そんな法律があったら生きていけないでしょ! 私を殺す気ですか?
確かに「ネット=悪い」とか「ゲームしてるやつにろくなやついないよね。」的な風潮はあるかも知れないが…。
いくら何でもやりすぎ! 一部の悪意がすべての責任ってのは、さすがに連帯責任とかの範囲外でしょ。
今回はそんなことしたら暴動になんぞ! やりすぎでしょうが…って雑学を紹介だ。
【ルール雑学】ギリシャでは、ゲームを禁止する法律があった
【雑学解説】ゲーム=違法賭博を禁止するための法律だった?
2002年の7月、ギリシャで制定されたその法律だが…違法スロットマシンで政治家が逮捕されたことがきっかけとなりギリシャ政府が制定した。
もともとは公衆の場でのゲームを禁止する法案だったはずだが、議論をかさねるうちに家庭用ゲームや旅行者の持ち込む携帯ゲーム機にまで範囲が広がっていったのだ。
たとえばWindowsにデフォルトで入っているトランプゲームなども、この法にふれることになる。結果ギリシャでは、それらのゲームを取り除いた専用のWindows OSが作られた。
この法案により、ゲーム輸入会社やインターネットカフェなどが大きな打撃をうけ、ギリシャ政府には非難が殺到。ついにはEUも違憲としてギリシャに警告をしたのだが…。
ギリシャ政府はその警告を無視し、廃止するまでに50人以上の人が逮捕され、最大で3ヶ月の拘禁と5000ユーロの罰金という重い処罰がくだされた。
違法スロットマシンで逮捕された政治家がいたとしても…ここまで徹底的にゲームを廃止するなんてギリシャでは元々ゲームのイメージがすごく悪いのか?
って日本でもゲームのイメージはあまり良くないのかもしれないが…ちなみに5000ユーロは日本円にすると約60万円。(2019年現在のレートで)
法律上では5000~7万5000ユーロ(約950万円)の罰金か1年未満の拘禁刑だったとか。こんな金額だったら絶対破りたくない法律だが、範囲が広すぎて無自覚のうちに破ってしまいそうだ。
ちなみにゲームは禁止しているが、ネットに関しては特に取り決めはなかったようだ。しかしゲームが入っていないネット機器なんて探す方が大変だ。
ってことは実質ネットも禁止…できるのは電話くらいなものか?
スポンサーリンク
【追加雑学①】ギリシャ政府はゲームの事を何も知らなかった
そもそもゲームというくくりが漠然としている。ゲームには色々な種類があるが、ギリシャ政府は「そんなこと知らない! ゲーム=賭博でしょ?」というノリだったのかもしれない。
「ゲームは所有者が簡単に違法性のある改造をできるからダメです。」というのが政府の見解で、あくまで違法な賭博ゲームを抑制するのが目的だった。
たしかに賭博の抑制もできていたのかもしれないが…そんなことなんの問題にもならないくらい大量の国民を犯罪者にし、ゲーム業界に経済的な打撃をあたえたというのが現実である。
ギリシャ政府の言い分や目的もわからないわけではないが、法律にするならもっと詳しく勉強してからすべきだといわざるをえない。
悪い一面を見て印象が悪くなるのはしかたがない。だがギリシャ政府はゲームの悪い面しか知らないから、すべてが悪だと思えてしまったのだろう。
EUやゲーム会社から強く指摘を受けて2002年9月に内容を修正したが、摘発は続いた。結局2004年の10月に与党が変わるまでこの法律は続いた。
内容を修正して適応範囲が限定されたとしても、うかつにゲームができないような状態でよく2年間も耐えられたな…私だったら無理だ。
知らない相手に壁を作ってしまうのは私もそうだが、すべてを拒絶してしまうのはやはりダメなんだなと思った。って規模が違うか。
【追加雑学②】もしも今ゲーム禁止の法律ができたら…?
現代日本で同じ法律が定められたとしたら、ほとんどすべての国民が犯罪者になるだろう。
スマホの普及率でさえ、全体で50%を超える。10代~40代では90%近い。
加えてパソコンやゲーム機器が置いてない家庭はどの程度あるのだろう? 最近では子供用のおもちゃですら電子ゲームといえるものが増えている。
一口にゲームというと様々だが、近年では「e-sports」とよばれるオンラインゲームも認知されてきた。
スポーツと呼べるゲームが存在し、ゲームのプロがいる時代だ。損失は当時の非ではないだろう。
そもそも電子ゲームとはコンピューターが演算処理をおこない、「Aと動いたらB」みたいな処理を毎秒続けるものだ。その処理が娯楽目的になっているものもゲームと定義するのか?
やっていることはパソコンだってゲームだって本質的には同じのはず…工業機械や医療機械も元をたどれば同じだ。
現代日本でもネットやゲームが悪いといわれるニュースはあとをたたないが、ギリシャのゲーム禁止法のような事態は勘弁してほしいね。
雑学まとめ
今回はギリシャの法律雑学を紹介した。こんな無茶な法案が通るとは…きっかけになったスロットマシンは、それほど大きな金額が動く違法賭博だったのだろうか?
しかもほんの一時期ではなく2年も続いたのだから驚く。政府が間違いを認めたくなかった気持ちもあったのかもしれないが、EUが廃止しなさいって警告してるのに無視をするほどの覚悟に脱帽だ。
そもそもゲームもネットも人間が生み出したもので意志はないのに、善悪という基準をあてはめるのはナンセンスだ。
しかしネットやゲームに悪意が生まれやすいのも一理ある…だがその悪意とは? 人の意識じゃないのか? その「人」を改善していこうとするのではなく、「もの」を悪だと否定する。それこそ悪意ではないか?
つまり悪意などなくならない。人類が滅ぶその時まで付き合い続けなければならないだろう。
切り離せないならうまく付き合っていきたいものだ。…なんてね。違法賭博の拡大解釈に私の頭も影響されてしまったようだ。