中国の伝奇小説で最も有名といっても過言ではない「西遊記」。日本でも何度も映像化されたり、ゲームや漫画のモチーフになったりしている。そのため、原作をちゃんと読んだことがなくても、そのあらすじを知っている人は多いだろう。
そんな西遊記といえば三蔵法師と仲間の一団が天竺を目指して旅をする物語。そして仲間のメンツといえば孫悟空・沙悟浄・猪八戒だ。それぞれ、サル・カッパ・ブタをモチーフとしたキャラクターである。
しかし、ここで驚くべき情報がある! なんと沙悟浄がカッパとして描かれているのは日本だけというのだ。日本ではすっかりカッパであることが定着しているが、原作では違うということだろうか。
今回は、そんな西遊記の原作と沙悟浄についての雑学を紹介していくぞ!
【世界雑学】沙悟浄は原作の西遊記ではカッパではない
【雑学解説】沙悟浄は原作ではカッパではなく顔色の悪い妖怪
調べてみると、やはり原作の西遊記では沙悟浄はカッパではないことが発覚した。では、どういった動物がモチーフなのか。
なんと、驚くべきことにそもそも何かをモチーフとしたキャラクターではないのである。てっきり、サル・ブタと続いているので、何かしらモチーフがあるのかと思ったがそうではないのだ。
原作の沙悟浄は妖怪であることに変わりはないものの、その見た目は単に「顔色の悪い男」として描かれている。具体的には青や黒に近い顔色と、ふわふわの髪(頭頂部は剃っている)をもった妖怪だそうだ。カッパではないとしても、充分にキャラクター性をもっているのである。
では、そんな沙悟浄がどうして日本ではカッパという設定になったのか? それはある誤解のためだという。
原作の沙悟浄は、「流砂河(りゅうさが)」という「河」で人々を襲う妖怪として登場した。しかし、この場所は本来、水の流れる「河」ではなく、字面の通り「流砂の河」という意味らしい。つまり、水辺というより砂漠に近い場所だったのである。
それが、水の流れる河として誤解されて広まってしまった。日本では、水辺の妖怪といえばカッパというイメージが根強かったため、沙悟浄もカッパだろうということになったのである。
うーむ、なんとも驚きの事実である。まさか、カッパではなく単なる異形の妖怪だったとは…。
こういった経緯もあって、中国人が日本の西遊記をモチーフとした作品を見ると沙悟浄の姿に困惑するらしい。もし、中国人と西遊記について語り合うときは気をつけよう!
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【追加雑学】猪八戒が「猪」なのにブタである理由とは
さて、沙悟浄の本当の姿を紹介したが、西遊記といえば他に猪八戒というキャラクターがいる。こちらも実は原作では違う姿…なんてことはなく、日本と同じくブタの姿をした妖怪という設定だ。しかし、1つ疑問を抱かないだろうか。
「猪」八戒なのに、どうしてブタなのか。漢字の意味を考えたら、ブタではなくイノシシの妖怪なのでは? 不思議に思ったので、そのあたりを調べてみた。
すると、中国ではイノシシは「野猪」と書く。単に「猪」と書けば、日本でいう「豚」と同じ意味になるらしい。
たとえば中華料理には子豚の丸焼きがあるのだが、中国表記だと「烤乳猪」と書く。つまり、猪八戒がブタの妖怪であることは中国語の観点からすると、何も間違っていないのである。
漢字は中国大陸から渡ってきたとはいえ、その意味が日本では異なるとはおもしろい話だ。
雑学まとめ
今回は、西遊記に登場する沙悟浄と猪八戒についての雑学をお届けした。沙悟浄がじつは原作ではカッパではなかったり、「猪」という漢字が中国では「ブタ」という意味だったり、驚きの話ばかりである。
みなさんもこれを機会に海外から伝わってきた物語は、ちゃんと原作を読んでみると面白いかもしれない。そこで意外な事実が見つかるかも…。
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