金魚は赤い色のものが多いが、さまざまな体色や模様の金魚も存在し、形も種類によってかなり異なる。現在は安価で買える場合が多いものの、かつてはかなり高価な魚だった。金魚という名前も高価だったことが由来ともいわれており、現在でもかなり高額な品種が存在する。
そんな金魚だが、先祖は突然変異を起こしたフナだったことが知られている。最もポピュラーな「和金」は、たしかにフナにそっくりである。
今回の雑学では、フナと金魚の関係や、なぜこれだけ多種多様な品種がいるのかについてご紹介しよう。
【動物雑学】金魚の先祖は突然変異のフナだった
【雑学解説】金魚は、色が変わったフナである
突然変異を起こして赤い色になったフナの「ヒブナ」を品種改良することで、さまざまな種類の金魚が生まれた。一般的な金魚で、金魚の原点ともいわれる「和金」はヒブナが固定された品種とされている。
和金は日本に最初に輸入された金魚であるため、和金という名前が付けられた。和金にも、体色が異なるものや尾びれの形が異なるものもいるが、最も一般的とされるフナ型の和金は、フナの色が赤くなったヒブナそのものといわれているのだ。
【追加雑学①】金魚は突然変異を起こしやすい
金魚は、フナが突然変異で赤くなったヒブナから品種改良されて作られた。しかし、金魚の種類は、出目金・スイホウガン・ランチュウ・コメットなど、見た目からして非常にバリエーションが豊富だ。
日本産の品種だけでも33種類の金魚がおり、今後新しい品種と認定される可能性のものを含めると50種類を超えるという。もちろん、世界中にはさらに多くの種類の金魚が存在するのだ。なぜ、フナを品種改良した金魚は、ここまで多種多様なのだろうか?
実は、フナは突然変異を起こしやすい四倍体の魚である。四倍体は通常の倍の染色体をもっており、突然変異を起こしやすいことが知られている。染色体の数が多いのは金魚も同じであり、金魚も突然変異を起こしやすいのだ。
品種改良で体色や体型が変化した金魚は、本来奇形に分類される。その変化は、一代限りで終わってしまうことも多い。しかし子供の代にも変化が受け継がれた場合、新しい品種として認められることになる。
ただし、品種改良された金魚は生存競争には向いていないため、先祖返りを起こしてフナに戻ってしまうこともあるという。特に金魚の体色は非常に変化しやすい。和金の色がフナのようになってしまうことはよく起こる。
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逆にフナと金魚を一緒に飼っていると、フナが赤くなってしまうことも珍しくないのだ。下の動画では金魚と一緒にいたフナが赤くなっている。
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【追加雑学➁】金魚が野生化すると大変なことになる?
金魚は泳ぐのが遅く、金魚すくいで捕まえたものなどはすぐ死んでしまう。そのため、弱々しいイメージがあるかもしれない。しかし、これは金魚本来の姿ではない。金魚すくいで捕まるような金魚は元々弱っている。泳ぐのが遅いのも運動不足だからである。
本来の金魚は泳ぐのが早く、成長力や繁殖力がものすごく強い。川で野生化した金魚を見たことがある人なら、その泳ぐスピードがかなりのものだと分かるはずだ。金魚が捨てられたオーストラリアのバス川では、金魚が大繁殖を起こし、水質が著しく低下している。
金魚の成長率は世界で最も高いといわれるほどで、一年で18cm成長したという。下の動画は日本の水路にいる野生の金魚を捕まえる映像である。
フナは45cmほどになるが、金魚も50cmまで成長するものもいる。さらに、水生植物の根を引き抜いてしまう金魚は、水質を変化させやすい魚でもある。
非常に繁殖力も強いため、駆除したとしても簡単に数が減らないのだ。知能もかなり高く、音楽を聴き分けることもできるという。
昨今、外来生物が生態系を破壊すると問題になっている。しかし、世界で最も厄介な繁殖型水生生物の一つは金魚だといわれているのだ。身近にいる金魚が野生化すると、大変な問題に発展することもあるのだ。
雑学まとめ
今回の雑学では、金魚とフナの関係についてご紹介した。金魚はフナから変化した魚である。突然変異を起こしやすく、さらに美しくなるからこそ、これだけ観賞魚として広まったのだろう。
しかし、環境によっては簡単にフナに戻ってしまううえに、本来非常に強い魚で繁殖力も高い。うっかり川に逃がしたりすると、環境を大きく変える恐れがあるのだ。
金魚も中国から来た外来生物だ。身近な金魚だが、外来生物として取り上げられる機会は少ない。実は野生化した金魚は、生態系を破壊しかねない非常に危険な生物なのである。
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