「花粉」…この字を見るだけでなんだか鼻がむずむずしてくるような…。そんな私は花粉症なのだが、皆さんはどうだろうか? ちなみにスギ花粉による花粉症患者は、全国平均で4人に1人らしいぞ!
最近は、毎年のように「今年の花粉は前年の〇倍」と発表されている気がするけど気のせい!? このままねずみ算式に増えていったりするのだろうか…。恐ろしい。あぁ、なんだか鼻がかゆくなってきた。
ところでこの「花粉がたくさん飛ぶかそうでないか」という予報は、花粉の数を数えないと出せないのだが、どのように数えているのかご存知だろうか。
きっと、大気中の花粉をパーッと数えられるハイテクなマシンがあるんだろうな…と思いきや、実は花粉の数え方はかなりアナログなのだ! 今回の雑学では、花粉予報のための花粉の測定方法をご紹介するぞ。
【自然雑学】花粉予報に使われる測定は今でもアナログな方法だった
【雑学解説】花粉の測定はアナログな方法で行われる…
花粉が飛ぶシーズン中、私を含め花粉症の人たちは、天気予報とともに花粉予報も確認すると思う。そして「明日も花粉が大量に飛散するのか…」と、とめどなく溢れる鼻水と戦いながらがっくり肩を落とすのだ。
花粉症を発症していない人も、「洗濯物に花粉がつきそう」「愛車が花粉まみれになるかも」と花粉の飛散状況は気になるはず。
その花粉の予測には「長期予報」と「短期予報」の2種類がある。
長期予報
長期予報は、「今年の花粉は多いか少ないか」をシーズン前に予測するもの。予測はいくつかの根拠に基づいて算出されるぞ。
1.前年の天候
前年の夏と秋の天候から、そのシーズンの花粉量を予測するそうだ。花粉はスギの雄花から発せられるが、そのスギの雄花は夏に作られる。
前年の夏に晴れた日が多いと雄花はたっぷり光合成ができるので、立派にたくましく育ち、花粉の量が多くなる傾向があると予測される。
2.花粉飛散のサイクル
花粉が多く飛ぶ年と少ない年は交互に来るといわれている。よって、前年のシーズンの花粉飛散量が多ければ今シーズンは少ない予報に、前年の花粉量が少なければ今シーズンは「当たり年」として花粉飛散量が多いという予報になるのだ。
3.目視
天気予報や花粉予報を知るときにお世話になっている方も多いであろう民間の気象予報会社「ウェザーニューズ」。こちらの会社では、長期予報にスギの雄花の目視確認を取り入れている。
ウェザーニューズが配信している天気予報アプリで、「普段、スギの雄花を前年に比べよく目にするかどうか」を一般の人にアンケートを取っているそうだ。
花粉予報を出す人々にとって長期予報は、アナログでもそんなに苦労しないだろう。しかし、これからご紹介する短期予報は、より大変な方法で算出されているのだ。
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短期予報
短期予報とは、「今日は花粉がたくさん飛ぶか飛ばないか」というもの。花粉症患者を毎日絶望させるやつ。この短期予報のための花粉測定方法が、とんでもなくアナログなのだ!
ダーラム法
そのアナログな方法は「ダーラム法」と呼ばれ、アメリカ人のダーラムが1946年に考案した「花粉捕集器」を使って花粉の数を調べるもので、現在でも一般的に花粉予報に用いられている。
花粉捕集器は、2枚の直径23cmの円形ステンレス板のあいだに、長さ9cmの支柱を入れて固定したもの。上からステンレス板・支柱・ステンレス板という形になるわけだ。
そして、ステンレス板とステンレス板のあいだ(下のステンレス板の上)に、薄くワセリンを塗ったプレパラートを固定する。
これを24時間野外に放置し、プレパラートに付着した花粉の数を人が顕微鏡で数えるのだ!
