ひょっこりひょうたん島は、現在から50年以上前に放送されていた人形劇だ。子供番組だったが、社会風刺などをたくみに盛り込んだ内容で大人にも人気があった。
人気の高さから5年間にわたって放送が続いてリメイクもされたが、放送から数十年後に驚きの設定が明かされ、そのことも話題となった。
終了後に明かされた設定とは、ひょっこりひょうたん島は死後の世界を描いたものだというのである。今回は、その真相についての雑学ご紹介しよう。
【サブカル雑学】ひょっこりひょうたん島は死後の世界?
【雑学解説】ひょっこりひょうたん島は死後の世界という設定がある?
ひょっこりひょうたん島はNHKで放送されていた人形劇で、1964年から1969年まで放送された。物語は、教師のサンデー先生と5人の子供たちがひょうたん島に遠足にやってきて漂流したことから始まる。
狭い島の中での生活では、食料が賄えないという現実的な問題が発生するはずだ。しかし、ひょっこりひょうたん島は子供たちが暮らすユートピアとして描写され、深刻な問題は発生しない。
実は、ひょっこりひょうたん島でこういった現実的な問題が起こらないのは、登場人物が全員死亡しており、死後の世界を描いた物語だからだという。最初に島に来て、噴火が起きた時点で全員死亡したというのだ。
この話は、2000年に、原作者の1人・井上ひさし氏が講演会で「死後の世界を描いた物語だ」と明かしたことから有名になった。
長らく秘密にされていたが、劇中で死後の世界を描いたものだとほのめかす描写があるともいわれている…。
ひょっこりひょうたん島が死後の世界という設定は冗談だった
こうしてまことしやかに、ひょっこりひょうたん島は死後の世界の物語だと噂されている。実際、井上ひさし氏がひょっこりひょうたん島は死後の世界の物語と言ったのは事実だ。
しかし、この話には裏がある。講演会で「ひょうたん島の食料事情はどうなっているのか」という質問が出た際に、「こんな話もありかもしれない」と前置きして、死後の世界でも面白いと語ったことが分かっているのだ。
つまり、講演会で語ったことは、公式設定ではなくその場の思いつきだったのだ。実際、ひょっこりひょうたん島が製作されていた時点では、死後の世界という設定はなかった。
つまり、ひょっこりひょうたん島の作中で、死後の世界であることを暗示する描写があるというのはデマ。
さらに、ひょっこりひょうたん島のオリジナル版では、初期のエピソードで人形がグロテスクに作られていたという話もある。オリジナル版の映像を見るのは現在では難しく、実際の人形の姿を確認するのは不可能に近い。
死後の世界を描いたという話が広まったことと、実際の人形の姿が確認できないことで、人形がグロテスクだったという噂ができた可能性が高い。
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【追加雑学】ひょっこりひょうたん島のオリジナル版は映像がほとんど存在しない
ひょっこりひょうたん島は人気が高く、リメイク版や劇場版なども製作されている。しかし、オリジナル版の映像はほとんど現存しない。
ひょっこりひょうたん島が放送されていた頃は、ビデオテープは大型でかなり高価だった。そのため、収録された映像が保存されなかったのだ。
当時は放送終了後に、収録された映像は消されてしまい、他の番組を収録するためにビデオテープが使いまわされていたのだ。そのため、ひょっこりひょうたん島の映像を収録したマスターテープは存在しない。
下の動画は、初回放送のOP映像に音声をつけて再現したものだという。
現在は、ひょっこりひょうたん島が放送されていたテレビ画面をフィルムカメラで撮影したものが、8本だけ存在している。本来は全ての映像がカラーで放送されていたのだが、映像がカラーで残っているのは829回と881回しかないという。
このようにオリジナルの映像がほとんど現存していないことも、ひょっこりひょうたん島が死後の世界を描いた物語という噂に信憑性を与えているようである。映像が残されている8つのエピソードは、現在DVD化されている。
雑学まとめ
今回は、ひょっこりひょうたん島の世界観についての雑学をご紹介した。死後の世界という設定は、あくまで講演会で作られたものだった。
この話をした井上ひさし氏は、2010年に亡くなっている。噂が事実のように広まっていることを本人がどう考えていたのかはわからない。
もう1人の原作者・山元護久氏も1978年に亡くなっている。誤った設定が広まったことで、公式設定になってしまう場合もまれにあるのは事実だ。しかし、NHKからも井上ひさし氏の講演会での発言に対しては何のコメントもない。死後の世界が公式設定だというのは無理があるだろう。