「いんいちがいち」で始まり、「くくはちじゅういち」で終わる「九九」。
小学生のとき誰しも一生懸命に暗記したはずだ。歌やリズムに合わせる覚え方もいまだに口ずさめる。
そんな九九だが…ひょっとすると9の段ぐらいで「一生懸命覚えた」なんて言えないかもしれないぞ。数学大国インドでは、我々よりずっとハイレベルな九九の教育が行われているのだ!
今回はそんな気になる「インドの九九」についての雑学を紹介しよう。
【世界雑学】インドの"九九"は20段まである
【雑学解説】インドでは、小学校低学年で九九を20段まで暗記する
日本の「九九」は、文字通り「1×1」から「9×9」まで暗記する。
対するインドの九九は、「20×20」…つまり20段まで覚えるのが一般的だ。暗記する量は日本の4倍。地域や学校によってはなんと「99×99」まで覚えるところもある。
日本人に「17×13は?」などと聞いて、何も書かずに答えられる人はそういないと思うが、インド人にこれを聞くとほぼ即答ということだ。まさに歩く電卓である。
しかも日本には「にさんがろく」などの語呂合わせがあるが、インドにそんなものはなく、表を穴埋めしながら丸暗記していくのが主流だ。
以下のツイートには、実際の小学校で使われている表があるが…16の段まででも十分驚異的だぞ…。
https://twitter.com/YoshitakaOkuno/status/1170079317763792896
九九を9の段まで覚えるのは日本特有
語呂合わせもなしにこの量を丸暗記するって…どんな拷問だよ…と思うところだが、九九を二桁まで暗記する国なら別に珍しくない。
そもそも九九が「9の段まで」というのは、日本特有の文化である。
日本語は言葉の響き的に語呂合わせが作りやすいため、語呂合わせでの覚え方が定着した。つまり九九が9の段までになったのは、語呂合わせができるところまでを教えるようになったからなのだ。
たとえばヨーロッパ諸国でも語呂合わせなどはないため、12の段まで覚えるのは普通である。偶然暗記の仕方が違っただけで、日本人だって同じ教育を受けていたら「9の段」以上が当たり前になっていたかもしれないぞ。
ただ…丸暗記で覚えられるかどうかには、かなり個人差が出てくるようだ。それに比べて、日本人で九九を覚えられない小学生はそういない。語呂合わせの力は偉大である。
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【追加雑学①】インドは計算式もすごい
九九を20段まで…という暗記も異常だが、インドでは学校で習う計算式にしても、とことん合理的な方法が追求されている。「インド式計算術」などといって、日本でも書籍で注目されていたことがあったな…。
以下の動画ではインド式計算とはなんぞや? というところから、実際の計算方法まで例を挙げて紹介している。身につければかなり計算が早くなりそうだ。
インド式棒算とは?
計算式とはちょっと違うが、「インド式棒算」という、これまたインドで編み出された画期的な掛け算の方法がある。
このインド式棒算…「掛け算を知らない」「九九を覚えていない」という人でも掛け算ができてしまう、めちゃくちゃすごい計算方法なのだ。
たとえば「6×7=42」ということは、それこそ九九を知っていれば即答できる問題である。でも九九を知らない人からすれば、そうとう難しいはずだ。
インド式棒算を使ってこれを考えてみよう。
「6×7」なら、縦に6本の線、その上から横に7本の線を引く。それぞれの線が交差している場所の数を数えると…なんと「42箇所」になるのだ!
これを応用した二桁同士の計算方法もある。やってみるとすごく簡単だけど…これを編み出したインド人…すごすぎる…。
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【追加雑学②】学力世界一の国・フィンランドでは「九九」を暗記しない!
インドのように鬼の暗記をする国もあれば、暗記とはまったく無縁の教育で高い学力水準を保つ国もある。
国際学力比較調査「PISA」が行っている各国の学力調査では、フィンランドの学生が好成績を残し続けている。特に2000年初頭は世界トップ。
2010年以降は中国やシンガポールなどのアジア諸国が台頭してきたが、それでもフィンランドはトップグループに食いついている。
英才教育というより、自然のなかでのびのび暮らしているイメージがあるのでちょっと意外だ。
そんなフィンランドでは…なんと「九九」を暗記しない。
まったくしないのかといわれると疑問はあるが、「暗記」ということに重点を置いていないのだ。
フィンランドの教育は、暗記ではなく学び方・考え方に重点を置いている。暗記は言ってしまえば決まったことを覚えるだけで、考えなくても答えが出せる。
フィンランドの教育は暗記しないことで、逆に考える力を養う方針なわけだ。
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フィンランドの子どもたちは自ら勉強する!?
フィンランドの子どもたちの学力が高いのは、単に勉強のやり方によるところばかりではない。
まずフィンランドでは、国の政策で小学校~大学(または専門学校)までの授業料が全て無料だ。
経済大国である現在の日本においても、学費がネックで大学に行けないといった話はよく耳にする。フィンランドではそういった心配が全くなく、どんな子どもも平等に教育を受けられるのである。
つまり、のびのびとしているイメージは間違っていない。のびのびと勉強して、世界トップの成績を維持しているのだ。
そう、押し付けられず、自分から学びたがる子どもが多いことが、学力の水準を上げているのだろう。
実は勉強時間にしても日本人より少なく、小学校の年間授業日数は約190日。しかもテストや宿題なんかも、小学校のうちはほとんどないという。
日本では「ゆとりだから…」などとよくいうが、問題は勉強時間ではないのかもしれない。
フィンランドの教師は子どもたちの憧れ
フィンランドの教師は日本でいうところの「弁護士」や「医者」ぐらいの高給取りで、子どもたちからは憧れの的だ。教師が憧れられる存在だということも、子どもたちを自然に勉強へと向かわせる要素になっているのかもしれない。
弁護士や医者などに比べて、教師は子どものころから接する機会が多く、目指すにもイメージが湧きやすい。好きな先生がいれば「あの先生みたいになりたい!」と勉強のやる気も湧いてくる。
しかし、フィンランドの教師は狭き門で、何年も試験に挑戦してやっと合格できるという人が多いという。まさに子どもたちが指標にしたくなるような人が厳選されるのだろう。
このように、インドのようにものすごい量の丸暗記をしなくても、学力が優れている国はあるのだ。
「インドの九九」の雑学まとめ
今回はインドの「九九」は20段まで覚えるという雑学を紹介した。
数学大国・IT大国と呼ばれ、数多くの優秀なITエンジニアを輩出するインド。その背景には、九九を始め、基礎となる算数力を鍛える教育政策が影響している。
一方、学力世界一のフィンランドでは国を挙げて「子供の教育」に力を入れているが、九九の暗記を必須としていない。
スペシャリストならインド式、教養の高さならフィンランド式という感じか。どちらの教育も結果が出ていて、どちらが間違っているわけでもない。いろんな国がそれぞれのやり方で教育水準を上げていこうと奮闘しているのだ!
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