花粉を顕微鏡で観察し、スギやヒノキなどを区分しながらカウンターを使って数えていくそうだ。1日に決まった時間に何度かプレパラートを回収し、1平方メートルあたりの花粉の平均数を算出して花粉の濃度を予報する。
花粉の形状によって区分するため、イネ科やブタクサなどの花粉の計測も可能だが、それには相当の経験と技術が必要なんだとか。花粉のシーズン中毎日花粉を数えてくれている人、ほんとにありがとう。
はなこさんとポールンロボ
ダーラム法は、今も様々なところで花粉数計測のために用いられている現役の観測方法だが、なんせ時間がかかるうえ人力なので、精度もそんなに高くない。そこで機械の出番である。
花粉自動計測機で有名なのは2種類。
はなこさん
環境省が管轄している花粉自動測定機。機械に内蔵されたポンプで大気を吸引し、レーザー光を照射することによって大気中の花粉の大きさや数を自動で計測できるスグレモノ。全国130か所で百葉箱の中に設置されている。
ポールンロボ
先ほども登場した民間の気象予報会社「ウェザーニューズ」が開発した小型の花粉自動計測機。計測の仕組みは「はなこさん」と同じだが、観測地点が全国に1000か所と圧倒的に多い。
ウェザーニューズではポールンロボを一般人に貸し出し、家庭に設置してもらって各地の花粉の種類や量を観測しているのだ!
ポールンロボは子どもの頭くらいの大きさと、子どもの肺活量と同じくらいの吸引力をもっている。コロンとしてかわいらしいルックスで、愛着が湧きそう。その姿がこちらだ。
かわいいというか…めっちゃスタイリッシュ!
だが、このポールンロボはシーズンが終わったら返却しなければならない。専門家によって清掃・点検された後、次のシーズンにまた設置希望者の所へ元気に旅立っていくのだ!
【追加雑学】朝から鼻水がツライのはなぜ?
夜寝ているときは鼻水やくしゃみが出ないのに、朝目を覚ました瞬間、蛇口をひねったかのようにあふれ出す鼻水。起き抜けの体に激しくダメージを与えるくしゃみの連発。
毎朝、「花粉は昼間に飛ぶんじゃないの!? なんで朝からこんなにツライの…?」と涙目に。…いや、花粉症ですでに涙目なのだが。
と、そんな経験はないだろうか? 実はこれ、「モーニングアタック」という症状なのだそうだ。なんかめっちゃ怖そうな名前だ。
「心臓発作」を英語でいうと「heart attack(ハートアタック)」。だから「モーニングアタック」は「朝の発作」。
たしかに、目を覚ました瞬間に襲ってくるアレルギー症状は、発作と表現して差し支えないだろう。しかし、花粉量が少ないであろう朝に、なぜあんなにツライ発作が起こるのだろうか。
なぜ朝からアレルギー症状が出るのか
1日で最も花粉が飛散する時間は、午後の2時頃らしい。それなのに朝症状がツラくなるのは、服などに付いて家の中に侵入した花粉が寝ているあいだに吸い込まれ、目が覚めるとともに症状を引き起こすからなのだそうだ。
さらに、床や布団に積もったハウスダストもモーニングアタックの一因に。普段部屋中を舞っているハウスダストは、人が寝静まると床や布団に落ちていく。
そして目が覚めて人が活動を始めると、空気が動いてハウスダストも舞い上がり、鼻の粘膜を刺激する。
花粉だけでなく、ハウスダストもモーニングアタックの原因の一つだったとは…。
雑学まとめ
1年に数か月ものあいだ花粉症患者を悩ませる花粉は、毎日手作業で数えられているという雑学をご紹介した。みんな「はなこさん」みたいな機械を使えばいいのに…と思うのだが、やはり高価なんだろうか。
しかし、1946年に発明された花粉計測方法をいまだに使っているということは、それなりのメリットもあるということだろう。
個人的に花粉の量を計測したいという人は、ウェザーニューズ社のポールンロボ設置者募集に応募してみてはいかがだろうか。花粉が飛び始める時期もいち早く知ることができるぞ!
ウェザーニューズ社は、ポールンロボを設置する人のことを「さとおや」と呼んでいる。かわいいポールンロボと一緒なら、花粉シーズンも多少は楽しく過ごせる…かもしれない。
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