サラダや味噌汁の具など、彩りに重宝する「カイワレダイコン」。シャキシャキした歯ざわりと辛みがおいしい名脇役だ。
そんなカイワレダイコン、あれがいったい何かみなさんは正確に知っているだろうか? あまりに細く小さな葉っぱだが、何かの新芽なのだろうか…。
実は名前にあるとおり、カイワレは大根。あんなに小さいのにちゃんと大根なのである。しかもパックで売っているカイワレダイコンの根っこを土に植えると、まさかのオトナ大根に成長するんだとか! 今回はそんな驚きの雑学を紹介しよう!
【食べ物雑学】カイワレダイコンを土に植えると大根になる
【雑学解説】あんなにヒョロヒョロなのに大丈夫なのか?
まるで小さな貝をふたつに割ったようなかわいらしい葉をつける、見た目がそのまま名前になったカイワレダイコン。
アブラナ科ダイコン属大根というのが学術名だ。本当にあの大根なのだが、カイワレダイコンは発芽直後の新芽の部分である。そして、その歴史はびっくりするほど古く、平安時代の『和名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)』という辞書にも登場する。
当時のカイワレダイコンは「さわやけ」と呼ばれており、味噌汁の具として使われていた証拠に「さわやけの汁」の記録が残っている。平安貴族が食べる高級食材だったのだ。昭和50年代までは高級料亭むけに木箱で出荷されていたという。
今スーパーで売られているものは、カイワレダイコンとして新芽を食べるために品種改良が重ねられているので、根を食べる大根のように大きくは育たない。それでも小ぶりの大根には育つのだ!
ちなみに、カイワレダイコンを分類すると、新芽を食べる「発芽野菜」。大根は根を食べる「根菜」と、食用としては違った分類をすることになる。
これはお見事。ちゃんと小さい大根が生えてきた!
実際にスーパーのカイワレダイコンの根っこだけをベランダで土植えにしてみた人がいる。立派な大根ができているのをご覧あれ! 花まで咲くからお見事だ。
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【追加雑学①】カイワレダイコンを食べ過ぎると胃痛になるかも!?
実は筆者も経験があるのだが、生のカイワレダイコンを大量に食べると胃が痛くなることがある。痛いというより、なんともいえない不快感…胃もたれとヒリヒリ感をたして割ったような感覚だ。
カイワレダイコンを食べるとかすかにピリッとした辛みがあり、それがまたおいしいのだが、その辛み成分が胃を刺激することがある。
この辛みの正体は「アリルプロピオン」。通常、人間が食べても問題ないが、犬や猫がタマネギで中毒を起こすのはこのせいである。生のままだと特に刺激が強く、加熱することで刺激は緩和する。
胃が丈夫な人は問題ないが、胃の調子が悪いときにカイワレダイコンを食べ過ぎると大変なことになるので注意しよう。
いや、あれはマジでキツイ。生タマネギや生ネギもすきっ腹に大量に食べると同じことになる。
【追加雑学②】カイワレは実は大根以外にもたくさんある
カイワレダイコンは発芽野菜「スプラウト」に属しているが、ダイコン以外にも種類は複数あることをご存知だろうか? たいていのスプラウトはとてもかわいい双葉=カイワレの形をしている。
大根を筆頭にさまざまな種類があるのでご紹介しよう。
ブロッコリースプラウト
大根よりマイルドな味。成長したブロッコリーよりも栄養成分「スルフォラファン」が7倍も含まれる注目野菜。
マスタードスプラウト
その名のとおり西洋カラシの新芽。大根とはまた違ったピリッとした辛みで肉料理の添え物に最適。
レッドキャベツスプラウト
紫キャベツの新芽。鮮やかな赤紫色なので、薬味や彩りとして添えるとよく映える。
アルファルファ
日本でも最近普及してきたスプラウト。日本の代表がカイワレダイコンだとすると、アルファルファはアメリカ代表のスプラウトだ。
雑学まとめ
カイワレについての雑学、いかがだっただろうか。市販のカイワレ系はなんでも、土に埋めるとちゃんともともとの野菜に成長する。運が良ければ上部分を食べたあと、根っこだけ土に植えても育つ。時間はかかるが究極のエコ栽培である。
発芽直後は小さい分、栄養素や成分が濃縮している。健康にいい反面、うっかり空腹時に大量に食べると胃痛がおこるかもしれない。胃の弱い方はじゅうぶん注意してカイワレダイコンを食べるようにしよう!