百獣の王ライオンは、アフリカに生息する肉食動物の中では最大の部類である。ネコ科の中でもライオンは、トラに次いで大型として知られている。
アジアやロシアなどと生息域の広いトラと異なり、ライオンはアフリカにしかいないイメージがあるかもしれない。実は、ライオンはアフリカだけでなく、他の地域にも生息しているのだ。
ライオンはアフリカにしかいないわけではないというトリビアについてご紹介しよう。
【動物雑学】ライオンはアフリカ以外にインドにもいる
【雑学解説】インドライオンは絶滅危惧種
ライオンというとアフリカのサバンナで群れを作って生活しているイメージがあるだろう。これは間違いない事実だが、かつて、ライオンは人間に次ぐといわれるほど生息域の広い動物だった。
アメリカやヨーロッパ・アジア・中東など非常に広範囲に生息していたが、現在ではアフリカとインドにしか生息していない。人間の手によってほとんどの種類が絶滅してしまったのだ。
亜種に分けるとアンゴラ・ライオンやトランスバール・ライオンなど名前の違うライオンは多いが、ほとんどがアフリカに生息している。
気になるのは、インドに生息するライオンに関してだ。いったいどんなライオンなのか…。
インドライオンは、インド北西部のグジャラート州に生息している。また実は日本でも飼育されているぞ! 下の動画は上野動物園のインドライオンを撮影したものだ。
インドライオンは、見た目は良く知られたアフリカライオンとほとんど同じだが、生態は結構違う。インドライオンは単独で行動し、食性は肉食だが非常に多くの種類のものを食べるため、雑食に近い。
体格はアフリカライオンに比べると小さく、2メートルに達するものはオスでも少ない。かつてはベンガルトラと同じ地域に生息していたが、体格で劣るインドライオンはベンガルトラに勝てないと考えられている。
そしてアフリカライオンと最も異なる点は、その繁殖能力だろう。
インドライオンは繁殖力が弱い
アフリカライオンは1頭のオスが20頭近いメスと生活し、繫殖力が強いことで知られている。しかし、インドライオンは繫殖力が非常に弱いのである。
インドライオンは一度に2・3頭ほどの子供を出産するが、子供ができるのに平均で500回近い交尾が必要だというのである。
インドライオンの数が減ったのは狩猟による影響などが大きいが、繁殖力が弱いため、そもそも数を増やすのが簡単ではないのだ。
1913年にはインドライオンの数は20頭にまで減少し、まさに絶滅寸前だった。しかし現在は人間の保護によって、数が600頭を超えたといわれている。…これも彼らの生態を考えれば奇跡的なことではないか。
そのため、絶滅の危機を脱したともいわれているが、数千頭いるアフリカライオンに比べて絶対数は非常に少ない。数が増えているとはいえ、決して安心できる状況ではないだろう。
ただし繁殖力の弱さに反して、寿命はアフリカライオンに比べると10年ほど長いという長所もある。その長所を活かして数を増やしていってほしいところだ。
スポンサーリンク
【追加雑学】かつて4メートルを超えるライオンがいた
かつて大型の黒いライオンがアフリカ北部に生息していたことがわかっている。
これはバーバリライオンと呼ばれる種類で、尻尾まで含めると、なんと4メートルを超えるほどの個体がいたことが記録に残されている。
この記録の信憑性は疑われているが、一般的なアフリカライオンに比べて大きな種類だったことは間違いなさそうだ。
別名アトラスライオンとも呼ばれる。アトラスとはギリシャ神話に登場する天を支える巨人のこと。バーバリライオンが非常に大きな種類だったことを証明するような名前である。
ちなみに、ライオンキングに登場する悪役のライオン、スカーは、バーバリライオンがモデルである。
バーバリライオンは、1922年にモロッコで射殺されたのを最後に、野生のものは絶滅したというのが定説になっていた。
1922年以降もヨーロッパの動物園でバーバリアンライオンは飼育されているが、他の種類との混血である。
1996年と2007年には、野生のバーバリライオンが確認されたという話もある。ただし、この個体は純血種かどうかわからなかった。
絶滅していなかったバーバリライオン
しかしその後、バーバリライオンの原産地とされるモロッコの動物園で、32頭の純血種のバーバリライオンが飼育されているという驚きの事実が報告された。
国王の私的な動物園で飼育されていたということで、連絡網がなかったのかもしれないが、絶滅したと考えられていた動物が32頭も飼育されていたというのは驚きである。
2012年に、モロッコ首都ラバトに開園したラバト動物園でバーバリライオンの繁殖が行われ、3頭の子供が生まれたというめでたいニュースがあった。
下の動画は、スイスの動物園のバーバリライオンを撮影したものだ。
かつて絶滅の危機に瀕したライオンが、こうしてたくましく生きている事実には希望を感じさせられる。
雑学まとめ
ライオンはアフリカ以外にも生息しているというトリビアをご紹介した。
アフリカに生息するライオンに比べ繁殖力が低いインドライオンは、人間の保護活動でその数を増やしてきた。
なかなか彼らの生態を考えると、数を増やすのはなかなか厳しい話だが、なんとかその血を紡いでいってほしいものだ。
おすすめ記事
-
オスライオンの生態って実は壮絶。狩りをサボるヒモじゃない【動画】
続きを見る