オリンピック競技において、日本のお家芸とされるものといえば「柔道」と「体操」の2つではないだろうか。
「体操」は長らく低迷していた時期こそあったものの、特に近年、日本人選手の活躍が目覚ましい。2004年のアテネオリンピック・2016年のリオオリンピックにおいては、「男子団体戦」で金メダルを獲得する快挙も成し遂げられた。
ところで体操競技は、選手が自らの名前が付いた技を披露することも特徴である。実際テレビ中継の際に、耳にした方も多いだろう。
実は体操で選手が編み出した新技には、その人の名前が付く場合と、付かない場合がある。…単に選手が自分の名前を付けたくなかったんじゃないの? といいたくなるが、それとはまた話が違う。名前を付けられるかどうかの基準があるのだ。
今回はそんな、体操の新技に関する雑学を紹介しよう。
【スポーツ雑学】体操の新技には、成功させた選手の名前がつかないこともある
【雑学解説】体操の新技は国際体操連盟が認めて初めて命名される
体操競技では、選手がこれまでに例のない技を披露した際その選手の名前が付けられるのが慣例となっている。しかし選手の名前が付けられるには、それなりの手続きが必要となる。
出場前に、大会で新技を披露することを「国際体操連盟」へ申請し、大会で成功させた場合のみ、正式に選手の名前がつけられるのだ。
しかしときには成功させたに関わらず、連盟から認可されない場合もある。たとえば新技を披露したものの、減点が多い場合などだ。事前に申請しているとはいえ、出来が悪いと実際にどんな技なのかを連盟側が判断できないからである。
新技が命名されるには、事前申請した大会において、選手がきっちりと技を成功させる必要があるのだ。現在、選手の名前がついている技は、そうした条件をすべてクリアしたものということになる。
【追加雑学①】体操の新技に2人の選手の名前がつくこともある
体操の新技には、ときに複数の選手の名前がつけられる場合がある。たとえば、2人の選手が新技を申請した時期が同じで、同じ大会で成功させた場合などだ。
最近だと、2013年にベルギー・アントウェルペンで開催された「世界体操選手権」で実例がある。
同大会の「跳馬競技」において、日本の白井健三選手が「伸身ユルチェンコ3回ひねり」を成功させた。当然、白井選手は新技の申請をしていたが、韓国の金煕勲(キム・ヒフン)選手も同じ技の申請をしており、また同大会で成功させたのだ。
これにより、この技は「シライ・キムヒフン」と命名された。
なお白井選手は、この新技をリオオリンピックの種目別の跳馬競技で成功させ、見事に銅メダルを獲得している。以下は当時の映像だ。空中で何度回転しているのか、見当も付かないほどの大技である!
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【追加雑学②】リオオリンピックの日本の男子団体体操メンバーには、自らの名前が付いた技をもった選手が多くいた
2016年・リオオリンピックにて日本は、体操競技の男子団体戦において、2004年のアテネオリンピック以来の金メダルを獲得した。日本のエース・内村航平選手や床のスペシャリスト・白井健三選手の活躍は今でも記憶に新しい。
実はリオオリンピックの男子体操メンバーには、自らの名前がついた技をもった選手が多くいた。
- 白井健三選手…床・跳馬「シライ」
- 加藤凌平選手…つり輪「カトウ」
- 田中佑典選手…「タナカ」
- 山室光史選手…平行棒「ヤマムロ」
ちなみに白井健三選手は、床・跳馬をあわせて5つも「シライ」とつく技をもっていた。
…ここで気になる点が一つある。男子体操界のエース・内村航平選手の名前がないのだ。そう、内村選手は、意外にも自らの名前がついた新技をもっていないのである。
2020年の東京オリンピックでは、「ウチムラ」と名前の付いた新技の披露にも期待がかかるところだ。
雑学まとめ
体操で新技が認められるには、事前の申請と、国際大会において技を成功させる必要があるという雑学を紹介した。
主要な国際大会において、選手が表彰台にのぼることはもちろん、これまで誰も編み出したことがない技を披露し、自らの名前がつくことも同じく名誉なことだ。
選手の名前が命名される新技の制度は、選手のモチベーションを高め、今後の体操界の発展に間違いなく貢献しているといえる。
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