこよさもひとしおである。
しかしそれが、どうも一般人にとっても非現実とはいえないようだ。なんでも条件次第では、警察でなくても犯罪者を逮捕することができるという。
一般市民が事件を解決! なんて、それこそドラマの主人公みたいではないか! ということで、今回は一般人が行う現行犯逮捕について、迫っていくこととしよう。
【ルール雑学】警察じゃなくても現行犯逮捕はできる
【雑学解説】現行犯逮捕はできるけど…逆に罪に問われてしまうケースもあるので注意!
逮捕というと警察だけの特権のように思えるが、以下の条件を満たしていれば、一般人でも行うことができる。
- 現行犯・準現行犯であること
- 罰金30万以下の軽犯罪で、犯人の住所や氏名がわかっておらず、逃亡の恐れがある場合
現行犯・準現行犯などといわれるとややこしい感じがするが、要するに「犯行現場を見た、もしくは証拠があって犯人が明らかな場合」のことだ。
こういった場面に遭遇した際、通報するのはもちろんだが、逃亡の可能性があれば、のん気に警察の到着を待っているわけにもいかない。よって一般人が逮捕を行う「私人逮捕」が許されるのである。
要するに一般人が行える逮捕というのは、警察が到着するまでの間、犯人を取り押さえておくことなのだ。飽くまで緊急の対応なので、すみやかに身柄を引き渡さなかったりすると、逆に監禁罪に問われてしまうこともあるぞ。
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またエキサイトしすぎて犯人を怪我させてしまい、暴行罪に問われてしまうなんてケースもある。犯行現場を目撃して「逮捕してやる!」となる人は腕っぷしにも自信があるだろうから、やり過ぎてしまうことも多いのだろう…。
そして罰金30万円以下の軽犯罪の場合、住所や氏名がわかっていて追跡ができるなら、私人逮捕は許されない。軽犯罪というとイメージしにくいが、具体的には窃盗・傷害・器物損壊などである。凶悪な犯罪者でなければ、後々の追跡でも被害はそこまで広がらないからか?
ちなみに逮捕といっても、一般人が手錠をかけることは許されていない。刑事ドラマ風をやりたいのなら、ごっこ遊びでどうぞという感じである。もっとも普段から手錠を持ち歩いているのは、そっち系の趣味がある人ぐらいだろうが…。
【追加雑学】現行犯逮捕に特に報酬はない
一般人が勇敢に現行犯逮捕を行ったとしても、特に報酬が支払われることはないという。体を張って捕まえているのに、骨折り損にも感じる。しかし警察の方々から感謝されることは、報酬といっていいほど栄誉なことでもあるぞ。
現行犯ではないが、筆者の祖父も昔、指名手配犯が店にやってきた際、客としてもてなしながら、バレないように通報して表彰状をもらったことがある。報酬などなくても祖父を誇らしく思ったし、同じように現行犯逮捕も武勇伝のひとつにはなるだろう。
雑学まとめ
一般人でも警察を待っていられない緊急の場面においては、現行犯逮捕を行うことが許される。ただどんなに正義感が強くても、本当にやむを得ない場合においてだけ許される権利だということは心に留めておきたい。
捕まえようとした方が逆に現行犯になってしまうなど笑えない冗談だし、巻き込まれて怪我をするのも本末転倒だ。万が一犯行現場に出くわしたら、判断はくれぐれも慎重に!