近年、盛り上がりをみせているイベントといえば、ハロウィンではないだろうか?
本場の欧米では、仮装した子どもが近所の家を回り、お菓子をもらうという行事だが、日本においてはコスプレをして街を練り歩くという独自のイベントへと変化しており、ハロウィンの時期にはコスプレをした若者が渋谷の街を埋め尽くすという社会現象にもなっている。
このハロウィンの盛り上がりに対して、「日本人は慎ましい性格だから、コスプレして街を歩くなんて恥ずかしくて仕方がない…」と眉をひそめる方もいるであろう。
しかし、日本でも江戸時代には仮装して町中を歩く行事が存在したのである!
その行事の名は「節分お化け」。え、節分って、あの節分? そう、「鬼は外、福は内」という掛け声で豆をまく、あの節分である。
今回は、おもに京都で行われていたという仮装行事「節分お化け」についての雑学を、取り上げたいきたいと思う。
【歴史雑学】日本版ハロウィン!?江戸時代に仮装するイベントがあった!
【雑学解説】「節分お化け」はどんな行事?
そもそも、節分といえば、豆をまいて家中から鬼を追い出して、1年間の無病息災を祈る年中行事である。細かい違いはあれど、豆まきの習慣は日本全国共通のものといえるだろう。
そして、その古い慣習を打破するため…かどうかは知らないが、江戸時代末期に京都で突如誕生したのが「節分お化け」なのである。
この行事は、節分の夜に若い女性が老婆の格好をしたり、逆に老婆が少女の服を着たりして、寺社へとお参りするというもの。これは、普段とは異なる姿になることで鬼を混乱させ、災厄を免れるという意味があったそうだ。
そして、「節分お化け」では、女性だけでなく男性が女装するケースなどもあったとのこと。仮装をした男女が京の街に出て、寺社へと参拝する…。そんな姿を想像すると、現在のハロウィンとさほど変わらない気がする。
きっと、「節分お化け」の夜の祇園は、現在の渋谷と同じような賑わいをみせていたに違いない。昔から日本人は、コスプレ好きな民族だったのであろうか?
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【追加雑学】現代に蘇る「節分お化け」
江戸時代末期に盛んだった「節分お化け」だが、昭和に入ると廃れてしまい、節分の夜に仮装する風習もなくなってしまったようだ。
しかし、ハロウィン効果によるコスプレ熱の上昇のためか? 平成に入ると、町おこしイベントとして「節分お化け」を復活させようとする動きが出てきたのである。
京都の取り組み
「節分お化け」発祥の地である京都では、舞妓さんが男装やオカメなど普段とは異なるさまざまな衣装でお座敷に出て、お客さんを盛り上げるそうだ。
普段とは違う衣装で仕事をする舞妓さんも、少し楽しそうなのが印象的である。
また、京都市内を走る鉄道・嵐電では「節分お化け」にちなんだ臨時列車を運行するなど、市内のいろんな場所で「節分お化け」を盛り上げているようだ。
もし、節分の時期に京都へ行った際には、普段とは違う京都の姿を楽しんでいただきたい。
東京での取り組み
東京では、遊郭として栄えた吉原で「節分お化け」にちなんだ仮装イベントが毎年行われている。
一応、日本の妖怪などのような縛りはあるものの、もはやコスプレイベントにしかみえないのは気のせいだろうか?
また、かつての花街でもあった東京・神楽坂などにおいても、「節分お化け」にちなんだイベントを開催しているケースが増えてきているとのこと。
このように「節分お化け」復興の動きが広まれば、ハロウィンだけでなく節分にもコスプレをして街へ繰り出すのが当たり前になるかもしれない!?
雑学まとめ
今回の雑学はいかがだっただろうか。節分の夜に仮装をしてお参りに行くなんて、現代のハロウィンとほとんど同じと感じた方も多いだろう。
「節分お化け」の存在をみると、大勢の若者がハロウィンに渋谷の街に繰り出すのは、日本人のDNAに刻み込まれた習性なのかもしれない…と考えてしまった。
いずれにしても、コスプレをして街に繰り出すのは結構であるが、ごみ捨てなどの迷惑行為だけはしないよう気をつけて、全力で楽しんでもらいたいものである。
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